『ハニワと土偶の近代』東京国立近代美術館で 「出土モチーフ」のさまざまな表現から、近代におけるハニワ・土偶ブームの裏側をほりおこす
2024年10月1日(火)より、東京国立近代美術館では、『ハニワと土偶の近代』が開催される。近代以降、日本で起ったハニワ・土偶ブームを振り返りつつ、美術を中心に文化史の舞台に躍り出た「出土モチーフ」の系譜を追いかけ、ハニワや土器、土偶に向けられた視線の変遷を紹介する。
第二次世界大戦後、岡本太郎が火焰型土器をはじめとする縄文の遺物に美を発見し、イサム・ノグチが銅鐸や埴輪、古墳といった古代の造形に魅せられたことはすでに伝説化したエピソードだが、近代において地中から掘出された出土遺物に着目したのは、彼らだけにとどまらない。
岡本太郎《犬の植木鉢》1954年 滋賀県立陶芸の森陶芸館
実は、日清・日露戦争後の国内開発にともなって各地で古代遺物が出土されると、ハニワは、画家にとって日本神話のイメージの創出を助ける考証の具となっていた。しかしハニワそのものの「美」が賞揚されるようになるのは、1940年を目前にした皇紀2600年頃。日中戦争が開戦し、仏教伝来以前の「日本人のこころ」に源流を求める動きが高まった頃である。同展では、倒れた航空士を抱いて古代の武人が雄叫びを上げる蕗谷虹児の《天兵神助》など、神話や戦争、国威発揚と結びついた出土遺物の様々な芸術表現を紹介する。