気鋭のフルート奏者 鎌田邦裕の「笛吹絵巻(ふえふきえまき)」
山形県鶴岡市出身のフルーティスト鎌田邦裕のリサイタルが目前だ。
「笛吹絵巻(ふえふきえまき)」と題された今回のリサイタルは、「日本」「ふるさと」がテーマ。その心は、幼少の頃からクラシック音楽に触れ、日本にいながらにして西洋文化についての学びを深めてきた鎌田にとって、日本人が西洋の文化を学ぶ意味とはなにかを考えることにあるという。
「日本」に焦点を当てたプログラムには、日本の音楽や、日本人が作った西洋の音楽、西洋から見た日本の音楽が並ぶとともに、鎌田と同じ中学・高校の先輩でもある、鶴岡市出身の作曲家・佐藤敏直がフルートソロのために作曲した楽曲も披露される。
中でも興味深い作品が、フルートと詩の朗読による作品「笛吹き女(ふえふきめ)」だ。
菅原明朗作曲によるこの曲には、与謝野晶子に師事していた昭和の詩人、深尾須磨子の詩が用いられている。深尾須磨子は、詩人であると同時に昭和初期の女流フルーティストでもあり、昭和5年に発表した詩集「雌鶏の視野」において、自らとフルートのことを描いた詩がこの「笛吹き女」だというのだから意味深だ。
東京公演の朗読は、冨永みーな(代表作:「サザエさん」カツオ役、「それ行け!アンパンマン」