演劇の面白さがぎっしり詰まった4日間 藤田貴大作『かがみ まど とびら』
衣装はsuzuki takayukiが担当する。この音楽と衣装が、作品のファンタジックな雰囲気をより高めてくれることだろう。
『めにみえない みみにしたい』は、しりとりやシャボン玉といった子どもが純粋に楽しめる要素を折り込みながらも、隅々まで藤田の美意識が張り巡らされ、物語には女の子の成長や戦争の影が見え隠れする作品だった。決して単純な「子ども向け」ではないもの――。
物語と音楽、見立て、衣装……思えば、演劇の面白さをぎゅっと詰め込み、前面に押し出しているのがこのシリーズの魅力と言えそうだ。物語に潜むメッセージ性を探り、味わうのももちろん演劇の楽しさのひとつだけれど、『かがみ まど とびら』では、目の前に起こることを純粋に受け止めるという楽しみ方ができるに違いない。
文:釣木文恵
『かがみ まど とびら』
作・演出:藤田貴大
音楽:原田郁子
衣装:suzuki takayuki
出演:伊野香織 / 川崎ゆり子 / 成田亜佑美 / 長谷川洋子
2020年11月22(日)・23日(月・祝)、28日(土)・29日(日)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 NINAGAWASTUDIO(大稽古場)