2023年2月22日 12:00
伝説の絵仏師・明兆による「五百羅漢図」現存全幅を修理後初公開する特別展『東福寺』開催
京都を代表する禅寺のひとつであり、新緑や紅葉の名所としても知られる東福寺。その寺宝をまとめて紹介する初の機会となる特別展が、上野の東京国立博物館平成館で、3月7日(火)から5月7日(日)まで開催される。
鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家の発願により建立された東福寺は、南宋時代の高僧・無準師範(ぶじゅんしばん)に禅を学んだ円爾(えんに)を開山とする。国内随一の巨大な伽藍(がらん)を誇る東福寺の名は、奈良の大寺院である東大寺と興福寺になぞらえて、その一字ずつをとって付けられたもの。
以来、多くの弟子を育成するとともに、中国伝来の文物をはじめとして、建造物や彫刻・絵画・書・書籍など、禅宗文化を物語る多くの文化財を守り伝えてきた。
その貴重な宝物を紹介する同展のなかでも特に大きな見どころは、「画聖」とも崇められた絵仏師・明兆(みんちょう)による《五百羅漢図》の現存全幅が14年にわたる修理を終え、初公開されることだ。東福寺を拠点として活躍した明兆は、江戸時代までは雪舟とも並び称されるほどの高名な画人だった。
同展では、水墨と極彩色が見事に調和した《五百羅漢図》のほか、東福寺の大伽藍にふさわしい巨大な観音図や達磨図など、明兆の各時期を代表する大作を目にすることができる。