“世界最高峰のバッハ演奏団体”としての評価を確立して久しいバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が、いよいよシューベルト(1797−1828)に取り組む注目公演が目前だ。
近年では、ベートーヴェンやメンデルスゾーンといった19世紀の作品を手掛け、手垢の付いた名作に新たな光を当て続けてきたBCJだけに、今回のシューベルトへの取り組みが、どのような化学反応を起こすのか興味津々。プログラムには、交響曲第7番ロ短調D.759『未完成』と、ミサ曲第5番へニ長調D.678という2曲が並べられ、シューベルトの本質に迫る時間が期待される。
交響曲の世界において、ベートーヴェンの第5番『運命』&ドヴォルザークの第9番『新世界より』と共に「3大交響曲」のひとつとして愛されているシューベルトの交響曲第7番『未完成』の作曲が開始されたのは、シューベルト25歳の年にあたる1822年10月30日(自筆譜の記述より)。しかし、作曲作業が、いつ、そしてなぜ、中断されたのかは今も永遠の謎に包まれている。
その理由については、「ふたつの楽章のみですべてを表現し尽くしために、あとのスケルツォやフィナーレは必要ない」