2023年6月28日(水)より三井記念美術館では、『三井高利と越後屋―三井家創業期の事業と文化―』を開催する。延宝元年(1673)に三井越後屋が開店してから、令和5年(2023)で350年を数えることを記念して、後の三井財閥・三井グループの礎となった三井創業期の事業や、黎明期の三井家の人々の文化活動を、歴史資料と美術工芸品を通じて紹介する展覧会だ。
もとは伊勢松坂で酒屋を営み、手広く商売していた三井家だが、三井グループの創業者・三井高利(1622-94)が52歳の時、江戸本町に呉服商「越後屋」を開店したことから躍進が始まる。「現金掛け値なし」をうたい文句に店頭での現金定価販売する革新的な商法と様々なサービスにより急拡大した越後屋は、10年後の天和3年(1683)には、駿河町に移転。浮世絵にもたびたび描かれたこの堂々たる店舗は、両替店も併設していた。以後三井家は、幕府の呉服御用や為替御用を請け、江戸・京都・大阪の三都に大店を構える「日本一」の豪商へと成長。高利は、そのすべてを見届けてこの世を去った。
高利を中心に、彼の祖父母や兄弟、子孫たちの動向を紹介する同展でとくに興味深いのは、事業の発展や富の蓄積にともなって、三井家の人々が力を注いだ茶の湯などの文化活動。