くらし情報『北斎、大観から米田知子まで、多様な空の表現に注目 『空の発見』渋谷区立松濤美術館で』

北斎、大観から米田知子まで、多様な空の表現に注目 『空の発見』渋谷区立松濤美術館で

その一方で浮世絵では、ぼかしを用いた形式的・概念的な青空の表現も行われた。明治以降は、西洋画の教育や科学的な気象観測の導入の影響もあり、刻々と変化する空や雲や光を写しとろうとする動きがおこり、その一方で表現主義やシュルレアリスムなどの影響から個性的な空を描く者たちも登場する。また、震災や戦争など地上に異変があったとき、空が象徴的に表されることもあった。さらに現代になると、かつては背景として従属的に表された空を中心に据えて、自らの表現を生み出す者も現れている。
北斎、大観から米田知子まで、多様な空の表現に注目 『空の発見』渋谷区立松濤美術館で

岸田劉生 《窓外夏景》1921(大正10)年茨城県近代美術館
同展では、近世から現代までの多彩な作品が一堂に並ぶ。江戸時代の名所図屏風から、狩野探幽、司馬江漢、葛飾北斎、そして近代以後の横山大観ら日本画家や、迫真性をもって空を描いた岸田劉生、独自の表現を生んだ萬鉄五郎や香月泰男、さらに小林正人や米田知子をはじめとする現代アーティストたちなど、その表現の仕方も意図も様々だ。見えているけれど、見えていなかったかもしれない「空」の表現の変遷を辿りつつ、折々の人々がどのように「空」を意識していたのかに思いをはせる、新たな視点をもった興味深い展覧会となっている。

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