2021年11月1日 07:00
東西の俳優たちが顔をそろえる歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』が開幕
今年も顔見世のシーズンがやってきた。東西の俳優たちが顔をそろえる吉例顔見世大歌舞伎が開幕した。
第一部の一幕目は『神の鳥(こうのとり)』。時は室町時代。有力な守護大名の赤松満祐の天下掌握を祈願する宴に、神の使いとされる霊鳥が生贄として献上される。そこへ突然ふたりの狂言師が現れ舞い踊る。近畿地方最古の芝居小屋・出石永楽館で、2014年に初演された舞踊劇の歌舞伎座版だ。ぶっ返りや早替りなど、歌舞伎らしい見どころもたっぷり。
二幕目は『井伊大老(いいたいろう)』。北條秀司作の新歌舞伎。近代日本の夜明け間近、国難に立ち向かった大老・井伊直弼。しかしその独裁的なやり方に反対する人々からは非難されていた。桜田門外の変の前夜を叙情豊かに描く。直弼を支え続けたお静との情愛あふれるやり取りなど、井伊直弼の人間性を浮き彫りにする名品。
第二部の一幕目は十世坂東三津五郎七回忌追善狂言『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』。歌舞伎の様式美がちりばめられた一幕だ。
富士の巻狩りの総奉行である工藤祐経の館に、大勢の大名たちが招かれている。そこへ小林朝比奈の手引きにより曽我十郎と五郎の兄弟がやってきた。工藤は二人の父親は18年前に討った仇。