『お隣さんはヒトラー?』──ホロコースト生存者の隣家にアイツが引っ越してきた!【おとなの映画ガイド】
という。ヒトラーは「アドルフ・ライプツィヒ」と名乗り、95歳まで生きていた、という説まである。
1945年4月にベルリンで自殺して燃やされたヒトラーの遺骸が、炭化していて「本人確認ができなかった」という事実に端を発した、風聞だ。
しかし、ホロコーストの中心人物のひとり、アドルフ・アイヒマンが南米アルゼンチンに潜伏していて、1960年にイスラエルの情報機関モサドに拘束されたのは、歴史的事実である。この映画は、まさにその年を舞台にしている。
ストーリーはこんな感じ。
ナチスのホロコーストで家族を失い、南米コロンビアの人里離れた土地で家族の思い出とともに孤独に暮らす老人ポルスキー(デヴィッド・ヘイマン)の隣家に、突然、ドイツ人のヘルツォーク(ウド・キア)が引っ越して来た。時折秘書のような女性は来るし、風体はいかにもお金持ち、夜になってもサングラスをかけ、謎めいた雰囲気をもつ男だ。
あるとき、ポルスキーはそんなヘルツォークの素顔をみて強い衝撃を受ける。その男の鋭い青い目は、ヒトラーに酷似していたのだ。1934年に開催された世界チェス選手権の会場でヒトラーとすれ違った鮮明な記憶があるので、間違いない。