失った“明日”は戻らないのか?「少年社中」19年ぶりの『DROP』上演中!
物語は、眠りから覚めた小説家(大竹えり/杉山未央)の「ここはどこ?」「私は誰?」という困惑から始まる。彼女はある事件で記憶障害となり、目を覚ますと記憶を失ってしまう。そんな彼女を支えているのは幼馴染の編集者(内山智絵/加藤良子)だ。小説家である彼女のICレコーダーには、口述筆記で紡がれたストーリーが吹き込まれている。それは、5人の男が“DROP”された迷宮の物語。かつて『明日』は卵から生まれており、この迷宮は『明日』の卵が孵化する重要な場所だった。そこに閉じ込められたオービット(井俣太良/赤澤燈)、スフィア(橋本真一/堀池直毅)、ビーズ(廿浦裕介/森田桐矢)、リング(相馬圭祐/竹内尚文)、ボウル(山川ありそ/安西慎太郎)は罪を犯した者たちで、Badman(赤澤燈/井俣太良)に告げられたルールに従い“5つの卵”を集めれば、脱出できるという。しかしそこに、Go_dman(長谷川太郎/川本裕之)や死人(しびと・小関舞/後藤萌咲)という謎の存在もあらわれ――。
小説家は記憶を取り戻そうと奔走し、物語の登場人物たちは迷宮から抜け出そうと奔走する。登場人物たちだけでなく、観客も、誰が信じるに足る相手なのか、誰が敵なのか、これから先にはなにが待ち受けているのかわからないまま進んでいく展開はスリリングだ。