2024年2月1日 11:30
『生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真』2月23日から 戦前を代表する写真家の20年ぶりとなる回顧展
大正・昭和戦前期の日本の写真は、アマチュア写真家たちの旺盛な探求によって豊かな芸術表現として成熟していったと言われる。その時代を牽引した写真家の代表格であり、また後の世代にも大きな影響を与えた安井仲治(やすい なかじ/1903-1942)の生誕120年を記念する回顧展が、東京駅構内の東京ステーションギャラリーで、2月23日(金・祝)から4月14日(日)まで開催される。
大阪に生まれ、18歳で関西の名門・浪華写真俱楽部に入会した安井は、瞬く間に頭角を現わし、日本全国にその名が知られる存在となった。欧米の先進的な写真表現や理論をいち早く受容し理解するだけでなく、それらを換骨奪胎することで新しい表現を次々に生み出していくと同時に、優れた感性で独自の被写体を見出した安井は、同時代の多くのアマチュア写真家たちから高い評価を獲得したが、38歳という若さで病没してしまう。だが、わずか20年という写真歴の間に残した驚くほど多彩な作品からは、世界に対する透徹した態度と感受性が一貫して感じられるという。何でもない景色の中や、通常であれば一顧だにされないささやかなものにさえ慈しみの眼差しが注がれているのだ。