くらし情報『劇団四季創作ミュージカルのひとつの到達点 演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た、劇団四季『バケモノの子』』

2022年5月25日 07:00

劇団四季創作ミュージカルのひとつの到達点 演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た、劇団四季『バケモノの子』

剣を振る中でライオンに似た顔、龍のような胴体のパペット2体と一緒に闘う。赤が熊徹、黄が猪王山。ともに3人遣いなのはまるで文楽の人形遣いではないか。

劇団四季創作ミュージカルのひとつの到達点 演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た、劇団四季『バケモノの子』

撮影:阿部章仁
第2幕では巨大な白鯨が宙を飛ぶ。こちらは6人遣い。色々な形に分裂し、また元の形になる。よく訓練された俳優たちの操作は、『キャッツ』で人気の夜行列車の場面や『美女と野獣』といった一連のミュージカル作品で蓄積された劇団のお家芸と言えよう。

第1幕が物語世界の解説といった要素が濃く、第2幕が俄然、面白くなった。
蓮(九太)の成長、一郎彦の謎解き、宗師の後継者の決着。「信じよう、心の声を」。17歳になった蓮が歌う姿は胸が熱くなった。

高橋知伽江の脚本・歌詞、青木豪の演出による多彩・多様で映像が重なるスピーディな新作ミュージカルは、上演を重ねる中で、より密度を増すだろう。そしてー。地球という星には人間世界だけではなく、様々な生き物の世界が存在するのだ、と再認識するのである。プロフィール
大島幸久(おおしま・ゆきひさ)東京都生まれ。団塊の世代。
演劇ジャーナリスト。スポーツ報知で演劇を長く取材。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。

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