くらし情報『劇団四季創作ミュージカルのひとつの到達点 演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た、劇団四季『バケモノの子』』

2022年5月25日 07:00

劇団四季創作ミュージカルのひとつの到達点 演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た、劇団四季『バケモノの子』

劇団四季ミュージカル『バケモノの子』より 撮影:阿部章仁

撮影:阿部章仁



劇団四季による創作ミュージカルのひとつの到達点、と思えたのが『バケモノの子』だった。主題、美術、舞台転換、俳優のメイキャップ、そして映像……。つまり、総合力で楽しませるエンタテインメント作品だ。

とにかく対立、対比、対照化が徹底している。舞台はバケモノが棲む世界の渋天街と東京の渋谷。どちらも現代である。その対比。第1幕は渋天街でバケモノたちを束ねる宗師の演説から始まる。
ふたつの世界を行きつ戻りつして進むのだが、主に、装置が時計回りになると渋谷、その反対回りでは渋天街に変わる。転換がスピーディでスムーズなので飽きさせない。

100年に一度、宗師が交代するため後継者を選ぶ。候補の熊徹と猪王山も対照的だ。9歳から始まる主人公・蓮が弟子入りして九太と名付けられるが、その父親代わりが熊徹、対する猪王山にはふたりの男児がおり、長男・一郎彦が第2幕で明らかになる出生の秘密があった。子供世代がともに「自分とは何か?」と問い掛けている。「自分を発見する」「共に成長する」という作品の主題が対照化によって明確になった。

一番の見せ場であり驚きが対決場面だ。
第1幕では熊徹と猪王山の激闘アクション。

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