くらし情報『漂い続ける男女を描く。ジャ・ジャンク―が語る新作『帰れない二人』』

漂い続ける男女を描く。ジャ・ジャンク―が語る新作『帰れない二人』

そんな監督が最新作で描くのもまた“取り残された男女”だ。中国で暮らすヤクザ者のビンと恋人のチャオはさらなる成功を夢見て暮らしていたが、ある事件をきっかけに離れ離れになってしまう。映画は2011年から始まり、17年におよぶ愛のドラマを描いていく。前作『山河ノスタルジア』も長い時間が扱われたが監督は「脚本を書きながら、前作に続いてまた長い時間を扱うことになるのか……と思うことはありました」と笑う。

「しかし私はじっくりと考え、最終的にこの映画では長いスパンの中で主人公ふたりの運命を見ていくことが必要だと決断しました。というのも、私はこの映画で“男女の気持ちが変化していくラブ・ストーリー”と“中国の裏社会の現在”を描きたかったからです。現代の中国は情報過多で、次から次へと予想外の出来事が押し寄せてきますから、現代だけを舞台にしてしまうと、題材の“ごく一面”しか描けないと思いました。そこで2011年から17年間を舞台に、抽象的でマクロな視点から、つまり歴史を盛り込んだ視点からふたりの運命を描くことが必要だと考えたわけです」
21世紀のはじめ、中国は大きな変化を遂げた。
北京五輪が開催され、多くの人々の暮らしは豊かになり、いくつかの家々は巨大なダムによって沈み、新しいビジネスが勃興し、かつての商売は廃れた。

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