山田尚子監督の完全オリジナルアニメーション映画『きみの色』の報告会にて、本作に新垣結衣が出演していることが分かった。『映画けいおん!』『映画 聲の形』の山田監督最新作は、青春期の物語。新垣さんが演じるのは、音楽で心を通わせていく3人を導くキーマンであるシスターの日吉子。新垣さんは「完成した作品を見たとき、全てが柔らかくて繊細で、心に淡い春色(はるいろ)の風がそよぐような優しい気持ちが、画面から溢れていると感じました」と作品の印象を明かし、「シスター日吉子は、物語の登場人物の中では、大人たちとトツ子たちの間にいる人だと監督から説明をいただきました。トツ子たちに対して、他の大人たちよりもひとつ心の距離が近いというか、静かに、でも熱く、いや実は“かなり”熱く、トツ子たちを見守っている人です。気持ちをわかりやすくストレートに表すセリフはあまりない印象だったので、日吉子がなにか言葉を飲み込んだときの、その奥の気持ちはどんなものかを想像するのも、とてもやり甲斐ある作業でした」とコメントした。監督は新垣さんの出演に関して、「新垣さんのことはテレビや映画のスクリーンを通してでしか知らないのですが、勝手な思い込みかもしれませんが彼女はきっとすごく芯が強くて、ものすごくぶっきらぼうなぐらい真面目な方なんじゃないかな、そしてすごくチャーミングな方なんじゃないかなという風に思っていました。それはまさに今回のシスター日吉子にぴったりなんです」と話している。本作の主演を務めるのは、オーディションを経て、大河ドラマ「どうする家康」に出演した鈴川紗由、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズの高石あかり、この春放送予定の「9ボーダー」への出演が決定している木戸大聖に決定。トツ子「声優のお仕事はずっとやりたい目標の一つだった」という、人が色で見えるトツ子役の鈴川さんは、「最初に聞いた時は嬉しいという感情がまだなくて、信じられなくて、頭が真っ白になって涙が止まりませんでした」とふり返る。きみトツ子と同じ学校だったきみ役の高石さんは「山田監督の作品に出演させていただけるということが本当に嬉しくて、感動しました」と参加を喜ぶ。離島に住むルイ役の木戸さんも「不安とプレッシャーがありました。それと同時に山田監督の作品に出られる、という喜びが押し寄せてきました」と語っている。ルイまた今回、本編映像初公開となるスペシャルPVも合わせて到着した。『きみの色』は8月30日(金)より全国東宝系にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:きみの色 2024年8月30日より全国東宝系にて公開予定©2024「きみの色」製作委員会
2024年03月19日クリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』で、自身初となるアカデミー賞作品賞(エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェンと共に受賞)&監督賞に輝いたノーラン監督と、日本初となる視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督による対談が実現。その特別対談の映像が解禁となった。本作は、第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話に基づいて描く作品。2023年7月の全米公開を皮切りに、世界興収10億ドルに迫る世界的大ヒットを記録。実在の人物を描いた伝記映画としては歴代1位となっている。特別対談映像は、山崎監督の「知的好奇心を刺激されました」という感想から始まり、「パンドラの箱を開けてしまった人間が、どのような社会的な立ち位置でいたのか。時系列を組み替えながら描いていて、ハードなテーマのエンターテインメントになっている」とコメント。「凄く面白い、素晴らしい作品。オッペンハイマーが残酷な幻影をみるという、栄光と悲惨さが同じ画面に収められている作り方が凄い」という山崎監督の評価に、ノーラン監督は「私が物語の中で興味があるのは頭脳明晰な人たちが世界を理解し驚くべき創造性を飛躍させテクノロジーを用いてどのようなことを可能にするのか、そしてその裏に潜む恐ろしい暗示です。そのコントラストを映画に映し出し観客のみなさんに直で感じてもらいたい」と応じ、「開発を進めていく先に待ち受けている恐ろしさの片鱗が既に見えているわけです。しかし時代の状況ゆえに行動するしかなかった。その緊張感を観客のみなさんに体験してほしいと思いました」と見どころを明かす。天才物理学者がそのとき何を感じていたのか、その瞬間を観客と共有する“没入体験”を目指したと語っている。「悪い人間、素晴らしい人間を決めつけていない、その両方が渾然一体となっている」描写に驚嘆したとする山崎監督に、「それは物語を伝える上で大切にしたことでオッペンハイマー役のキリアン・マーフィーともよく話し合いました」とノーラン監督。「観客にはオッペンハイマーを裁くのではなく理解してほしかったのです。みなさんにこの人物の両面を体験してもらい、彼がした選択について自分だったらどうするか考えてみてほしかった。自分とは考えや立場が全く違う人の、考えや思いがわかるというところが映画の魅力です」と、観客ひとり1人の判断に委ねることを最優先したと語った。さらに『オッペンハイマー』に触発された山崎監督が「日本が返答の映画を作らねばならない」と宣言すると、ノーラン監督は「アンサー映画を作るのであれば山崎監督以上にふさわしい監督は思い浮かびません。ぜひ実現していただけたらと思います。これからも山崎監督の作品を楽しみにしています」と笑顔で応じる場面も。山崎貴監督/『ゴジラ-1.0』凱旋記者会見にてさらに、映像へのこだわりについてノーラン監督は、「観客の感覚に訴えかける映画を常に作りたいと思っています。今まで多くの映画をIMAX®用の70ミリフィルムで撮影してきました。驚くほど鮮明で色の再現度が高いからです。大きなスクリーンに投影するとスクリーンの枠が消え映画に没入することができます。劇場の様々なサウンドシステム、音響や音楽との融合によって観客を物語に引き込むことができるのです。こういった没入感をこれからも映画制作で大事にしていきたいです」とコメント。それを受けて山崎監督は「すごい伝わってきました。IMAX®ならではの作品だと思います」と締めくくっていた。また併せて、本作を鑑賞した著名人からコメントも到着。『バットマン ビギンズ』『インセプション』でノーラン監督作品に出演した渡辺謙は、「今も、この世界を終わらせてしまうかもしれない爆弾を作った男が、細やかに、エキセントリックに描かれていた。彼の幻覚の中にある、被曝の実態を世界はどう見てくれたのか。日本の観客にとっても観ておくべき作品」とコメント。『福田村事件』の森達也監督は「間違いなくノーランの最高傑作だ」と話し、元広島市長の平岡敬は「彼が感じた世界の破滅への危惧は、いま現実となってわたしたちの世界を覆っている」、広島出身で「この世界の片隅に」の漫画家、こうの史代は『「核兵器は狂気の天才のしわざ」なんて逃げ道は、この映画にはありませんでした」、長崎県被爆者手帳の会友の会 会長の朝長万左男は、「これは核なき世界が遠のきつつある現在の世界の根本問題にもつながる。ここにノーラン監督の政治家の責任を追求する秘めたメッセージが感じられる」とコメントを寄せている。『オッペンハイマー』は3月29日(金)より全国にて公開。IMAX劇場全国50スクリーン、Dolby Cinema全国10スクリーン、35mmフィルム版109シネマズプレミアム新宿にて同時公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ゴジラ-1.0 2023年11月3日より全国東宝系にて公開©2023 TOHO CO.,LTD.オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年03月15日この度、2024年3月2日(土)よりシネ・ヌーヴォにて公開中チャン・チー監督によるアートサスペンス『海街奇譚(※読み:うみまちきたん)』のチャン・チー監督と串田壮史(マイマザーズアイズ)監督のコラボ対談が実現いたしました。世界の映画祭で評価された現代的な映画作り、自由な発想で生み出すアート映画の技法など、貴重な意見交換が披露されました。(左から)チャン・チー監督、串田壮史監督コラボ対談2024年3月2日(土)よりシネ・ヌーヴォにて公開中チャン・チー監督によるアートサスペンス『海街奇譚(※読み:うみまちきたん)』のチャン・チー監督と串田壮史(マイマザーズアイズ)監督のコラボ対談が実現!公式インタビューが解禁。姿を消した妻を探しに、彼女の故郷である離島の港町へ訪れた男。相次ぐ海難事故で住民の行方不明が続く寂れた町で、妻の面影を持つ女と出会うが…。カブトガニの仮面、消えた“仏”の頭、永遠の8月5日、呪われた海。夢と現、過去と現在を彷徨する迷宮の物語を、1987年生まれで本作が長編デビュー作となる中国の新たな才能チャン・チー監督が、卓越した映像感覚と比類なきイマジネーションで描き出す幻惑の映画体験。第41回モスクワ国際映画祭審査員特別賞(シルバー・ジョージ)と第18回イスタンブール国際インディペンデント映画祭批評家協会賞(メインコンペティション)を受賞。映像表現も高く評価され、第27回カメライメージ映画祭ではゴールデンフロッグ賞・撮影監督デビュー部門の2部門ノミネートを果たしている。原題の「海洋動物(かいようどうぶつ)」が示すとおり、作中には海の生物をメタファーとした様々な演出が登場。いずれもチー監督自身が生まれ育った港町がモチーフとなっているが、それらの海の生き物たちが作中において何を意図しているのかを類推しながら楽しむことができるのも、本作の魅力の一つとなっている。また、キャスティングも本作のセールスポイントのひとつで、主演の妻を探す男を演じたチュー・ホンギャンは本業が機械技師という変わり種。その妻を演じたシューアン・リンは妻役以外にも2役を演じ、そのファム・ファタール的な存在感が新鮮な魅力に満ちている。■映画『海街奇譚』チャン・チー監督×串田壮史監督:特別座談会『海街奇譚』劇中場面より「越境するアートハウス映画の“表現と視座”」串田:映画『海街奇譚』を面白いと感じたのは、まず、主人公が俳優業という設定です。俳優であるからこそ、本当の自分を隠しつつ、自分が考えた役をこの街で演じているに過ぎない、信用できない語り手として存在しており、もはや今の時代は何が現実で何が嘘かを区別せずに生きるべきであると、強く訴えられました。私たちが今生きるべき姿を提示している、とても現代的な映画ですね。AIとか、役というアバターでの生活、時代に根差している作品です。チャン:あなたの前作『写真の女』にも同じような現代性を感じましたよ。加工で美しく盛った写真を自分自身の姿だと思い込んでいく様子は、とても現代的です。より作家性が際立ったのが、『マイマザーズアイズ』ではないでしょうか。私と串田監督は同世代の映像作家でお互いイギリスで映像制作を学んだ出自も共通しています。串田:私の監督した2作品はどちらも「デヴィッド・クローネンバーグの影響を受けた」と評されています。意識した自覚は無いのですが。チャン:『海街奇譚』を海外の映画祭で上映したとき「冷たいマルホランド・ドライブのよう」とデイヴィッド・リンチ監督作品との親和性を指摘されました。私は意識しましたよ(笑)。串田:それはチャン監督が映画を撮るにあたり、中国国内だけではなく、最初から海外の国際映画祭で勝負しようという意気込みがあったからですよね。青を基調とし、昼と夜でその色彩設計が異なるバランスで調整されている美しさは、舞台演出を映画として昇華していると感銘を受けましたし、俳優さんたちの演技も抑制が効いていて、アジア映画に留まらないという洗練された雰囲気に満ちていましたね。自戒を込めて言うと、日本のインディーズ監督の作品は身近な暴力を描きがちで、創造力が半径数メートルの身近な世界で止まっているんです。チャン:『マイマザーズアイズ』にも暴力が出てきましたね。しかし、とても芸術的であると感じましたよ。中国は審査制度があり、過度な暴力表現は出来なかったため、『海街奇譚』では、主人公がカメラを使い、撮影という行為でもって殺人を行う抽象的な暴力演出を行いました。チェロの弓で人体を引き裂く『マイマザーズアイズ』しかり、私たちは芸術を生み出す道具を用いて殺人を描くという唯一無二の共通点がありますね。串田:作家自身が描きたいという自由な発想を用いて、アートハウス映画を作る環境は、年々厳しくなっています。私もあなたも自身で制作したインディペンデント映画を映画館で上映できる最後の世代になるかもしれません。最近は、現代的な作品作りは映画の在り方そのものを考え直す時期に差し掛かっていると感じています。離島の港町を舞台に描かれる幻想的なビジュアルイメージをモスクワ国際映画祭はじめ高い評価をチャン・チー監督と最新作『マイマザーズアイズ』にて世界主要ホラー映画祭での受賞経験を持つ串田壮史監督との対談では、共にアジア出身の監督でありながら、自国の文化にとらわれない自由な発想と表現を国際マーケットでアピールする重要性と、減少するインディペンデント映画の劇場公開においては自分達が最後の世代かもしれないという危機意識も露わにした。<チャン・チー監督プロフィール>1987年、中国浙江省寧波生まれ。ノッティンガム大学国際コミュニケーション学科卒業、北京電影学院演出科修了。舞台演出家、舞台美術家としても活動。2010年から2015年まではCMや短編映画などを手がけ、2016年に中編『Edge Of Suspect』でデビュー。2019年に長編デビュー作『海街奇譚』にてモスクワ国際映画祭審査員特別賞を受賞。2021年の長編第2作『ANNULAR ECLIPSE』は釡山国際映画祭に出品された。学生時代から演劇を学んでおり、演出を手がけた最新の舞台は、2021年に上演された戯曲「三字奇譚」。同作品は浙江省文化芸術基金の資金提供対象に選ばれている。チャン・チー監督<串田壮史(くしだたけし)監督プロフィール>1982年大阪生まれ。ピラミッドフィルム所属。2020年に発表した長編デビュー作『写真の女』は、世界中の映画祭で40冠を達成し、8か国でのリリースが決定している。長編第二作『マイマザーズアイズ』は、スクリームフェストやフライトフェストなど、世界の主要ホラー映画祭に選出されている。現在、長編第三作の製作中。串田壮史監督【『海街奇譚』 ※読み:うみまちきたん】<公式サイト> 2019年/112分/中国/映倫 G/原題「海洋動物」/英題「In Search of Echo」脚本・監督:チャン・チー撮影 :ファン・イー視覚効果 :リウ・ヤオ音楽 :ジャオ・ハオハイ美術 :ポン・ボー共同脚本 :ウー・ビヨウ編集 :シュー・ダドオ出演 :チュー・ホンギャン、シューアン・リン、ソン・ソン、ソン・ツェンリン、チュー・チィハオ、イン・ツィーホン、ウェン・ジョンシュエ配給・宣伝:Cinemago (C)Ningbo Henbulihai Film Productions/Cinemago姿を消した妻を探しに、彼女の故郷である離島の港町へ訪れた男。相次ぐ海難事故で住民の行方不明が続く寂れた町で、妻の面影を持つ女と出会うが…カブトガニの仮面、消えた“仏”の頭、永遠の8月5日、呪われた海。夢と現、過去と現在を彷徨する迷宮の物語を、1987年生まれで本作が長編デビュー作となる中国の新たな才能チャン・チー監督が、卓越した映像感覚と比類なきイマジネーションで描き出す幻惑の映画体験。第41回モスクワ国際映画祭審査員特別賞(シルバー・ジョージ)と第18回イスタンブール国際インディペンデント映画祭批評家協会賞(メインコンペティション)を受賞。また映像表現も高く評価され、第27回カメライメージ映画祭ではゴールデンフロッグ賞・撮影監督デビュー部門の2部門ノミネートを果たしている。<公開概要>2024年3月2日(土) シネ・ヌーヴォ3月9日(土) CinemaKOBE、川崎市アートセンター3月15日(金) アップリンク京都 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月07日俳優が短編映画を監督するシリーズ第4弾、WOWOW『アクターズ・ショート・フィルム4』の一挙上映&監督登壇イベントが、3月3日に都内映画館で実施され、千葉雄大監督、福士蒼汰監督、森崎ウィン監督、仲里依紗監督がそれぞれの上映会に参加した。『ハルモニア』千葉雄大監督 登壇イベント一ノ瀬颯らが出演する群像劇『ハルモニア』を手掛けた千葉監督。『アクターズ・ショート・フィルム』への監督参加は、『あんた』に続いてこれで2度目となる。今回の監督業再オファーについて「ビックリしました!」と驚きつつも「前回も楽しかったので、またやりたいと思って飛び込みました」と前向きに取り組んだという。前作との心構えの違いについては「今回は良くも悪くも『こうしたいああしたい』という欲みたいなものが具体的にありました。撮影現場でも前回と同じスタッフさんが多かったので、1回目よりもチーム感があって話もしやすかった」と再挑戦ならではの変化を実感。前作は主演も兼ねていただけに「前回は演技をしながら自分でカットをかけたり、(共演者の伊藤)沙莉にかけてもらったりして難しかったけれど、今回は全部自分でスタートとカットをかけました」と胸を張った。一方、同席した宮田プロデューサーは千葉の監督としての変化について「前回は主演もされていたので、演出しながら芝居をして……と忙しそうでした。でも今回は演出に集中されていたので頼もしく、安心して見ていられました。俳優の演技を一番に考えた現場作りをされていました」とその姿を伝えていた。観客とのQ&Aでは客席から監督としての次回作を要望する声が挙がると、宮田Pも「それは僕も思います。是非とも長編を撮ってほしい!」と期待。千葉監督はこれら声援に「お仕事、お待ちしております!」と満更ではない様子を見せていた。最後に千葉監督は、本作のテーマに絡めながら「皆さんの身の回りには絶対に小さな幸せのひとつは転がっているはずなので、それを見逃さずに健やかにお過ごしください」と優しく呼び掛けていた。『イツキトミワ』福士蒼汰監督登壇イベント清水尋也と芋生悠が共演するビターなラブストーリー『イツキトミワ』を手掛けた福士監督。「監督の福士蒼汰です」と監督デビューの初々しい挨拶をすると、満席の会場からは拍手が沸き起こり、福士監督は恐縮しきり。オファーを受けた際の心境を問われると「俳優として監督を目の前にして仕事をする中で、監督は難しくて出来ないだろうと感じていました。けれどオファーをいただいて色々と考える中で『昔やってみたかったよな』という思いがあり、そんな気持ちと時期的にタイミングも合って受けることにしました。自分の想いを作品として残してみるのも自分の人生において良いのではないかと思いました」と話した。福士蒼汰監督監督のみならず脚本も手掛けており「当初は監督としてのオファーだったので、脚本はやるつもりはなかったけれど……」と苦笑いを浮かべながら「プロットを書いて和田プロデューサーに見せたら『書けそうですね、書いてみましょうよ』と言われて」と経緯を説明。執筆については「予算内であればなんでも良いと言われたけれど、逆になんでも良いって難しい。制限があった方が書きやすい」と苦労したよう。同席した和田Pからは「初顔合わせの際に福士さんから渡されたプロットが、しっかりとした物語の形になっていた」と絶賛され「福士さんは仕事の早い監督。スケジュールの都合上、脚本の段階で変更せざるを得ない所があっても、次の日くらいには『直しました!』と提出してくれる。判断と決断、直しが早い。もちろんディテールにはこだわるけれど、そこから先が早い監督でした」と高評価を得ていた。一方、福士監督は主演の清水について聞かれると「清水君は最強!撮っていても魅力的だしめちゃくちゃいい奴。撮影初日も『緊張して寝られなかったですよ!』と教えてくれたりして……。めちゃくちゃ可愛いなと。無表情でいたら何かを起こしそうな顔をしているけれど、素顔はメッチャ可愛くて好青年」と魅力を熱弁。観客からお気に入りのシーンを聞かれると、酔っぱらった一葵(清水)と三羽(芋生)が夜道を歩く場面をピックアップ。「自分の中で一番キラキラキュンキュンさせたくて、ここで最大の明るさと青春を描きたかった。その結果、トレンディーになり過ぎて『恥ずっ!』と思ったけれど、それが逆に良いなと。寝ないで書いたセリフをそのまま使ったり、入れ替えてみたり、セリフにもこだわりました。あのシーンには自分のエッセンスが結構詰まっています」と自信を覗かせていた。監督初挑戦に手応えを得ている福士監督。和田Pから「福士監督からはすでに次回作のアイデアも聞いています。それだけ監督業を楽しんでくれた」と言われると「そうでしたっけ!?」ととぼけながらも、監督業再挑戦に向けて前向きな表情を浮かべていた。『せん』森崎ウィン監督登壇イベント中尾ミエを主演に、田舎に住む老婆の日常をミュージカル調で描く『せん』を手掛けた森崎監督。満席の会場に向けて挨拶を求められると「このたび『せん』の監督を務めました……。うおおお!」と監督という念願の肩書に大興奮で、ファンからも盛大な祝福の拍手を送られていた。ミュージカル映画を監督することを自身の目標に掲げてきたという森崎監督。「まさかこんなに早く願いが叶う日が来るとは思わず、今回のオファーは純粋に嬉しくて、撮影も本当に楽しかった。俳優業とはまた違うワクワク感があって、ゼロからものを作り上げることに携わったことで新たなモノづくりの魅力と深みを実感しました。自分がエンターテインメントという素敵な世界に携われている幸せを改めて噛みしめることが出来ました」と大興奮だった。森崎ウィン監督脚本・作詞を託したのは、森崎監督がその才能に惚れる上田一豪。森崎監督は「自分が監督でミュージカル映画を撮るならば、上田さんに脚本を書いてほしいとお願いしました。打ち合わせで、僕が今の世の中で起きている事をどう映画に落とし込もうかと話していく中で今回の物語のベースが出来上がりました」と熱のこもった共同作業を振り返った。自他ともに認めるおばあちゃん子である森崎監督は、中尾の起用について「今回の物語でおばあちゃんを中心に描きたいと思った段階で、中尾ミエさんのお名前は頭にありました」と念願かなったようで「中尾さんは歌唱シーンが一番ある中でオファーを快諾して下さり、僕が一度共演させてもらった時に築いた関係性は未だに残っていたんだと感謝しています」としみじみ。ちなみにミャンマーにいる祖母にも、いつの日か本作を見せたいそうだ。森崎監督は俳優としても出演し、歌唱も披露するが「監督と俳優の切り替えは難しくて、演技に集中し過ぎてカットを言い忘れて『あ、俺が言うのか』となった」と思い出し笑い。自身の歌唱シーンは技術的問題で伴奏を聞かずにアカペラで臨んだそうで、カメラの後ろで音楽監修の山野氏が指揮者のようにリズムを取っての撮影になったという。「長回しのワンカットで撮りたかったので、OKになった時は現場中がとんでもない盛り上がりになった」と見どころに挙げていた。また、『せん』という意味深なタイトルについて聞かれた森崎監督は「戦いの発端になるボーダラインという『せん』の意味もあるし、戦争の『せん』と捉えてもらっても構いません。生きていく中で人間は勝手に線引きをしている瞬間もある。ただタイトルを漢字で『線』にしなかったのは、それだけに捉われてほしくなかったからです」と解説。ちなみに題字は森崎監督自らが書こうとしたものの「僕の字を見た樋浦さんの反応が微妙で……」と残念そうに森崎監督がぶっちゃけると、樋浦Pは「森崎監督バージョンもアナザービジュアルとして解禁しましょう!」と提案。集まったファンを歓喜させていた。『撮影/鏑木真一』仲里依紗監督登壇イベントお笑いトリオ・ロバートの秋山竜次がセリフ0でシリアス芝居を見せる『撮影/鏑木真一』を手掛けた仲監督。「今日はパリコレの気分で来ました。ここはもはやパリです」とシルバーのヘッドピース&巨大イヤリングにフワフワピンクドレス姿で登場して「立ち位置に“監督”って書いてある!嬉しい!」と監督デビューに大興奮だった。監督としてのオファーを引き受けた心境について仲監督は「今回のオファーを引き受けたのは、新しいことへのチャレンジというか『面白そう!やってみよう!』というというホップステップジャンプ。それでここにいる感じです」と笑わせながら「私は暗い内容やホラーとか恐ろしいモノしか見ないタイプでハラハラしたものが好み。監督をやらせていただく中でハラハラしたものを作ろうと思った」とシリアスなストーリーにした理由を解説。トラウマを抱えた鏑木(秋山)が洗面所で薬を飲むシーンに触れて「朝起きて鏡の自分を見ながら薬を飲むという展開は海外のホラーによくあるシーン。意味はあまりないけれど、それを私もやりたかった」とホラー愛を滲ませていた。仲里依紗監督仲監督は秋山への演出について「秋山さんの邪念をゼロにするというコントの時の顔が欲しかった。それをお伝えすればわかりやすいかなと思って、邪念には10段階があるので『邪念5でお願いします。次は邪念7で』という形でお願いしました」と回想。「私は秋山さんのファンなので、いつもとは違った秋山さんを見てみたいという思いがありました」とキャスティングの狙いも説明した。また仲監督は、今回の監督業を通して「自分の頭の中にあるものを口に出して人に教えるのは大変だと思った。それに監督は意思が強くないとできない。監督は勇気をもって俳優に指示してくれていることがわかった」と監督の立場も理解したそうで「今後は女優としてこれまで以上に監督の思った事をできるような人間になって『わかりました!』と返事もより一層大きく言いたい。監督が意見を言いやすい環境作りをしなければ」と俳優としてのスタンスにも影響を与えたようだった。さらに、秋山のセリフをゼロにしたことでセリフを言う重要性にも気づいたという。「編集作業の時に、セリフがないのは大変なんだと思った。的確な説明セリフがあるのは、編集を楽にするためなんだと発覚しました」と実感。それでも今回の作業で一番楽しかったのは編集作業だったそうで「なぜならばYouTubeを自分で編集しているから」と普段の活動が監督業にも役立ったという。最後に仲監督は「普段の私はド派手な恰好をしているので、それからは想像がつかないホラーな作品になっています。大好きな人たちと大好きなジャンルを作れたのが嬉しいです。ホラーサスペンスの中にある社会的なメッセージも受け取ってほしいです」と呼び掛けていた。ユナイテッド・シネマ豊洲では、3月4日(月)から7日(木) まで4監督の作品を一挙上映。入場者プレゼント「映画フィルム風しおり」も配布中。また、WOWOWオンデマンドでは監督作品に加え、それぞれの監督の挑戦を追いかけた未公開メイキングと個別のロングインタビューも放送・配信する。<劇場公開情報>『アクターズ・ショート・フィルム4』3月4日(月)~3月7日(木) 全4作一挙上映会場:ユナイテッド・シネマ豊洲<イベント情報>『アクターズ・ショート・フィルム4 完成報告座談会』3月5日(火) 19:00~予定出演者(50音順):千葉雄大監督、仲里依紗監督、福士蒼汰監督、森崎ウィン監督※イベントの模様はWOWOWオンデマンドとWOWOW公式YouTubeで無料生配信<番組情報>『アクターズ・ショート・フィルム4』3月8日(金) よりWOWOWプライムで毎週1本ずつ放送3月8日(金) 午後11:30~ 千葉雄大監督作『ハルモニア』3月15日(金) 午後11:30~ 仲里依紗監督作『撮影/鏑木真一』3月22日(金) 午後11:30~ 福士蒼汰監督作『イツキトミワ』3月29日(金) 午後11:30~ 森崎ウィン監督作『せん』詳細はこちら:
2024年03月04日主演・中島健人、ヒロイン・milet による恋愛映画が2025年に全国ロードショー。監督は三木孝浩が務める。中島健人×miletのファンタジック・ラブストーリー中島健人が主演を務め、ヒロイン役に映画初出演となるmilletを起用した新作映画は、「1番大切な人と出会わなかったら…」という“もしも”を描いたファンタジック・ラブストーリー。ある日突然、妻と出会っていなかった世界線で生きることになった夫が、困惑しながらも人生の全てを取り戻すべく、奔走していく姿を描く。中島健人が、人生の全てを取り戻すべく奔走する主人公に主演を務める中島健人は、近年では映画 『ラーゲリより愛を込めて』、『おまえの罪を自白しろ』へ出演、2024年は世界同時放送&配信予定のHuluオリジナル海外ドラマ「Concordia(コンコルディア)」へも出演するなど、役者の幅を広げつつある。自身も30歳を迎える節目の年に主演が決定した本作では、小説家の主人公・神林リクとして本格ラブストーリーに挑戦。小説家を夢を目指していた大学時代から、人気のベストセラー作家となり成功を掴む一方、挫折を味わい、全てを取り戻そうと奔走する20歳〜30歳の主人公の人生を演じる。映画初主演のmilet、シンガーソングライターのヒロイン役ヒロインであり、妻の前園ミナミ役を務めるのは、映画初出演となるシンガーソングライターのmilet。MAN WITH A MISSIONとコラボレーションした 『テレビアニメ「鬼滅の刃 」刀鍛冶の里編』のオープニング&エンディング曲や、数々のドラマ主題歌を手掛けてきた彼女が、シンガーソングライター活動と、すれ違いの結婚生活に不満を募らせる妻という、振れ幅の大きい演技に挑む。監督は三木孝浩監督は、映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする 』や『きみの瞳が問いかけている』、『今夜、世界からこの恋が消えても』などを手掛けた三木孝浩。ラブストーリーの名手として知られる三木が新たに描く、ファンタジーな恋愛映画に注目だ。なお、本作は、日本で2021年に公開されたフランス映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon Inconnue)を元にしたもので、現代の日本ならではの舞台、キャラクター設定に一部改変し、リメイクしたストーリーとなっている。あらすじ大学時代にお互い一目惚れをして結婚したリクとミナミ。小説家を目指していたリクは、ミナミのサポートのかいもあり一躍ベストセラー作家となったが、歌手を志していたミナミは自分の夢がままならないまま、仕事で忙しいリクとすれ違う日々に孤独を感じていた。そんなある日、リクの心ない一言がきっかけで二人は大喧嘩。翌朝リクが目を覚ますとミナミの姿はなく、出版社へ打ち合わせに行くも出会う人々と話がかみ合わないことに戸惑いを覚える。なんと、人気作家だったはずの自分は文芸誌の一編集部員になっており、街には天才シンガーソングライターとして活躍する、自分とは知り合ってもいない“前園ミナミ”の姿と曲が溢れていたのだ…。【作品詳細】公開時期:2025年監督:三木孝浩出演:中島健人、milet
2024年02月29日M・ナイト・シャマランの娘であるイシャナ・ナイト・シャマランが長編監督デビューを果たす映画『ザ・ウォッチャーズ』の日本での公開日が、6月21日(金) に決定した。『ザ・ウォッチャーズ』は、作家A・Mシャインが2021年に出版した同名ホラー小説『The Watchers』をもとにしており、スタジオ各社が争奪戦の末にニュー・ライン・シネマが映画化権を獲得した作品。M・ナイト・シャマランがプロデューサーとして参加しており、彼が2023年にワーナーと複数年にわたるファーストルック契約を結んでから最初の劇場公開作品となる。主演を務めるのは、『I am Sam アイ・アム・サム』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『オーシャンズ8』『イコライザー THE FINAL』などで知られるダコタ・ファニング。“謎の何か”に毎晩監視されることになる、28歳の孤独なアーティスト・ミナを演じる。共演にはオルウェン・フエレ、ジョージナ・キャンベル、アリスター・ブラマー、オリバー・フィネガンが名を連ねた。併せてUS版の予告映像が公開された。映像では、ミナが道中で車も携帯も故障し、地図にない森に迷い込み、避難したガラス貼りの部屋の中で見知らぬ3人とともに、未知の“監視者”の存在に戸惑う姿が映し出されている。『ザ・ウォッチャーズ』US版予告<作品情報>『ザ・ウォッチャーズ』6月21日(金) 公開公式サイト: WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
2024年02月28日三木孝浩監督の劇場公開最新作が製作されることが決定し、主演に中島健人、ヒロインとしてmiletが映画初出演することが発表された。本作は、日本で2021年に公開されたフランス映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon Inconnue)を元に、三木孝浩監督が現代の日本ならではの舞台、キャラクター設定に一部改変しリメイク。いちばん大切な人と出逢わなかった“もしもの人生”を描くファンタジックラブストーリーだ。主人公の神林リクを演じるのは、中島健人。夢を目指していた大学時代から成功・挫折を経て、全てを取り戻そうと奔走する20歳〜30歳の主人公の人生を演じ、自身も30歳を迎える節目の年に本格ラブストーリーに挑む。ヒロインの前園ミナミを演じるのは、シンガーソングライターのmilet 。本作が映画初出演となり、シンガーソングライター活動とすれ違いの結婚生活に不満を募らせる妻・ミナミ役という、振れ幅の大きい演技に挑戦する。本作は、2025年全国ロードショー予定。タイトルは後日発表される。<キャスト・監督 コメント>■中島健人/神林リク 役「誰もが大共感できる最高の恋愛映画」に出逢えた気がします。ずっと憧れだった三木監督のもと、神様のいたずらのような恋物語を描けることが夢のようです。これまで監督が描かれた作品に、僕の大好きな作品が多く、今回、三木組に参加させていただけることは、これまでの自分の想いが報われる気持ちと共に心から光栄だと感じております。20代最後にこの脚本を読み、30代最初にこの作品の主人公を演じさせていただきます。移りゆく時の流れを美しく過ごす、2人の登場人物に共感をしながら、脚本を読んで何度も笑って泣きました。物語と楽曲のクロスオーバーの中で奏でられる、今回初共演のmiletさんの歌声もとても楽しみです。誰かがいてこその自分。そして、普段気づけない「日常の愛おしさ」を気づかせてくれる美しく、勇気をもらえるこのラブストーリーを全力で届けたいです。■milet/前園ミナミ 役前園ミナミを演じます、miletです。三木監督からこの作品のお話をいただいたとき、今まで映画の歌を歌うことはあっても出演する側になるなんて想像もしていなかったので、ただただ驚きました。私が演じさせていただく前園ミナミは、ひとつの世界では歌手になる夢を追いかけ、もうひとつの世界ではシンガーソングライターとして活躍する女性です。そのどちらのキャラクターにも親近感が湧き、彼女の夢や現実に対して抱く葛藤に私自身の心が重なる部分もあり、一気にこの作品に引き込まれていきました。初めての映画でのお芝居は不安もありますが、演技のご指導も受けながら、主演の中島健人さんをはじめ、キャストのみなさん、スタッフのみなさんの力をお借りしながらまっすぐ挑戦していきたいです。私だから表現できるミナミと向き合いながらこの作品の中で生きてみたいと思います。■監督/三木孝浩中島健人くんを俳優として意識し出したのは約10年前。知り合いのスタイリストさんからとってもいい子がいると薦められてからいつか一緒にお仕事したいと思い続けて、今回やっと念願叶ってご一緒することができました。溢れるオーラ以上にその聡明さ、佇まいの美しさにずっと魅了されていました。そしてその相手役となるのがアーティストであり、本格的な演技初挑戦でもあるmiletさん。最初に企画をいただいて、このヒロインを誰が演じられるのだろうと想像した時、ふと思い浮かんだのがmiletさんでした。以前ミュージックビデオでご一緒した時にパブリックイメージのミステリアスな雰囲気の裏側にある天性の明るさキュートさに魅せられ、もしmiletさんがお芝居をしたらどうなるんだろう?と興味を持ったことがきっかけでした。本人にとっても予想外のオファーだったと思いますが、新しい挑戦にものすごく前向きに飛び込んできてくれました。ちょっとコミカルで心温まるファンタジーラブストーリー。二人がこの物語の中でどんなアンサンブルを見せてくれるのか。今から現場が楽しみで仕方がありません。■プロデューサー/松下剛『きみの瞳が問いかけている』をご一緒した三木監督とプロデューサーチームで、新たなラブストーリーの題材を探していた中で見つかったのがこの物語でした。運命的に出会い、共に時を過ごした2人がその10年後、世界が変わって全く出逢っていなかったことになってしまった時に、その恋とそれまでの人生をどのように取り戻そうとするのか、時にコミカルに、時に人生を諭すように展開される物語に魅了されました。中島健人さんは、美しい容姿やジェントルな態度など、アイドルとしての完成度が極めて高いパブリックイメージがありますが、個人的には、さまざまな映画やドラマのお芝居で見せてくれる「苛ついた時の顔」が何より魅力的な俳優さんだなという印象でした。本作の主人公は、人生をかけて手に入れた成功と、運命の相手を同時に失ったところからもがく男です。その原動力は最初は怒りに違いありません。その怒りの表情が、最終的にどんな感情に変化していくのか今から楽しみです。miletさんには以前『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』の主題歌をお願いしたことがあり、メディアでお見かけする多国籍でミステリアスな雰囲気に違わぬトリッキーでパワフルな楽曲をご提供いただいたのですが、一番印象に残ったのは、その後舞台挨拶にご登壇いただいた際の、ご本人が持つ柔らかくて朗らかでポジティブな佇まいでした。この両極端のイメージをご自身の中で併せ持っているmiletさんにしか、本作のヒロイン、市井の人とカリスマティックなシンガーソングライターの両方を同じ作品の中で演じることができる人はいない!と、今から確信しています。
2024年02月26日現在開催中の第74回ベルリン国際映画祭にて、マーティン・スコセッシ監督が金熊名誉賞を受賞した。映画芸術に大きく貢献した映画人を表彰する賞で、これまでの受賞者にはアラン・ドロン、ヴィム・ヴェンダース監督、スティーヴン・スピルバーグ監督らがいる。スコセッシ監督はプレス会見で「映画は死へと向かっているか」と聞かれ、「死に向かっているとは思いません。全くね。変わっているとは感じています」と返答。「テクノロジーが急速に消耗的に変化していく中で、私たちが本当に手放さずにいられるのは“個々の声”です。それというのは、TikTokでも表現できるし、4時間の映画でも2時間のミニドラマでも表現できるのです」と語った。近年、映画を観る方法の一つとしてストリーミングサービスが主流となり、映画やドラマ業界にはAIの使用に関する脅威も迫ってきている。スコセッシ監督は「テクノロジーを恐れるべきではありません。テクノロジーに使われてはならない。こちらがテクノロジーをコントロールし、正しい方向へと導くのです。その正しい方向とは、ただ消費されて投げ捨てられるようなものではなく、個々の声から生まれるものです」と述べた。スコセッシ監督が金熊名誉賞を受賞した日、同映画祭では代表作『ディパーテッド』の記念上映が行われた。最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』はまもなく開催のアカデミー賞で、10部門にノミネートされている。(賀来比呂美)■関連作品:キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 2023年10月20日より世界同時劇場公開画像提供 Apple TV+
2024年02月21日サム・メンデスがビートルズの伝記映画を監督することになった。4人のメンバーひとりひとりについての映画を合計4本作るという、野心的なプロジェクトだ。ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スター、故ジョン・レノンの遺族からの賛同と、音楽の使用許可は得られているという。製作、配給はソニー・ピクチャーズ。公開は2027年の予定だが、公開される順番や正確な時期はわかっていない。メンデスの最近作は、2022年の『エンパイア・オブ・ライト』。文=猿渡由紀
2024年02月21日名作『ミツバチのささやき』『エル・スール』で知られるスペインの巨匠ビクトル・エリセ監督の最新作『瞳をとじて』から、名作映画へのトリビュートといえる貴重な場面をとらえた本編映像が解禁された。先週の2月9日に公開を迎えた本作。エリセ監督は映画監督になる前、映画批評雑誌「ヌエストロ・シネ」などに批評を寄稿しており、かなりの映画通。この度新たに解禁された本編映像には、そんなシネフィル(映画狂)のエリセがある名作映画へのリスペクトを込めたオマージュが隠されているという。海辺の撮影でのビクトル・エリセ監督(左)22年前に失踪した、親友で人気俳優だったフリオをあるきっかけで再び捜すことになった元映画監督のミゲル。彼はフリオの失踪後、監督を引退し現在は執筆の仕事をしながら、海辺の町で愛犬のカリと一緒に暮らしている。ある晩、海辺の住人たちと砂浜の上のテーブルを囲み、隣に座っているトニから「俺たちが好きな曲を歌ってくれ」とギターを渡され、ミゲルはうろ覚えの歌詞を思いだしながらある歌を歌い始める。歌われているのは、数々のハリウッドの名作映画を生み出したハワード・ホークスの西部劇『リオ・ブラボー』(1959)の「ライフルと愛馬」という曲。俳優だけでなく歌手としても活躍したディーン・マーティンと当時ロックンロール歌手として有名だったリッキー・ネルソンの哀愁あふれる歌声が印象的なシーンを彩った1曲。また「ライフル、トニ、そして私」と歌っている部分は、本来「ライフル、ポニー、そして私」という歌詞で、本作では海辺の住人である“トニ”の名前がポニーにかけられており、エリセのちょっとした遊び心がうかがえる。エリセ監督はインタビューで、本作に取り入れられたオマージュシーンについて聞かれた際に、「影響を受けた名作はたくさんあるが、本作で登場するのは計画的ではなく、ほぼ無意識に行ったもの」と明かす。「映画のアイデアは私の想像から生まれたものなのだから、映画監督という登場人物について描く場合、自伝的な人物になってしまう可能性はほとんど避けられないと思っている。しかし、主人公のミゲルは私より、ずっと歌がうまい」とユーモアも交えて明かしている。このシーン以外にも、ミゲルが訪れる映画技師の友人マックスの部屋には、チャップリンの『殺人狂時代』とニコラス・レイの『夜の人々』のポスターが飾られていたり、リュミエール兄弟の初期作品『ラ・シオタ駅への列車の到着』が意外な形で登場するなど、様々な形で映画史に刻まれる名作映画について言及している。『瞳をとじて』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:瞳をとじて 2023年2月9日よりTOHO シネマズ シャンテほか全国順次公開© 2023 La Mirada del Adiós A.I.E, Tandem Films S.L., Nautilus Films S.L., Pecado Films S.L., Pampa Films S.A.
2024年02月16日映画『Cloud クラウド』が、2024年9月に公開される。主演は菅⽥将暉、監督は黒沢清。顔の見えない社会で生まれる“集団狂気”描くサスペンス・スリラー映画『Cloud クラウド』は、顔のみえない社会で拡散する、憎悪の連鎖から⽣まれる“集団狂気”を描いたサスペンス・スリラー作品だ。監督の黒沢清が着目したのは、現代日本の中で時折起きる暴力事件。事件の原因を辿っていくと浮き上がってくる“ちょっとした恨みやムシャクシャした気分がインターネットによって集結し肥⼤していくシステム”を着想源に、物語を構築していったという。主演・菅⽥将暉、⿊沢清監督と初タッグ主演は、『花束みたいな恋をした』『ミステリと⾔う勿れ』などのヒット作に出演し、アーティストとしても活躍を続ける菅⽥将暉。映画『Cloud クラウド』では、「ラーテル」というハンドルネームを使い、転売で稼ぐ主⼈公・吉井良介を演じている。脇を固めるのは、古川琴⾳、奥平⼤兼、岡⼭天⾳、荒川良々、窪⽥正孝。役者陣の化学反応に注目だ。また、1990年代にスリラー・ホラー映画の道を切り拓き『CURE』や『クリーピー 偽りの隣⼈』といった映画を手掛けてきた黒沢清が、主演の菅⽥将暉とタッグを組むのは初。金儲けと復讐が折り重なるスリリングな展開とともに、黒沢清の撮る“誰も見たことがない菅田将暉”の姿を目にすることができそう。主人公・吉井良介…菅⽥将暉転売で金を稼ぐ。ハンドルネームは「ラーテル」。ささやかな⾦儲けによって少しでも⼈より優位に⽴ちたいと願うごくありふれた人物だが、不⽤意に周囲の恨みを買ったことから命を賭けた死闘へと引きずり込まれてしまう。秋⼦…古川琴⾳吉井の謎多き恋⼈。佐野… 奥平⼤兼吉井に雇われたバイト⻘年。三宅…岡⼭天⾳ネットカフェで⽣活する男。滝本…荒川良々吉井が働く会社の社⻑。村岡…窪⽥正孝吉井を転売業に誘った先輩。【詳細】映画『Cloud クラウド』公開時期:2024年9月監督・脚本︓⿊沢清出演︓菅⽥将暉、古川琴⾳、奥平⼤兼、岡⼭天⾳、荒川良々、窪⽥正孝
2024年02月16日『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』の異才アリ・アスター監督の最新作『ボーはおそれている』がいよいよ16日(金)から公開になる。アスター監督の作品はどれも不安や恐怖、言葉にならない奇妙な感覚を鮮烈なビジュアルで描いているが、どの作品も繰り返し観賞する熱狂的なファンが多く出現する。なぜ、アリ・アスター作品はこんなにも観客を魅了するのか? 彼が作品を手がける上で“必ず意識していること”は何なのか? 来日時に話を聞いた。前作『ミッドサマー』が大成功をおさめ、アスター監督が次回作に何を手がけるのか、世界中の映画ファンが注目していたが、彼の長編第3作目は“監督デビュー前”から温めてきたプロジェクト『ボーはおそれている』だ。名優ホアキン・フェニックス演じる主人公のボーは、父の顔を知らず、母の愛情に包まれて育った。その結果、大人になっても“ある段階”から成長が止まったままで、うがい薬をうっかり飲んでしまっただけで「自分はガンになるのではないか?」とオロオロするほどの心配性になってしまった。そんなある日、彼は母が怪死したことを知る。ボーは慌てて帰省を決めるが、外の世界は不安なことだらけ。その旅は、彼の人生そのものを揺るがすほどの壮大な帰還の旅=オデッセイになる。アスター監督は本当に謎めいている。対面すると穏やかでナイスガイ。映画好きで、インタビューが終わっても筆者が映画好きだと知ると「最近、なにか良いブルーレイ買った?」と笑顔で話しかけてくれる気さくな人だ。その一方で、なぜ新作に『ボーはおそれている』を選んだのかと問われると、爽やかな笑顔のまま「僕自身はあまり居心地の良い想いをしないで生きてきたので、みんなにも僕みたいに居心地の悪い想いをしてもらいたいんですよ。でないとフェアじゃないですよね?」と不気味なジョークを飛ばしてくる。アリ、本当にナイスガイである。「本作の主人公ボーは優柔不断で、負け犬で、自分が何者なのかよくわかっていない男です。その上、人生の迷子になっています。この映画では観客のみなさんにボーという人物の人生を一緒に生きている感覚を味わってもらいたい、彼の半生を追体験してもらいたいと思っています。人生は疲れるものだから、観客もこの映画を観て疲れてもらいたいですね(笑)。と同時に、この映画を観て豊かな気持ちになったり、笑ったり、感動してもらいたいとも思っています」ボーの帰省の旅はとにかく予想外の連続だ。母の訃報を受けて、家を出るまでに想像を絶するトラブルが発生し、わけがわからないうちに見たこともない場所に放り込まれ、恐ろしさに囚われながら脱走すれば深い森に迷い込んでいる。これは現実なのか? それとも? 少し迷う観客もいるかもしれないが、アスター監督の意図は明快だ。「この映画では脚本を書く段階からすべて“ボーの主観”だけで描こうと決めていました。執筆中には主観と客観を行き来したくなる瞬間もありましたが、この映画ではボーの内面が反映された世界だけを観客に見てもらいたいと思ったのです。そう考えると、この映画はさまざまなことが起こりますが、極めてシンプルな話なんです。つまり、この映画に登場する世界と、ボーの内面には不一致がまったくないのです」ボーが不安になると、彼の見ている世界も歪みだす。彼がここではない場所、あったかもしれない未来に想いをはせると、スクリーンでは現実ではなさそうな空間が広がる。ボーの心の状態が、そのままスクリーンに映し出される。そして常に“ボーはおそれている”。こんな役を演じることのできる俳優はそうそういるものではない。「ホアキンは本当に素晴らしい俳優なんです。彼がどんな俳優なのかわかる例を挙げさせてください。彼が母親役のパティ・ルポーンと共演するシーンで、ホアキンの肩越しにパティを捉えるカットがありました。何テイクか撮影して、最高だと思えるものが撮れたぞ、と思ったら、フレームに写っていたホアキンの肩がスッとフレームから消えたんです。僕は少し離れた場所でモニターを見ていたのですが、何が起きたのか俳優たちのところに駆け寄ってみると、ホアキンは……気を失って倒れていました。彼は自分にカメラが向けられているわけではない、肩しか写っていないカットであっても、共演者のために全身全霊で演技を続けて、エネルギーを使い切って気を失ってしまったんです。ボーという役は本当に大変で、肉体的にも負担が大きく、まるで地獄を生きるような撮影だったと思います。それでもホアキンは共演者のために気を失うまで尽くすのです。彼はそういう俳優です」人間はそう簡単には成長もしないし、変化もしない私たちは、ホアキン・フェニックスが全身全霊で演じた主人公ボーの内面に入り込み、共に帰省の旅をして、予想もしなかった展開や光景に出くわす。単なる恐怖ではない、不条理と呼ぶのは安易、不安だけで片付けられるものではない……この映画を観ることでしか体験できない“唯一無二の感情、すなわち世界”がスクリーンに映し出されるのだ。興味深いのは、本作も過去のアスター作品も、観客は主人公の視点になって物語を追うが、同時に主人公と観客の“シンクロ”を明らかに邪魔したり、冷や水をかけたり、フッと冷静にさせる展開が次々に登場するのだ。キャラクターに共感・同化しながら、同時に強烈な違和感・異化の時間がやってくる。これこそがアリ・アスター映画の最大の特徴ではないだろうか。「おお、ありがとう! そのことは創作する中で常に意識しています。僕がやろうとしているのは、観客に親密さを感じさせながら、同時に異化作用を起こさせること。極めて客観的で計算され尽くされていて、不協和音が鳴っているようなトーンなのに、感情面では観客がキャラクターに完全に同化するものにしたいんです。さらに言うと、もしキャラクターが感情的に変化を遂げるのであれば、その感情の動きや変化に観客が寄り添えるものでありたいと思っています」遠くから主人公を眺めているのではなく、一緒になって物語を追体験している気分なのに、日常では絶対に起こり得ないことが起こり、予想や想像の斜め上をいく出来事が急に発生する。アリ・アスター作品の“不気味なのに、観ていてなぜか心地悪い気はしない”秘密はここにある。「本作でも同じです。ただ、この映画ではボーは遠くまで旅をしますが、精神的には変化も成長もしません(笑)。それこそがこの映画のテーマでもあるんです。人間はそう簡単には成長もしないし、変化もしない。だから、この映画でボーが変化を遂げてしまったら誠実ではなくなってしまうのです。この映画では変化しないこと、成長しないことを描いているつもりです」本作も『ミッドサマー』同様、多くの支持者を集めることになるだろう。どう考えても居心地が良いわけではないのに、なぜか魅了されてしまう“アリ・アスターの世界”は最新作でも健在だ。「この映画ではなにより作品の世界に入り込んで、没入感を味わってもらいたいので劇場で観てもらいですね。本作は公開された地域でさまざまな意見をもらっていますが、日本の観客はこの映画を気に入ってくれる予感がするんですよ!」『ボーはおそれている』2月16日(金)公開(C)2023 Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
2024年02月13日監督組合賞(DGA)が発表された。長編映画監督賞に輝いたのは、『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン。DGAの結果とオスカー監督賞の結果は重なることが多く、早くからフロントランナーと考えられてきたノーランは、これでさらにオスカーへと一歩近づいた形だ。劇場用映画新人監督賞は、『パスト ライヴス/再会』のセリーン・ソン。ソンは、オスカーの監督部門からは漏れたが、作品と脚本部門で候補入りしている。ドラマシリーズ部門の受賞者は『The Last of Us』のピーター・ホア、コメディシリーズ部門の受賞者は『一流シェフのファミリーレストラン』のクリストファー・ストーラーだった。『オッペンハイマー』3月29日(金) 公開文=猿渡由紀(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年02月12日デイミアン・チャゼル監督映画『セッション』が、2024年3月8日(金)より、全国19館の劇場で1週間限定リバイバル上映される。デイミアン・チャゼル監督映画『セッション』リバイバル上映名門音楽大学が舞台の映画『セッション』は、“完璧”を求める鬼教師の常軌を逸したレッスンと、それに喰らいつく若きジャズドラマーの対峙を描いた物語。『バビロン』や『ラ・ラ・ランド』などを手掛けたデイミアン・チャゼル監督の出世作としても知られており、今回は『セッション』の製作10周年を記念したリバイバル上映となる。マイルズ・テラー × J・K・シモンズ一流のドラマーを目指すアンドリュー・ニーマンを演じるのは『トップガン マーヴェリック』でも話題のマイルズ・テラー。対する鬼教師、テレンス・フレッチャーを演じるのはチャゼル監督作品や『スパイダーマン』シリーズでもおなじみのJ・K・シモンズだ。両者は、理想の音楽を追求し合う狂気に満ちた師弟関係を好演。特にラスト9分19秒の衝撃的な“セッション”は見逃せない。映画『セッション』あらすじ世界的ジャズ・ドラマーを目指して名門音楽学校に入学したニーマン・アンドリューは、教師のテレンス・フレッチャー率いるバンドにスカウトされる。ここで成功すれば、偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。しかし、ニーマンを待ち受けていたのは、完璧な音楽を求めるためなら手段を厭わないフレッチャーの狂気的なレッスンだった。浴びせられる容赦ない罵声や、仕掛けられる罠。じりじりと精神を追い詰められていくニーマンは、それでもフレッチャーの指導にしがみついていくが…。【上映情報】映画『セッション』公開日:2024年3月8日(金)~1週間限定上映公開劇場:全国19館※劇場により、上映日・上映期間が異なる監督・脚本:デイミアン・チャゼル出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、メリッサ・ブノワ公開劇場[北海道]札幌シネマフロンティア[埼玉]MOVIXさいたま[千葉]ユナイテッド・シネマ幕張、イオンシネマ市川妙典、キネマ旬報シアター(※3月9日(土)〜)[東京]新宿ピカデリー、池袋HUMAXシネマズ、恵比寿ガーデンシネマ、イオンシネマ板橋、イオンシネマ シアタス調布[神奈川]イオンシネマみなとみらい、イオンシネマ茅ヶ崎[愛知]ミッドランドスクエア シネマ[京都]MOVIX京都[大阪]なんばパークスシネマ、シネ・リーブル梅田[兵庫]kino cinéma神戸国際、塚口サンサン劇場[福岡]ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13※上映日や上映時間は各劇場に確認※上映劇場・期間が変更になる場合あり※チケット販売は各劇場にて行う※1,600円均一(各種サービスデーや他の割引サービスは利用不可)※プレミアムシートなどにより料金が異なる場合あり
2024年02月11日アメリカ・フェレーラが映画監督デビューを果たすことになった。作品は『I am Not Your Perfect Mexican Daughter』。製作配給はAmazon MGMスタジオ傘下のオライオン・ピクチャーズ。原作は、エリカ・サンチェスが書いたベストセラー小説。主人公は、メキシコ系移民の両親に育てられた、ライターとして成功することを夢見る若い女性。リンダ・イヴェット・シャヴェスが脚色を手がける。キャスティングはこれからのようだ。フェレーラは『バービー』で今年のオスカー助演女優部門にノミネートされた。最近の作品には『ダム・マネーウォール街を狙え!』がある。文=猿渡由紀
2024年02月06日2月9日(金) から上映される映画『瞳をとじて』より、監督ビクトル・エリセの映画愛が詰まった本編映像が公開された。本作は、『ミツバチのささやき』『エル・スール』で知られるエリセ監督が、第76回カンヌ国際映画祭で発表した31年ぶりの長編新作。元映画監督と謎の失踪を遂げたかつての人気俳優、ふたりの記憶をめぐる「人生」と「映画」の物語を描く。エリセ監督のデビュー作『ミツバチのささやき』の主演に5歳で抜擢されたアナ・トレントが、50年ぶりに同じく“アナ”の名前を持つ女性を演じることも話題に。かつて失踪した元人気俳優の娘役という重要な役どころを演じる。撮影中のビクトル・エリセ監督公開されたのは、衰退したフィルムに思いを巡らす映画愛にあふれたシーン。22年前に自身が監督し、主演俳優の失踪によって未完に終わった映画のフィルムを求めて、主人公のミゲルは友人の映写技師・マックスの自宅を訪れる。フィルムを保管している部屋に入ると、マックスはミゲルに今や忘れられつつある“フィルム”についての思いを語りはじめる。データで映像を管理するのが当たり前になった現代だが、マックスは「映画の歴史の9割以上はフィルムに焼き付けられている」とフィルムの重要性を訴えながらも、「フィルムはもう用なしだ」「フィルムに興味がある人々はいる、だが映写機を持っていない」などと衰退したフィルムに対して、やるせない気持ちを告白するのだった。フィルムについて、エリセ監督は「映画を撮る者の記憶は、ブリキ缶の棺に大切に保管されたフィルムだ。映画館のスクリーンから遠く離れて、映像視聴メディアによって社会における居場所を奪われた、それぞれの物語の亡霊たち。この文章を綴る者の記憶と同じように、長く刻まれる」と語っている。『瞳をとじて』本編映像(映写技師マックス)<作品情報>『瞳をとじて』2月9日(金) 公開公式HP: La Mirada del Adiós A.I.E, Tandem Films S.L., Nautilus Films S.L., Pecado Films S.L., Pampa Films S.A.
2024年02月06日『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン監督が「タイム」誌とのインタビューで、最近観たお気に入りの映画として『パスト ライブス/再会』と『aftersun/アフターサン』を挙げた。どちらも映画祭や賞レースで高い評価を受けている作品であり、小規模な映画であるという共通点がある。ノーラン監督は「繊細」「ただただ美しい」と感想を述べて称賛したが、自身はこれからも大規模な映画を作っていくと語った。自身のキャリアを『フォロウィング』『メメント』とインディ作品からスタートしたノーラン監督。しかし、近年では『ダークナイト』三部作、『TENET テネット』『オッペンハイマー』など多額の製作費をかけた作品を撮り続けている。「私が大きなスケールの作品に魅力を感じるのは、それだけの資金を集めることができる機会がどれだけ脆いものかわかっているからです。世界中には私が集める資金を何としてでも手に入れたいという映画製作者がたくさんいます。だから、私はその資金を最も生産的で興味深い方法で使うという責任があると感じているのです」とその理由を明かしている。この発言を証明するようにノーラン監督は『オッペンハイマー』の撮影中、撮影期間を85日から57日に短縮し、プロジェクト・デザインやロケ撮影の方に予算を拡大した。(賀来比呂美)■関連作品:オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年02月01日現在日本公開中の『僕らの世界が交わるまで』の世界プレミアは、2年前のサンダンス映画祭。この映画で監督デビューしたジェシー・アイゼンバーグが、今年は最新作を引っ提げてサンダンスに戻ってきた。監督2作目となるその映画『A Real Pain』では、主演も兼任。アイゼンバーグ演じるユダヤ系アメリカ人のデビッドと従兄弟ベンジーは、亡くなった祖母の出身地であるポーランドを訪ねる。その昔ナチからユダヤ人が受けた残酷な仕打ちを肌で感じる彼らはまた、今、そこにある個人的な痛みにも目を向けていく。ベンジーを演じるのは、テレビドラマ『メディア王〜華麗なる一族〜』でエミー賞をはじめ数々の賞に輝くキーラン・カルキン。コメディのセンスがあいかわらず抜群なのはもちろん、感情的なシーンでは強く感動させてくれる。アイゼンバーグの監督としての成長ぶりが明らかに見える優れた作品。『僕らの世界が交わるまで』に続き、今回もアイゼンバーグの友人であるエマ・ストーンがプロデューサーのひとりを務める。映画祭中にはサーチライトが1,000万ドルで世界配給権を獲得しており、日本でも公開されそうだ。文=猿渡由紀
2024年01月29日2月2日(金) から公開される映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』より、クレイグ・ギレスピー監督のコメントが到着した。本作は、ベン・メズリックのノンフィクションを基に映画化した作品で、コロナ禍の2021年、SNSに集まった個人投資家たちが起こした全米を巻きこむ社会現象“ゲームストップ株騒動”を、ユーモアを交え描く。監督のギレスピーはパンデミックの最中、ゲームストップ株の成り行きに一喜一憂する息子とともにこの騒動をリアルタイムで体験したという。当時のことを「人々のフラストレーションと歓喜、取引の激しさ、そして投資アプリ『ロビンフッド』がシャットダウンしたときの衝撃と怒り、それに続く破滅的状況と失望。人々を夢中にさせ、感情を疲弊させ、時に陶酔感を与える、ジェットコースターのような出来事」と振り返る。そして「息子は3分おきに携帯電話をチェックしていた。ロビンフッドとヘッジファンドの間で何が起きたのか、起きていることすべてをリアルタイムで理解しようとしたんだ」と、映画でも描かれた狂騒ぶりを伝えてくれた。クレイグ・ギレスピー監督「今作のテーマには全員が何かしら関わりを持っていたと思います」とプロデューサーが話す、物語の中心となる平凡な会社員キース・ギルを演じるのは、近年『THE BATMAN -ザ・バットマン-』『フェイブルマンズ』(22) に出演したポール・ダノ。監督は彼のキャスティングにあたり、『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフが死体役を演じた異色のサバイバル劇『スイス・アーミー・マン』(16) を観返したそう。「私はポールが大好きで、彼の幅広い役柄には驚くばかりです。実際、僕が見返した映画は『スイス・アーミー・マン』で、あの無邪気さや演技の中には『ダム・マネー』での“ローリング・キティ”役と似ているところがたくさんあると感じたからなんだ」と明かしている。そしてキースら市民の敵とも言えるヘッジファンドの億万長者“ゲイブ”を演じるのは、コメディ俳優の枠を超え、声優業から製作業まで幅広くこなすセス・ローゲン。プロデューサー曰く、「演じる役に対するセスの分析力こそ、監督が求めていたものです。彼はユーモアも交えますが、その下には本質と誠実さがあります。セスにできないことはありませんが、彼が特に素晴らしいのは、激しい怒り、傲慢さ、野望など見応えのある表現力です」と賛辞を送っており、平面的なキャラクターにはしたくないという製作陣の意向に合致したキャスティングとなった。ゲイブ・プロトキン役 セス・ローゲン<作品情報>『ダム・マネー ウォール街を狙え!』2月2日(金) 全国公開『ダム・マネー ウォール街を狙え!』ビジュアル公式サイト: BBP Antisocial, LLC. All rights reserved.
2024年01月23日和山やまの人気漫画を監督・山下敦弘、脚本・野木亜紀子、綾野剛と新鋭・齋藤潤の共演で映画化した『カラオケ行こ!』が好評だ。1月12日に劇場公開され、綾野さんが演じたヤクザ・狂児や齋藤さんによる合唱部部長の中学生・聡実に“沼る”人々が続出。オリジナル展開含めて原作ファンからの満足度も高く支持されている。早くも、原作の続編である「ファミレス行こ。」の映画化を熱望する声が高まっているほどだ。では具体的に、どういった部分が実写映画『カラオケ行こ!』の魅力なのか?その一端を紹介する前に筆者の背景を軽く説明させていただくと…元々和山作品の愛読者で、映画版でオフィシャルライターを務めた立ち位置。そういった前提で、以降の原作ファン目線の文章を楽しんでいただければ幸いだ。原作と重なる、山下敦弘監督の“観察目線”実写映画化するうえで、「和山作品が持っている独特の空気感をどう実写にするか」は難しい問題だ。そもそも本作は「カラオケ大会で最下位になりたくない(ダサい刺青を彫られるから)ヤクザが、合唱部部長の中学生に歌のレッスンを頼む」という荒唐無稽なもの。ただそれをハイテンションに描くのではなく、かといっていわゆる“ゆるい”脱力系のトーンで描くでもなく、独特の浮遊感がきちんとリアリティをもって存在している「ありそうにないことが受け入れられる可能性を有した」抱擁感のある世界にせねばならない。だが実際の風景が画面に映り、生身の人間が演じる以上どうしたって生々しさは付いて回るし、下手に削除しようものなら浮いたコメディになってしまう。そんな中で輝きを放ったのが、2つのコラボレーション。一つは「山下ワールド×野木脚本」であり、もう一つは「新鋭俳優×ベテラン勢」だ。こちらの項目では前者について紹介しよう。山下監督といえば近作『1秒先の彼』でも顕著なように、原作から数センチ浮いた空気感が持ち味。カットを細かく割らずにやや引きの視点&間をしっかり取って登場人物の“おかしみ”を浮かび上がらせる手法が、「紅」を熱唱する狂児を冷めた目で見つめる聡実の心情というよりもその光景“自体”のファニーさを強め、観客の心理にリンクする。橋本じゅんややべきょうすけ扮する強面ヤクザが意外な選曲を歌い上げるシーン自体にはある種の王道ギャグ的なあざとさがあるが、それをこれ見よがしに演出するのではなく、ただただ“観察”するテンションは、和山作品のカメラポジションと絶妙にマッチしている。白眉と言えるのは原作の特色であるモノローグ(聡実によるツッコミ)を省いている部分で、笑いをもたらすギミックを手放して情報/要素を減らし、画全体でニヤッとさせる映画ならではの手腕は実に見事。現実的な「時代の流れ」を盛り込んだ野木亜紀子の脚本そして、野木氏によるオリジナルエピソードの数々。特筆すべきは「時代の流れによって廃れ、失われゆくもの」の悲哀を混ぜ込んでいるところだろう。例えばヤクザという存在。綾野さんが主演した『ヤクザと家族 The Family』でも描かれたように、暴対法等によって居場所を奪われていく彼らの姿が、再開発によって消えていく街の風景とオーバーラップする構造になっている。そしてまた、聡実は中学3年生であり、近いうちに卒業し、合唱部や学び舎を離れる運命にある。狂児と聡実の関係はもとより期間限定であり、様々な形で「別れ」が暗示されている点が秀逸だ(さりげない形で交わされる映画と動画の違いも「時代の流れの無常観」を強める重要なキーとして機能している)。原作のドラマ面での重要なポイントは、狂児と聡実の友情だろう。その部分が強化されるだけでなく、あまつさえ切なさを掻き立て、かつ我々観客が実感している時代性(コロナ禍で街の風景や居場所がなくなる哀しみはより強まった)をも盛り込むこと――山下監督の原作との親和性、野木氏の観客との親和性が溶け合ったことで、笑えるだけでなくより“エモい”作品へと進化した印象だ。綾野剛・齋藤潤が提示した、“肉体化”の方法論現実感と浮遊感が組み合わさった世界観が構築されたうえで、躍動したのが綾野剛と齋藤潤。彼らの演技にも、リアルとフィクションが混ぜ込まれていった。ひとつは「ドキュメンタリータッチ」であるということ。齋藤さんはオーディションで選ばれた新鋭で、入念なリハーサル等を踏んだうえで撮影に臨んだというが、それでも彼自身が感じていた大役への不安や緊張を隠し過ぎずにむしろ生かして聡実の説得力を持たせていった(そもそもヤクザと2人きりでカラオケルームにいる状況は中学生にとって恐ろしいものだろうし、それでも歌のことになると妥協できずに手厳しくなる、という聡実のキャラクター性も強化されている)。最大の見せ場は終盤の熱唱シーンだが、声変わりの具合や安定せずとも魂で歌う必死さ等々、真に迫った熱演に原作ファンは「なるほど、あのシーンは(実際には)こういう感じだったのか!」と膝を打つのではないか。原作の解像度を高めてくれるような存在感が、齋藤潤には備わっている。そして、綾野剛の原作理解度。彼に公式インタビューを行った際、「聡実と狂児が噛み合ってはダメ」と難しさを語っていたが、俳優的な快感(対話が成立し、お互いに高まっていくグルーヴ感)を良しとせず、作品ファーストで「浮く」ことに果敢に挑みに行った結果、狂児の「話しやすいナイスガイだが、どこかわからなさ・読めなさがあるそこはかとない怖さ」という絶妙な塩梅が生み出された。狂児が「紅」を熱唱する(裏声も含めた入り込み&パターンの多彩さ!)シーンにはつい笑わされてしまうのだが、その奥にはようとして知れない・近づけない別世界の人間であるという部分が確かに感じられ、表層的な「キャラクター」になっていない。漫画の実写化は、ビジュアルメディアからビジュアルメディアへの変換だ。そのため見た目を寄せようとするアプローチ自体は王道ではあるが、避けねばならないのは「外見に中身がついていっていない」状態。むしろ、本質が合致していれば「ビジュアル的な原作再現度」は最優先事項ではない、と考える人が多いのではないか。映画『カラオケ行こ!』の狂児は原作のようにオールバックのヘアスタイルではないが、本質/魂の部分で「これは狂児だ!」と十二分に納得できるからこそ、原作ファンからも厚く支持されているのだろう。(SYO)■関連作品:カラオケ行こ! 2024年1月12日より全国にて公開©2023「カラオケ行こ!」製作委員会
2024年01月18日Bialystocksの甫木元空(Vo)が監督を務める最新作『BAUS 映画から船出した映画館』の製作が決定した。本作は、青山真治が温めていた『吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館』(boid刊)と『吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記』(本田拓夫著/文藝春秋企画出版部発行・文藝春秋発売)を原作に、甫木元が脚本を引き継いで執筆。今はなき吉祥寺のミニシアターをめぐる家族の物語となっている。映画は2025年の公開を目指して製作中で、豪華俳優陣の出演も予定している。また「“あの頃”吉祥寺の映画館では何が起きていたのか?」と銘打ち、当時の写真や映像の一般公募もスタート。1925年に吉祥寺初の映画館として歴史をスタートした「井の頭会館」時代や、1951年に開館し、のちにバウスシアターへと改築される「ムサシノ映画劇場」時代、そして「吉祥寺バウスシアター」時代といった、約90年という時の中で様々な表情を見せる映画館や街との思い出を、2月29日(木) まで募集中だ。■甫木元空 コメント映画館が生まれ、大きくなり、そしてなくなるまでの物語。そこに特別な秘密があるわけではなく、世界中どんな街にも存在する映画館に生きた無名の家族の物語です。映画という窓を街に作り、娯楽という風を吹き込む事に奮闘した無名の(無数の)人々の密やかな企み。決して戦争をしてもよいと企む人々ではない。かすかな自由と幸福を見つけようと懸命に生きたこの家族の思いが、空想と共にささやかな一本の映画となって、世界の人々に映画館の存在を改めて説いてくれる。そんな願いを込めて本作を作れたらと思っています。<作品情報>『BAUS 映画から船出した映画館』2025年公開予定写真&映像の応募ページはこちら:※募集期間:2月29日(木) 23:59まで
2024年01月17日セレーナ・ゴメスが主演するリンダ・ロンシュタットの伝記映画の監督に、デヴィッド・O・ラッセルが就任したことが分かった。ラッセル監督はアカデミー賞において、『ザ・ファイター』で監督賞、『世界にひとつのプレイブック』で脚色賞と監督賞、『アメリカン・ハッスル』で脚本賞と監督賞と、これまで5度のノミネート歴がある。アメリカ西海岸を代表する稀代のシンガーのリンダ。主に70年代から80年代にかけて活躍し、「悪いあなた」、「夢はひとつだけ」など大ヒットを連発。グラミー賞を10度以上獲得している。2014年にはロックの殿堂入りを果たした。2011年に引退を発表。2013年にはパーキンソン病で歌うことができないと語っていたが、のちに進行性核上麻痺であることが判明したという。引退後は2013年に自伝「Simple Dreams: A Musical Memoir」を出版。2019年、この自伝に基づいたドキュメンタリー映画『リンダ・ロンシュタット サウンド・マイ・ヴォイス』が製作された。今作は同作のプロデューサーを務めたジェイ・キーチと、リンダのマネージャーのジョン・ボイランが製作を務める。リンダを演じるセレーナは、インスタグラムのストーリーズにリンダの自伝の画像を載せ、本作について報告した。(賀来比呂美)
2024年01月15日オーストラリア先住民族出身の監督たちによる全5作品を日本初上映する「オーストラリア先住民映画祭2024」が、2月3日(土)に渋谷・ユーロスペースにて開催決定。会場、オンライン配信のハイブリッド形式にて開催される。口承に基づく文化を、新たな手段として映画で表現オーストラリアの先住民族(アボリジナルの人々とトレス海峡島嶼民)は6万年以上前からオーストラリアに住み、世界でも最古に属する文化の伝統を守ってきた。18世紀に始まったヨーロッパ人の入植は彼らの生活に大きな衝撃を与えたものの、それでもその文化は生きながらえ、現在も彼らはその精神性、土地との繋がりを様々な芸術を通じて表現している。そして1960~1970年代にかけてテレビが家庭に普及する中、先住民の権利回復運動の高まりと相まって、この口承に基づく文化から、新たな表現手段としての映画が先住民自身により作られるようになった。1990年代には、オーストラリアの映画機関の振興策により、新しい先住民の映画製作者たちが相次いで登場し、彼らはこの新たな表現手段を自らのものとして、作家性を追求するようになっていく。現在、ウォリック・ソーントン、レイチェル・パーキンズ、リア・パーセルなど先住民の監督は世界で活躍をしている。先住民の監督による作品を上映する今回の「オーストラリア先住民映画祭」では、映画という光の芸術により、紡ぎ続けられている彼ら自身の文化の物語に触れる。ドキュメンタリー映画から短編作品まで珠玉の5作品今回、初開催となる「オーストラリア先住民映画祭 2024」では、先住民の監督たちによる多彩なラインアップを会場とオンライン配信のハイブリッド形式にてお届け。『フィンク 悠久の大地を駆ける』“砂漠の王者”の称号獲得に人生をかけるライダーたちを追ったドキュメンタリー映画『フィンク 悠久の大地を駆ける』、オーストラリアの女優リア・パーセルが1893年のオーストラリア奥地を舞台に人種差別と女性蔑視を取り上げたスリリングな『家畜追いの妻モリー・ジョンソンの伝説』。短編作品では、ヴェネチア国際映画祭やベルリン国際映画祭でも評価の高いウォリック・ソーントン監督が先住民コミュニティ向けラジオ局のある一夜を描いた『グリーン・ブッシュ』。『グリーン・ブッシュ』古いしきたりによって許嫁となった見ず知らずのふたりをみずみずしいタッチで描いたラブコメディ『マイベッド、ユアベッド』。『マイベッド、ユアベッド』ヌラヌラ(こん棒)を振り回すおばあちゃんたちに立ち向かう白人の若手警官を描いた『ヌラヌラ』は、西部劇の雰囲気を感じさせる軽妙なコメディとなっている。『ヌラヌラ』また、ジャスティン・ヘイハースト駐日オーストラリア大使、本映画祭アドバイザーでプロデューサー、シドニー工科大学准教授のポーリーン・クレイグ、日本を代表するオーストラリア映画研究者の佐和田敬司(早稲田大学教授)、映画評論家の村山匡一郎、オーストラリア先住民族の伝統楽器「ディジュリドゥ」の奏者・画家のGOMAより、開催に寄せるコメントも到着。『家畜追いの妻モリー・ジョンソンの伝説』の監督・主演リア・パーセル、プロデューサーのベイン・スチュワートの来日も決定し、トークイベントを開催する。「オーストラリア先住民映画祭 2024」開催に寄せるコメント■ジャスティン・ヘイハースト(駐日オーストラリア大使)「オーストラリア先住民映画祭2024」を、皆さまにご紹介できることを嬉しく思います。アボリジナル・ピープルとトレス海峡島嶼民は、古くからストーリーテリングを活用し、現存する世界最古に属する文化を共有してきました。オーストラリアの先住民の人々は、こうした伝統を土台に映画を通じて自らの物語を語り始め、今ではこの分野で卓越した才能を発揮しています。先住民の人々による映画制作が盛んになる中、わが国のこうした人々の多くの物語が、世界に発信されているのは素晴らしいことです。多くの皆さまが、オーストラリアの先住民の創造性を祝う、この映画祭で様々な種類の作品を楽しまれるよう願っています。■ポーリーン・クレイグ(プロデューサー、シドニー工科大学准教授)過去30年に、オーストラリアの先住民の語り手がカメラの後ろに立って、重要な役割を果たす動きが顕著になりました。そして、世界に波のように押し寄せた先住民映画の一翼を担ったのです。こうしたオーストラリアの先住民映画作家は、自らのストーリーを自らの目線で伝えています。今回のイベントでは、歴史上のストーリーと現代のストーリーを描いた作品がそれぞれ上映されます。その両方をお楽しみいただければ、幸いに存じます。こうしたストーリーがあったからこそ、今日のオーストラリアらしさが確立されたのです。■佐和田敬司(早稲田大学教授)先住民の文化はオーストラリア芸術のあらゆる分野を牽引している。文学、演劇、ダンス、音楽、美術、そして映画も例外ではない。20世紀の中頃までは先住民が映画をつくることも、演じることも出来ないという根強い偏見があった。それが突き崩され、今や多彩な俳優たち、実力のある監督、脚本家などによって、優れた先住民映画が次々と生み出されている。かつては語られるだけであった彼・彼女らが、みずから語りだし、さらには彼らの文化に無尽蔵にある物語によって、オーストラリアの歴史を語り直そうとしている。先住民映画の現在を、この上映会でぜひ体感してほしい。■村山匡一郎(映画評論家)オーストラリア映画は今日、世界中でその存在感を高めているが、そんなオーストラリア映画の現状を知る上で、先住民出身の監督・俳優・スタッフを抜きにしては語れない。それほど多くの豊かな才能がオーストラリア映画を彩っているからだ。そんな先住民の伝統文化を受け継ぐ映画人たちが創り出す数々の映画を通して、わが国ではあまり知られていないオーストラリア映画の多様性と魅力に触れる絶好の機会である。■GOMA(オーストラリア先住民族の伝統楽器「ディジュリドゥ」の奏者、画家)オーストラリア先住民と聞いて何をイメージしますか?ウルル(エアーズロック)、壁画、ディジュリドゥ?この映画祭で上映される作品は全て先住民監督による作品です。’00年代になりスポーツや芸術の領域で先住民スターが誕生し始めました。これから来たるであろう先住民 × テクノロジーの革命前にこの転換期の作品達をぜひ観てほしい。あなたが抱いているオーストラリア先住民へのイメージは劇的にアップデートされることでしょう。「オーストラリア先住民映画祭2024」は2月3日(土)、ユーロスペースにて開催。(シネマカフェ編集部)
2024年01月10日ジョン・ファヴローが『スター・ウォーズ』劇場用新作映画を監督することになった。タイトルは『The Mandalorian & Grogu』。ディズニープラスのシリーズ『マンダロリアン』でお馴染みのマンダロリアンとベイビー・ヨーダに焦点を当てるもののようだ。シリーズに主演するペドロ・パスカルがこの映画にも登場するのかどうかは明らかでない。シリーズは第4シーズンの製作が決まっている。『The Mandalorian & Grogu』は、年内に撮影が開始される模様。このほかに、ファヴローは2016年に大ヒットした『ジャングル・ブック』の続編を監督する予定。文=猿渡由紀
2024年01月10日マルコ・ベロッキオ監督の映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』が、2024年4月26日(金)より、恵比寿ガーデンシネマや新宿シネマカリテほかにて公開される。「エドガルド・モルターラ誘拐事件」を映画化映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』は、史実「エドガルド・モルターラ誘拐事件」に基づいた衝撃的な物語だ。1858年に起きた「エドガルド・モルターラ誘拐事件」は、ユダヤ人街で家族と共に暮らしていた、7歳を迎える男児エドガルドが「何者かに洗礼を受けた」という情報によって、教会に連れ去られた実在の事件。スティーヴン・スピルバーグが、映画化に向けて、書籍の原作権を押さえていたことでも知られている。監督を務めるのは、現代イタリア映画を牽引してきたマルコ・ベロッキオ。1965年『ポケットの中の握り拳』で監督デビューを果たして以降、数々の名作を世に送り出してきた巨匠だ。80年代から90年代にかけては、『肉体の悪魔』や『蝶の夢』といった人間の内面に迫る、精神分析に長けた作品も手掛けている。本作は、2023年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品を皮切りに、世界中の映画祭をまわり、イタリア映画記者組合が選出するナストロ・ダルジェント賞では7部門を受賞。知られざる衝撃の実話と、85歳にして熱量の衰えぬベロッキオにより高濃度で描かれたドラマが高い評価を得ている。エドガルド役は新星エネア・サラエドガルド役には、新星エネア・サラを抜擢。モルターラ家の息子で、教会の絶対的権力者であるローマ教皇の指示のもと、突如連れ去られてしまう男の子の役を演じる。あらすじ1858年6月、イタリア北部の都市・ボローニャ。ユダヤ人一家のモルターラ家に、教皇から派遣された兵士たちが押し入り、7歳になる息子エドガルドを連れ去ってしまう事件が起きる。理由は、エドガルドが「何者かに洗礼を受けた」という情報によるものだった。モルターラ夫妻は息子を奪還するべく、あらゆる手を尽くすが、教会とローマ教皇はエドガルドの返還に応じようとしない。突然誘拐された息子を取り戻す闘いは、世論と国際的なユダヤ人社会が入り交じり、急速に政治的な局面を迎えていくのであった。【作品詳細】映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』公開日:2024年4月26日(金)監督:マルコ・ベロッキオ脚本:マルコ・ベロッキオ、スザンナ・ニッキャレッリ出演:パオロ・ピエロボン、ファウスト・ルッソ・アレジ、バルバラ・ロンキ、エネア・サラ、レオナルド・マルテーゼ製作:ベッペ・カスケット、パオロ・デル・ブロッコ配給:ファインフィルムズ原題:Rapito
2024年01月08日アンドレイ・タルコフスキーが監督を務めた映画『ノスタルジア 4K 修復版』が、2024年1月26日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国の劇場にて順次公開される。旧ソ連映画界の巨匠、アンドレイ・タルコフスキーアンドレイ・タルコフスキーは、旧ソ連映画界の巨匠にして不世出の映画作家。54年という短命な生涯の中で全8作品の劇映画を世に送り出し、今もなお映画人やアーティスト達に影響を与え続けている。1962年の長編1作目『僕の村は戦場だった』ではヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞等を受賞。1967年にはロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』を完成させたが、歴史解釈を巡りソ連当局の激しい批判を受け、5年間の上映禁止に。一方で同作品はカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞し、高い評価を得た。さらに、『惑星ソラリス』『鏡』『ストーカー』といった作品でも唯一無二の映像世界を展開し、世界的な映画監督としての評価を確立した。祖国を出たタルコフスキーが描く『ノスタルジア』しかし、依然としてソ連国内の厳しい検閲にさらされていたことからアンドレイ・タルコフスキーはソ連を出国。タルコフスキーが初めてソ連国外であるイタリアで製作したのが、長編6作目の『ノスタルジア』だ。タルコフスキーは『ノスタルジア』について、「祖国を離れたロシア人特有の精神状態=ノスタルジアを描きたかった」と話していたという。タルコフスキーが3年半を費やして“郷愁”を表現した映画『ノスタルジア』は、陰影に富んだ映像と繊細な音響により、空間、時間、そして人間の葛藤を映し出す作品だ。中世からルネサンス期のフレスコ絵画と近代美術が一体化したかのような、洗練された映像に、アンドレイ・タルコフスキーの父であるアルセーニイ・タルコフスキーの詩、ヴェルディの「レクイエム」やベートーヴェンの「第九交響曲」、ロシアの民族音楽といった音楽が重なり、タルコフスキーの“詩的宇宙”を描き出す。なお、『ノスタルジア』は1983 年カンヌ国際映画祭で「この映画の創造に対する特別大賞」「国際映画批評家連盟賞」「エキュメニック審査員賞」を受賞し、3冠に輝いた。映画『ノスタルジア 4K 修復版』ではより精細な映像に映画『ノスタルジア 4K 修復版』では、より精細な映像で蘇った『ノスタルジア』を楽しめる。祖国を思うタルコフスキーが生み出した絵画的な映像美はもちろんのこと、劇中で印象的なカメラの横移動や長回しショットにも注目だ。映画『ノスタルジア』あらすじイタリア中部トスカーナ地方、朝露にけむる田園風景に男と女が到着する。モスクワから来た詩人アンドレイ・ゴルチャコフと通訳のエウジュニア。ふたりは、ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿っていた。18 世紀にイタリアを放浪し、農奴制が敷かれた故国に戻り自死したサスノフスキーを追う旅。その旅も終りに近づく中、アンドレイは病に冒されていた。古の温泉地バーニョ・ヴィニョーニで、世界の終末が訪れたと信じるドメニコという男と出会う。やがてアンドレイは、世界の救済を求めていく 。【詳細】映画『ノスタルジア 4K 修復版』公開日:2024年1月26日(金)監督:アンドレイ・タルコフスキー脚本:アンドレイ・タルコフスキー、トニ一ノ・グエッラ撮影監督:ジュゼッペ・ランチ出演:オレーグ・ヤンコフスキー、エルランド・ヨセフソン、ドミツィアナ・ジョルダーノ原題:NOSTALGHIA
2023年12月31日12月22日よりザック・スナイダー監督のSF超大作『REBEL MOONーパート1:炎の子』の世界配信がスタートした。これまで『バットマン vsスーパーマン ジャスティスの誕生』『ジャスティス・リーグ』などを手掛け、スーパーヒーロー映画やSF映画に定評のあるスナイダー監督に、盟友クリストファー・ノーラン監督が称賛を送った。「今日公開されるスーパーヒーロー映画やSF映画で、ザックの影響を受けていないと思われるものはありません。ザック・スナイダーの映画を観ると、映画が持つ可能性に対する彼の愛情を理解し、感じることができるでしょう。その可能性というのは、ファンタジー的にもでき、現実感を高めることもでき、それでいて観客を感動させワクワクさせるというものです」と「The Atlantic」誌の記者に語ったという。ノーラン監督は2013年にスナイダー監督がメガホンを取った『マン・オブ・スティール』でプロデューサーを務め、以降2人は親交を深めていった。同じくスナイダー監督の『バットマン vsスーパーマン ジャスティスの誕生』『ジャスティス・リーグ』『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』では、ノーラン監督は製作総指揮を務め、スナイダー監督の仕事ぶりに触れる機会も多々あった。(賀来比呂美)■関連作品:ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット 2021年5月26日よりデジタル配信開始©2021 Warner Media Direct, LLC All rights reserved. HBO MAX(R) is used under license.
2023年12月27日ジャーナリストの須賀川拓監督最新作『BORDER 戦場記者 × イスラム国』が、2024年3月15日(金) より開催される「TBSドキュメンタリー映画祭」にて「ソーシャル・セレクション」作品として上映されることが決定した。須賀川監督は、2019年から2023年までJNN外信部中東支局長として、レバノン、イラン、イスラエル、アフガニスタンといった中東各国を取材。また、ウクライナへの取材など紛争地に生きる一般市民の声を積極的に発信し続ける日本人ジャーナリストだ。2022年には、国際報道で優れた業績をあげたジャーナリストに贈られる「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。そして同年には、初の全国公開となったドキュメンタリー映画『戦場記者』を発表した。最新作では、シリア奥深くの砂漠にある難民キャンプを取材。壊滅したと思われている過激派組織イスラム国、その極めて危険な思想にいまだ共鳴する人々がいる現実を映し出す。須賀川は「戦争は、長引けば長引くほど悲惨だ。多くの人が死ぬのに、その悲惨な現実への関心は薄れていく。『私たちのことを忘れないでください』これが戦地からの悲痛なメッセージだ。戦争の負の遺産を先進国に住む私達が知ることで、未来の誰かが救われるかもしれない」と本作に込めた思いをコメントしている。<開催情報>「TBSドキュメンタリー映画祭」2024年3月15日(金)〜28日(木) 東京・ヒューマントラストシネマ渋谷2024年3月22日(金)〜4月4日(木) 大阪・シネ・リーブル梅田2024年3月22日(金)〜4月4日(木) 愛知・名古屋・センチュリーシネマ2024年3月22日(金)〜4月4日(木) 京都・アップリンク京都2024年3月29日(金)〜4月11日(木) 福岡・キノシネマ天神日程調整中 札幌・シアターキノ<作品ラインナップ >【ソーシャル・セレクション】人種や戦争、社会問題など、現代を取り巻く重要なテーマを考える今だから見るべき作品『坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち』『坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち』(C)TBS音楽家はなぜ、社会発信を強めていったのか。坂本龍一が遺したもの……監督:金富隆出演:坂本龍一『サステナ・フォレスト ~森の国の守り人(もりびと)たち~』『サステナ・フォレスト ~森の国の守り人(もりびと)たち~』(C)TBS“森の国”日本放置された末に今、「守り人」たちは……監督:川上敬二郎出演:橋本光治、橋本延子、橋本忠久、柴田君也、小林正秀、蔵治光一郎、佐藤宣子、齋藤暖生『家さえあれば ~貧困と居住支援~』※大阪・京都 限定上映作品『家さえあれば ~貧困と居住支援~』(C)MBSたとえ何度裏切られても──居住支援を続ける理由とは?監督:海老桂介出演:坂本慎治ナレーター:田村裕(麒麟)『102歳のことば~生活図画事件 最後の生き証人~』※北海道 限定上映作品『102歳のことば~生活図画事件 最後の生き証人~』(C)HBC絵を描くことすらも許されない時代がかつて日本にあった監督:長沢祐出演:菱谷良一朗読:古舘寛治ナレーション:世永聖奈『リリアンの揺りかご』※福岡 限定上映作品『リリアンの揺りかご』(C)RKB「歴史の女神」は見つめているいつも愚かで不寛容な私たちを監督:神戸金史出演:リリアン・ギッシュ、植松聖、神戸金佑【ライフ・セレクション】家族の形や身体的な障害など、多様な生き方や新たな価値観を見出せる作品『私の家族』『私の家族』(C)TBSママが2人いる……丁寧に話したい、もう後悔したくないから監督:久保田智子『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』(C)TBS鑑賞後もあなたは、ハーレム教団と呼びますか?監督:佐井大紀出演:千石まさ子、千石恵、千石美砂紀、井上安子、土田尚美、小串恵子、千石朋子、千石成美、鳥越俊太郎、千石剛賢『魚鱗癬と生きる ー遼くんが歩んだ28年ー』※福岡 限定上映作品『魚鱗癬と生きる ー遼くんが歩んだ28年ー』(C)RKB難病「魚鱗癬」を知っていますか?RKB報道部が伴走した軌跡監督:大村由紀子出演:梅本遼ナレーション:橋本由紀『劇場版 僕と時々もう1人の僕~トゥレット症と生きる~』※名古屋 限定上映作品『劇場版 僕と時々もう1人の僕~トゥレット症と生きる~』(C)CBC制御不能な“もう1人の僕“「ヘルプマークあっても変わらない」監督・撮影・ナレーション:柳瀬晴貴出演:棈松怜音、酒井隆成、ののか【カルチャー・セレクション】視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など、感覚を司る表現者たちやテーマを通して新たな感性に出会える『映画 情熱大陸 土井善晴』※東京・大阪・京都 限定上映作品『映画 情熱大陸 土井善晴』(C)MBSありがとう先生!ご飯作って食べるのがメッチャ楽しくなりました監督:沖倫太朗出演:土井善晴ナレーション:窪田等音楽:葉加瀬太郎『最後のMR.BIG~日本への愛と伝承』『最後のMR.BIG~日本への愛と伝承』(C)TBS日本を愛し、日本に愛されたバンドによる最後の別れ──監督:川西全出演:MR.BIG[エリック・マーティン(Vo)、ポール・ギルバート(G)、ビリー・シーン(B)、パット・トーピー(Ds) ]『ダメな奴~ラッパー紅桜 刑務所からの再起~』『ダメな奴~ラッパー紅桜 刑務所からの再起~』(C)TBS「カッコ悪くていい」刑務所からの再起を賭けた男の物語監督:嵯峨祥平出演:紅桜ナレーション:大塚芳忠『旅する身体~ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi~』『旅する身体~ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi~』(C)TBS身体的特徴も個性もバラバラ。Mi-Mi-Biの身体を巡る旅監督:渡辺匠、志子田勇出演:内田結花、KAZUKI、武内美津子、福角幸子、福角宣弘、三田宏美、森田かずよ、大谷燠、文、橋本実弥公式サイト:
2023年12月25日アリ・アスター監督3年ぶりの来日を記念して、来年2月16日(金) に公開される最新作『ボーはおそれている』のジャパンプレミアが開催。イベントには、日本の映画ファンを代表してアスター監督の大ファンでもある八代目・市川染五郎がサプライズゲストとして登壇した。先週発売された本イベントのチケットはなんと2分で完売。先日発表されたゴールデングローブ賞で主演のホアキン・フェニックスが主演男優賞にノミネートされ、マーティン・スコセッシ監督、ポン・ジュノ監督、ギレルモ・デル・トロ監督らも一様に絶賛、改めてその人気を見せつけた天才アリ・アスター監督。その新作をこれから初めて鑑賞する日本の観客に向けてアリ監督は「この映画は⻑年作りたいと思っていた作品です。トーンがころころ変わるから、今のシーンいいな!と思ったら……。すみません、すぐに変わります。逆にこのシーン嫌だなと思ったら……喜んでください。すぐに変わります」と、まずは、ユーモア交じりに本作をPR。前作『ミッドサマー』が北米を除いて世界で一番ヒットしたのは、実はここ日本。アリ監督は「その理由はきっと、日本の観客が最高だからでしょう。是非とも『ボーはおそれている』でもその記録を樹立してほしいです!」と観客に呼び掛ける。そんな中、アリ・アスターの大ファンだという染五郎が花束を持って登壇、アリ監督に贈呈!前回の来日時、歌舞伎を観劇したというアリ監督は、その際に受けた衝撃を本作には色濃く反映していると明かし「美しさに圧倒されて、その足でホテルに帰って『ボーはおそれている』の脚本の、とある場面を書き直しました。それだけ私に大きな影響を与えた出来事でした」と告白。嬉しい事実に染五郎は「歌舞伎に携わる者として純粋に嬉しい。歌舞伎は日本が誇るエンターテインメント。日本の皆さんはもちろんのこと、アリ監督のような海外の素晴らしいクリエイターに影響を与えているなんて」と喜びもひとしお。また染五郎は「歌舞伎とアリ監督作の共通点は、グロテスクな表現さえも美しく見せてしまうところ。そこが歌舞伎とアリ監督作品の魅力でもある」と分析し、そして日本で一番有名な“怪談の定番”『東海道四谷怪談』をおすすめ。これを受けたアリ監督は「是非とも観劇したい。上演する際は教えてください」と興味津々だった。先んじて本作を鑑賞した染五郎。「ホアキンさんの芝居に圧倒されました」と絶賛。そして「ホアキンさんとはどんな空気感と距離感で作られたのかを知りたい」と質問。アリ監督は「ホアキンは役者として全身全霊で役に向き合うタイプで、色々とチャレンジをしたがる。私の指示に対して彼なりに色々とアレンジして試す。私も彼の好きにやってもらって新しい可能性を広げていくのがとても楽しかった。ホアキンと仕事をすると演出や芝居が常に変化して生々しいものになる」と回答し、染五郎も「色々な事にチャレンジしてその中で良い物を選んでいくやり方に僕も感銘を受けました」と満足そうだった。アリ・アスター監督日本が大好きなアリ監督。「実は先週から日本に来ています。というのも日本が世界で一番好きな国だからです。とても人口の多い都市なのに、こんなに静かで安心できる場所はありません。料理の出され方、靴の脱ぎ方一つにしても丁寧。そこに驚きと感銘を受けます。前回アメリカに帰った時にそんな文化が恋しくなったので、今回の来日で懐かしくなりました。日本は美しい文化を持つ国の一つです」とジャパニーズカルチャーを絶賛。すると染五郎は、奈良県の⻑谷寺にある十一面観世音菩薩立像をおすすめして、アリ監督から「素晴らしい!是非その場所に連れて行ってください」とおねだりされていた。短い時間ながらも、すっかり親交を深めた2人。司会から「染五郎さんで映画を撮るなら?」と聞かれたアリ監督は「恐ろしい秘密を隠し持っている歌舞伎一家の話がいい。染五郎さんは善人のようでありながら悪人という役どころ」と具体的プランに言及。これに対して染五郎は「実際にそんな人だと思われていたら嫌だけれど……」と苦笑いしつつ「役としてだったら、ぜひやりたい」と前向きに答えた。八代目・市川染五郎最後は、ゴールドの法被を羽織ったアリ監督と染五郎でヒット祈願の鏡開きを実施。「ボーは?」の呼びかけに対して「おそれている〜!」という観客の発声をきっかけに2人仲良く木槌を振り下ろしていた。最後にアリ監督はこれから本作を観る観客に向けて「僕の内臓を泳ぎ回るかのような体験を楽しんでほしい。1回と言わず2回は観てほしい」と期待。染五郎も「映画館で観たという表現だけでは片づけられない、夢の世界にいたのではないかという思いが日にちを重ねれば重ねるほど強くなっています。自分ももう一度映画館で観たい」と早速『ボーはおそれている』の沼にハマっていた。<作品情報>『ボーはおそれている』2024年2月16日(金) 公開公式サイト: Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
2023年12月19日映画『ボーはおそれている』ジャパンプレミアが12月18日(月)に都内劇場で行われ、来日したアリ・アスター監督が登壇し、八代目・市川染五郎がサプライズゲストとして駆け付けた。『ボーはおそれている』は『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』で知られるアスター監督による、一度体験したら戻れないオデッセイ・スリラー。日常のささいなことでも不安になる怖がりの男・ボー(ホアキン・フェニックス)はある日、さっきまで電話で話していた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようと玄関を出ると、そこはもういつもの日常ではなかった。奇妙な出来事が次々に起こり、里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。2分で即完したというこの日のジャパンプレミアの席は、アスター監督ファンで埋め尽くされた。熱気を感じたらしいアスター監督は、本作について「長年作りたかった映画です。形やトーンがころころ変わっていくので、あるシーンがすごく気に入ったらすみません、すぐ変わるかも(笑)。でも嫌な場合もすぐ変わるのでご安心ください」と笑顔を見せた。実は『ミッドサマー』来日時に歌舞伎を鑑賞したというアスター監督は、「美しさに圧倒されて。当時まだ『ボーはおそれている』の脚本を手掛けていた頃だったので、真っすぐホテルに戻ってあるシーンを書き換えたんです。それほど大きな影響を与えてくれました」と衝撃のエピソードを明かす。市川さんは「純粋に歌舞伎に関わるもの者としてうれしく思います。日本が誇るエンターテインメントだと思っていますので、素晴らしいクリエイターのアスター監督に歌舞伎が影響を与えていること、自分が関わっているのがすごくうれしいです」と満面の笑みを広げた。さらに、アスター監督なら市川さんにどんな役を演じてもらいたいか、について話が及ぶと、アスター監督は「歌舞伎一家の映画を作って、ぜひ出ていただきたい。けど恐ろしい秘密を隠しているストーリーになります。善人に見せて、実は最も悪という役にしたい」と目を輝かせる。市川さんは、「実際そういう人だと思われていたらすごい嫌ですけど(笑)、役としてはすごいやってみたいです!」と意欲を見せていた。『ボーはおそれている』は2024年2月16日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ボーはおそれている 2024年2月16日より全国にて公開© 2023 Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
2023年12月18日