『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『ブレット・トレイン』などで知られるデヴィッド・リーチ監督の最新作『フォールガイ』が、8月16日(金) より全国公開される。『フォールガイ』はスタントマンを主人公にした映画だが、リーチ監督も実はスタントマン出身。映画好きの少年が、如何にしてスタントの世界に入り、監督にまで上り詰めたのか。ここではその魅力に迫る。『マトリックス レボリューションズ』『300』『ボーン・アルティメイタム』など錚錚たる作品のスタントをこなしてきた監督だが、「私の映画愛は高校生の時に始まった。『リーサル・ウェポン』や『ダイ・ハード』のようなアクションコメディやアクションドラマに大いに感化され、自分も映画製作に関わりたいと思うようになったんだ。マーシャルアーツの経験があったし、辛抱強く努力を続けているうちにタイミングやいい指導者に恵まれ、スタントの世界に入ることができた」と振り返る。高校時代にマーシャルアーツに憧れるも、自身の学校に武術の授業がなかったことから武術に関する本や雑誌を読み漁り、スポーツの合間にはガレージでトレーニングに励んだというリーチ監督。大学在学中にようやくブルース・リーからジークンドーを継承したダン・イノサントの主催するアカデミーを見つけ、マーシャルアーツを始める。大学で国際関係学と教育学の学位を取得したリーチは、大学を出てすぐに教職に就くとともに、自身でマーシャルアーツの学校を開いたという。そしてマーシャルアーツを続けていく中で、後に『ジョン・ウィック』を共同監督するチャド・スタエルスキと出会い、監督としてのキャリアをスタートさせていく。そんなリーチ監督にとって転機になったのは『ファイト・クラブ』でブラッド・ピットのスタントダブルを務めた時だった。完璧主義者として知られるデヴィッド・フィンチャー監督の緻密な映画製作を間近で観察することができ、彼の仕事ぶりを見て、映画制作のプロセスに惹かれ、スタントマンとしてのキャリアと並行して映画製作にも挑戦し始めた。短編作品を撮影して編集していたが、やがてアクションの振り付けにフォーカスするようになり、スタントマンからアクションの振り付け担当へとキャリアをシフトするも、リーチの目標はそれだけにとどまらず、「監督になりたかった」という。そして、「大作映画のアクションシークエンスを担当するセカンドユニット監督の仕事は舞い込むようになったが、映画全体の監督という目標に向けて努力を続けた。そして『ジョン・ウィック』で念願が叶った」と監督デビューへの経緯を明かしている。監督協会の規定により『ジョン・ウィック』の監督として正式にクレジットされているのはスタエルスキだが、リーチ監督も共同で監督を務めている。このパートナーシップのきっかけを作ったのが、リーチ監督の元マネージャーで現在は製作パートナーで妻でもあるケリー・マコーミック。以来『アトミック・ブロンド』『デッドプール 2』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『ブレット・トレイン』といったヒット作品の監督を務めることとなった。2019年にはマコーミックとともに製作会社87ノース・プロダクションズを設立し、手掛けた作品の世界興行収入は29億ドルを超えた。こうして成功を収めたリーチ監督だが、今も自身のルーツとは深く繋がっている。「私の映画業界でのキャリアは、20年間スタントマンとしてパンチを受け、ワイヤーで吊られ、車で突っ込み、火をつけられ、全部門のスタッフと密に仕事をしてきた年月の上に成り立っている。映画への愛情が原動力になっているんだ。いろんな部門の人間と仕事をしてきたことで、映画製作のモデルを徹底的に学ぶことができた。仮に誰かに監督を辞めてスタントコーディネーターに戻るよう言われたとしても、喜んで従うと思う。私にとって、友人たちと映画作りに励める撮影現場以外に居場所はないからね」。<作品情報>『フォールガイ』8月16日(金) 全国公開 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
2024年07月22日映画『グラディエーター』の続編にあたる映画『グラディエーター II』が2024年11月15日(金)に公開。監督はリドリー・スコット。歴史スペクタクル超大作『グラディエーター』続編が公開へ、儚くも壮大な復讐劇2000年に公開された映画『グラディエーター』は、古代ローマを舞台に、復讐に燃える将軍マキシマスの壮絶な闘いを描いた作品。裏切りにあい、家族を失い、奴隷にまで成り下がりながらも、剣闘士=グラディエーターとして再び立ち上がっていく。第73回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞など5部門を受賞するなど、世界中で大ヒットを記録した。『グラディエーター II』では、暴君の圧政により、主人公ルシアスが、グラディエーターとなり、コロセウム(円形闘技場)での闘いに身を投じていく姿を壮大に描いていく。登場人物『グラディエーター II』主人公・ルシアス...ポール・メスカルローマ帝国の現状を憂う将軍。前作の主人公マキシマスと敵対関係にあり、復讐の対象であったコンモドゥス皇帝の姉・ルシラの息子。ルシアスは、若くして権力闘争に巻き込まれていた。母のルッシラからマキシマスの指輪を託されている。その想いとは?ルッシラ・ウェルス...コニー・ニールセンコンモドゥス皇帝の姉。マキシマスが忠誠を誓っていた名君マルクス・アウレリウスの娘。息子のルシアスへのへの愛が強く常に1番に考えていた。前作ではマキシマスの間には恋愛関係があったことも示唆され、また弟の暴君・コンモドゥスとの関係に苦しんでいた。兄弟皇帝...ジョセフ・クイン&フレッド・ヘッキンジャーゲタとカラカラは兄弟皇帝。ルシアスがローマを憂う気持ち、その状況を全く意に介さない。彼らの影響でルシアスは自由を奪われ、グラディエーターになる。特に歴史上ではカラカラはローマ史に残る暴君と言われているが、どのように描かれるのか?謎の男...デンゼル・ワシントンルシアスに「私に従え」「君は特別だ」「怒りこそがお前を突き動かす」と話す男。彼によって、ルシアスはローマ帝国最高峰の地である“コロセウム”へと導かれる。監督は1作目に続きリドリー・スコット『グラディエーター II』では、1作目と同じく『ブレードランナー』や『エイリアン』シリーズといった名作を世に送り出してきた巨匠・リドリー・スコットが再びメガホンを取り、『グラディエーター』の“その後”を描く。アカデミー賞作品賞の受賞作品の続編が製作されるのは、『ゴッドファーザー』の続編『ゴッドファーザー PART II』以来となる。主演はポールメスカル、デンゼル・ワシントンらが共演前作『グラディエーター』では、『ビューティフル・マインド』や『レ・ミゼラブル』のラッセル・クロウが主人公を演じ、主演男優賞を受賞。『ジョーカー』のホアキン・フェニックスが出演するなど、後に映画界を彩る豪華俳優たちが出演した。そんな前作のキャスティングもあって注目が集まる『グラディエーター II』の主演は、『aftersun/アフターサン』で第95回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、その後も『異人たち』など話題作への出演が続くポール・メスカルが務める。さらに『トレーニング・デイ』、『イコライザー』シリーズのデンゼル・ワシントン、1作目でコモドゥス皇帝(ホアキン・フェニックス)の姉・ルッシラ役を演じ、本作でも同役で続投となるコニー・ニールセン、『クワイエット・プレイス:DAY 1』のジョセフ・クインら、豪華俳優陣が脇を固める。『グラディエーター II』あらすじローマ帝国が栄華を誇った時代。その時代に存在したグラディエーターとは、古代ローマにおいて見世物として闘技会で戦った剣士。『グラディエーター II』では、前作から25年後のローマ帝国で、時代が巡ってもなお渦巻き続ける様々な陰謀と、抗えぬ運命に翻弄されながら激しい闘いに身を投じる剣闘士・グラディエーターの姿を描く。ローマを支配する暴君の圧政によって自由を奪われた主人公のルシアスは、グラディエーター(剣闘士)となり、コロセウム(円形闘技場)での闘いに身を投じていく。復讐、下剋上、愛… 背負いきれぬものを背負いながら、次世代の血がたぎるグラディエーター・バトルが繰り広げられる…果たして、怒りに燃えるルシアスは帝国への復讐を果たすことができるのか?作品詳細映画『グラディエーター II』日本公開日:2024年11月15日(金)監督:リドリー・スコットストーリー:ピーター・クレイグ、デヴィッド・スカルパキャラクター創造:デヴィッド・フランゾーニ脚本:デヴィッド・スカルパ音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ出演:ポール・メスカル、デンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカル、コニー・ニールセン、ジョセフ・クイン、フレッド・ヘッキンジャー、リオル・ラズ、デレク・ジャコビ原題:Gladiator II
2024年07月11日短編映画『The Chicken』、コンサートドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』で世界中の映画祭から注目を集めた新鋭、空音央監督の長編劇映画デビュー作『HAPPYEND』が公開決定。いたずら好きで常に楽しいことだけをしていたいユウタとコウは、幼なじみで大親友。毎日が楽しければいい、そう思っていた。しかし高校卒業と進学を控え、身の回りに起きている出来事がきっかけで、コウは社会における自分の立ち位置について考えるようになる。そんなある晩、いつものように学校に忍び込んだ2人。そこでユウタはあるとんでもないいたずらを思いつく。翌日いたずらを発見した校長は大激怒、学校に四六時中生徒を監視するAIシステムを導入する騒ぎにまで発展してしまう。それに対する生徒たちの反発運動も巻き起こる中、ユウタとコウの関係もぎくしゃくし始め――。空監督は、東京とニューヨークの2拠点を活動軸とし、短編映画、ドキュメンタリー、PV、アート作品、コンサートフィルムなどジャンルレスに多くの作品を手掛けてきた。本作は、幼なじみで大親友の2人が、高校卒業を控え、自分自身と向き合うようになり、なんとなく一緒だった関係から少しずつ変化していく、友情の揺れ動きや葛藤をエモーショナルに描いた青春映画。舞台は決して遠くはないXX年後の未来であり、我々の生活と地続きであるリアリティのある世界がユーモラスかつシニカルに描かれている。ユウタ(栗原颯人)主人公のユウタとコウを演じるのは、共にオーディションで抜擢され、本作でスクリーンデビューとなった栗原颯人と日高由起刀。栗原さんは、明るい性格で友達とずっと楽しいことだけをしていたいユウタを茶目っ気たっぷりに、日高さんは自らの進路や社会について考えるようになるコウの心の機微を繊細に演じている。コウ(日高由起刀)そして、2人と仲の良い同級生役に、『ロストサマー』の林裕太、フォトグラファーのシナ・ペン、演技初挑戦のARAZIが参加。人一倍正義感が強く、コウと関わるようになる同級生フミ役で祷キララ、ユウタとコウたちの担任・岡田役で中島歩、校長秘書・平役で矢作マサル、ユウタの母役で渡辺真起子、コウの母役でレゲエ・シンガーのPUSHIM、長井校長役で佐野史郎が出演。岡田(中島歩)笑顔のユウタとどこか怪訝そうなコウ、2人の表情の違いが印象的な場面写真も到着した。監督コメント友情とは曖昧なもので、恋人や家族のような規範がありません。人によっては、いつもの風景に溶け込んで、たまたま同じような音楽を好み、お酒を介して理解し合える相手もいれば、真剣な話だけをする相手もいます。しかし、どんな形であれ、友人に対する愛や信頼が深いほど、その相手に落胆した時に湧き上がる怒りや悲しみは凄まじいものです。勢い余って関係を断ち切ることもあれば、知らず知らずのうちに断ち切られることもあります。そうなると、自分が乗っかっていた地盤がガラガラと崩れ落ちるような感覚に陥ることがあります。そんなことを考えながら、この映画を思い立ったのだろうと思います。メモを見返すと、記録として残っている中で最も古いものが2017年でした。つまり、7年かそれ以上前からこの映画の構想を練り始めたようです。その時の社会や世界が変わらず、そのまま進んだ少し先の未来を想像しました。恐怖を煽り、軍国主義的な独裁国家へと着実に向かってゆく日本を舞台に、それまで自分の中に蓄積されていた危機感や揺らぎ、そして自分にとってなくてはならない、地盤ともいえる友人たちに対する愛を投影しました。自分が想像した近未来像が間違っているといいなと願いながら脚本を書いていましたが、出来上がった映画を見てみると、なんだかどんどん現実味を帯びてきているようで、すこし残念です。同時に、そのような状況だからこそ、素晴らしいキャストとスタッフと一緒に、色んな人にいま見てほしい映画に仕上げることができたと思っています。劇場公開できることを本当に嬉しく思います。『HAPPYEND』は10月4日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開 。(シネマカフェ編集部)
2024年07月11日ゴシック作家シャーリイ・ジャクスンの伝記を映画化した現実と虚構が交錯する、幻惑の心理サスペンス『Shirley シャーリイ』。本作の監督ジョセフィン・デッカーが、自身が敬愛するマーティン・スコセッシ監督や宮崎駿監督から受けた影響や、集団によって起こされる悪夢について語ったインタビューが到着した。本作の脚本は、ゴールデン・グローブ賞にノミネートもされたケヴィン・ベーコン主演ドラマ「アイ・ラブ・ディック」のサラ・ガビンズの手によるもの。これまで、世界各国の映画祭で高く評価された『Madeline’s Madeline』(原題)やA24とApple TV+の共同制作『空はどこにでも』など自分で脚本を手掛けてきたデッカー監督にとって、少し戸惑うこともあったという。「自分で脚本を書いている時って、すでにもう映画が見えているんです。ほとんどフレーム毎に見えているような感じで、それをページに落とすのが大変なぐらい<視えて>いるんです。でも、ほかの人の脚本の場合<その人の世界>に入り込まなければいけないので、それを観察して、感じるっていうことをまずはやらなければいけない」と語る。加えて、本作ではリハーサルの時間をほとんど取れなかったなか、それでも「撮影日は、カメラがどこに行って、どうやって動いたら自然に感じるか、やりやすいかみたいなことを午前中は費やしていましたね」と言い、「照明は360度照らしていたので、カメラも役者も自由に動き回れるようにしておいたんです。役者と一緒にいろいろ探っていた」と苦労を明かす。本作でモデルとなったのは、個々が集団になった途端に思考能力が失われ、暴走していく“集団心理”の恐ろしさを描いた短編傑作「くじ」の作者としても有名なシャーリイ・ジャクスン。「くじ」について、「今でも、本当に皆さん共感できる作品だと思う」と監督は述懐。「『くじ』では、女性が破壊されていく訳ですが、それはアメリカの南部で実際に起こっていること」と話し、「そこでは法律が、女性の中絶を否定しています。ですが、ごく僅かなクレイジーな人々が『中絶しても意味がない』と思っていて。でも世の中には子どもをちゃんと育てられない女性もいるわけです」とも、個々の声が潰されることで、集団によって起こされる悪夢についても懸念を露わにする。また、長編第4作目となった本作にはエグゼクティブ・プロデューサーとしてマーティン・スコセッシが名を連ねている。「私の一番最初の映画を見て、すごく気に入ってくれて。『何か機会があれば、エグゼクティブプロデューサーになってもいいよ』って言ってくれてたんです」とデッカー監督。「だから本作のプロジェクトが始まった時に、私がそれを思い出して声をかけたら、脚本を読んでOKしてくれたんです」と言う。その後は、なかなか製作資金が集まらず大変なときもあったそうだが、「彼が来てくれたことで上手くいったと思う」と感謝しきり。「本当にたくさんの素敵な考えも出してくれて、『Shirley シャーリイ』のことを大事にしてくれて」と語り、「本当に親切で、寛容で。気前のいい人で。私の作品に、彼の名前をエグゼクティブプロデューサーとして迎えることができてとても光栄に感じてます」と笑顔を見せる。日本の映画監督では「宮崎駿が大好き」だという。「私が20代の頃『千と千尋の神隠し』をみて、すごく感動して日本語を学び始めたくらい」「本当に大好き!」とデッカー監督。最近は最新作『君たちはどう生きるか』を鑑賞したそうで、「作品は全く違うのですが…リアリティがちょっと歪曲しているとか、ファンタジーなところとか、おとぎ話っぽいところっていうのは私の映画と通じるところもあるなと。私自身、宮崎監督の影響を受けているのかなあって思うこともあります」と明かした。『Shirley シャーリイ』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:Shirley シャーリイ 2024年7月5日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2018 LAMF Shirley Inc. All Rights Reserved
2024年07月08日映画『先生の白い嘘』(7月5日公開)の公開初日舞台挨拶が5日に都内で行われ、奈緒、猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介、三木康一郎監督が登場した。同作は『月刊モーニング・ツー』(講談社)で連載された鳥飼茜氏による同名コミックの実写化作。ひとりの女性が抱える「自らの性に対する矛盾した感情」や、男女間に存在する不均衡に向き合う姿を描くことで、人の根底にある醜さと美しさを映し出したヒューマンドラマとなっている。○奈緒、映画『先生の白い嘘』公開初日舞台挨拶に登場舞台挨拶では、監督・キャスト陣登壇の前に同作のプロデューサーが登壇。先日公開された三木監督のインタビュー内で明らかになった、奈緒が希望していたインティマシーコーディネーター(性的な描写をする際にキャスト・スタッフを精神的・肉体的にサポートする役割)を起用しなかった件について、制作陣からの「本作の制作にあたり出演者側からインティマシーコーディネーター起用の要望を受け、制作陣で検討いたしましたが、撮影当時は日本での事例も少なく、出演者事務所や監督と話し合い、第三者を介せず直接コミニケーションとって撮影するという選択をいたしました」というコメントを読み上げた。プロデューサーはさらに「撮影時は絵コンテによる事前説明を行い、撮影カメラマンは女性が務め、男性スタッフが退出するなど細心の注意を払い、『不安があれば女性プロデューサーや女性スタッフが本音で伺います』とお話をしていたので配慮ができていると判断しておりました。しかしながら様々なご意見・ご批判をいただいたことを受け、これまでの私どもの認識が誤っていたことをここにご報告を申し上げるとともに、制作陣一同、配慮が十分ではなかったことに対し、深く反省をしております」とコメントを報告し、観客、原作者、出演者・スタッフへ謝罪した。その後、登壇した三木監督は「私の不用意な発言により、皆様に多大なるご迷惑をご心配をおかけしたことをこの場を借りて謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした」と騒動を謝罪。さらに関係者やスタッフ、キャスト、原作者の鳥飼茜氏にも謝罪の言葉を述べた。奈緒も「前日にいろいろなことがありまして。皆さんご存知かなと思うんですけど、私がお話ししなきゃいけないなと思い、ここに来ました」と切り出す。「私としては私自身も含めてここにいる誰も心を痛めるようなことがなく一緒にいたいと切に願っております。なので一言。私は大丈夫です。これだけは絶対に伝えようと思っていました」と話した。最後の挨拶でも奈緒は「好きにしゃべっていいと言われたので、今からお話しすることは私の心からの気持ちです。まず1つ、昨日の記事があってから皆さんに不安を抱えさせてしまっている部分があると思うんですけど、1つご説明したいのが私自身は原作に心から惚れこみ、この作品に出演することを自分で決めました。そして、そのなかでいろいろなやり取りがあり、すれ違いがあったことも事実です。でもそれは当人同士の問題として、私は権力に屈するようなことは一切なく、対等な関係で監督ともお話しをしましたし、言いたいことは伝えました。伝えたうえでどうしても現場に対して不十分だと思う部分が正直ありました」とコメント。「私たちが未熟で。私自身がもっとコミュニケーションを取り、この作品を公開するにあたって、皆さんを傷つけないように言葉を選んで、ちゃんと自分たちの真意が伝わるかというところまで、宣伝の部分でお話しできていなかった結果、皆さんを不安にさせるようなことを招いてしまったのではないかと反省しております。でも、対等な現場ではありました。私のことを心配してくださっている声も届いておりますので、『大丈夫です』ということをお伝えしたいです」と改めて語った。
2024年07月05日『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックイーン監督がメガホンを取った『Blitz(原題)』が、10月9日から20日に開催される第68回BFIロンドン映画祭のオープニング作品に選出された。マックイーン作品が同映画祭のオープニング作品に選ばれたのは、2018年『ロスト・マネー 偽りの報酬』、2020年に『マングローブ』に続いて3度目。同映画祭でワールドプレミアを迎える本作は、Appleのオリジナル映画であり、マックイーン監督が脚本、製作も担当した作品。舞台は戦時下のロンドン。主人公は母リタ(シアーシャ・ローナン)によって安全のため田舎に送られた9歳の少年ジョージ(エリオット・へファーナン)。映画はロンドンに戻るジョージの旅と、行方不明になったジョージを探すリタの姿を描く。「Blitz」とは、第二次世界大戦時、ナチス・ドイツがイギリスに対して行った大規模な空襲を意味する。マックイーン監督は「『Blitz』はロンドン市民の映画」と称しており、「私の故郷で『Blitz』のワールドプレミアを祝えることは大変光栄です」とコメントしている。『Blitz』はロンドン映画祭でワールドプレミアを迎えた後、イギリスで11月1日に劇場公開。Apple TV+で11月22日より世界配信開始となる。(賀来比呂美)
2024年07月02日『ヒート』『コラテラル』のマイケル・マン監督が長年にわたって追い続けてきた念願のプロジェクト『フェラーリ』がついに完成した。彼は約30年前からこの物語を描くべく奔走してきたという。なぜ、マン監督はこの題材に惹かれたのだろうか? 監督に話を聞いた。自動車に興味がない人も本作のタイトルを一度は目にしたことがあるのではないだろうか? フェラーリはイタリアの自動車メーカーで、世界中の自動車ファンを魅了し続けている。本作はそんなフェラーリの創業者エンツォ・フェラーリが登場する作品だ。しかし、本作は単純な伝記映画でも、エンツォ・フェラーリだけが主人公の映画でもない。舞台は1957年。59歳になったエンツォは、前年に愛する息子ディーノを病で失い、妻であり、共に自動車会社を立ち上げたラウラと緊張状態が続いている。一方で彼は妻ラウラに隠れて別の女性リナ・ラルディとの間に息子をもうけており、エンツォはふたつの家を行き来している。そんな折、フェラーリ社は業績不振によって経営危機を迎え、買収の話も持ちかけられる状態に。私生活にも経営にも行き詰まったエンツォ、夫婦仲は冷め切っている上に夫に別の家庭があることをまだ知らないラウラ、そしてエンツォとの間に生まれた息子の姓を“フェラーリ”にするか自身の姓“ラルディ”にするか迫るリナ。登場人物たちの想いと不満が沸騰していく中、エンツォは事態を打開するべくイタリア全土を横断する公道レース“ミッレミリア”への出場を決める。本作は約30年前にエンツォ・フェラーリの伝記本をベースに脚本づくりがはじまった。しかし、マン監督はこの映画でエンツォとラウラの“ふたりのフェラーリ”を対等な主人公として置き、そこにリナ・ラルディのドラマを絡めた。「エンツォ、ラウラ、リナの関係性は本当にユニークなものです。息子を失ったことでエンツォとラウラの関係はよりドラマティックなものになっていきます。エンツォは妻につらくあたることがある一方で、とても献身的になったりもしました。ラウラは夫に裏切られたと感じていて、息子を失った悲しみとトラウマから抜け出せていません。そしてふたりが共同で立ち上げたフェラーリ社が危機に陥った時、会社をどうすれば良いのか、どうすれば救えるのか知っていたのは、実は妻ラウラの方だったんです。つまり、ふたりは“共に生きる”こともできなければ、“相手なしに生きる”こともできない関係になっています。私たちがよく観る映画やドラマは人間関係や対立がシンメトリー(左右対称)に設定されていて、最後にはスッキリとした解決が描かれますよね? しかし、エンツォとラウラは物語よりもずっと複雑な関係でした。ある時、ラウラが足を滑らせて運河に落ちたのですが、そばにいた人が溺れた彼女を助けたそうです。その話を聞いたエンツォは思わず『なんで助けたんだ』と言ったそうです(笑)。しかし、同じ年にフェラーリ社の幹部や従業員たちが、工場運営に干渉してくるラウラに対して抗議したところ、エンツォはその従業員たちすべてを即座に解雇したそうです。エンツォとラウラは緊張関係にある。でもふたりの気持ちは連帯している。このふたつは矛盾しない。ふたりの関係を分析する中で、私はこのカップルの関係性の複雑さに魅了されたのです」これまでのマン監督作品の多くで、ふたりの人物が時に対立し、時に行動を共にする姿が描かれてきた。『ヒート』ではアル・パチーノ演じる警官と、ロバート・デ・ニーロ演じる強盗団のリーダーの対立が描かれた。『コラテラル』では冷酷な殺し屋と、平凡なタクシー運転手が行動を共にし、両者の関係が変化していった。本作では熾烈な銃撃戦が描かれるわけでも、男たちのドラマが描かれるわけでもないが、これまでのマイケル・マン映画の要素がさらに複雑に、さらに凝縮されて描かれる。なぜ、監督は劇中にオペラを登場させたのか?さらにマン監督は本作で、登場人物たちの過去と現在、対立と連帯、私生活と会社の命運、迫力のレースシーンのすべてをたった1年ー1957年ーのドラマに凝縮させた。圧巻なのは、劇中でエンツォがオペラハウスに足を運ぶシーンだ。ここでは舞台上で展開される歌唱に乗せて、エンツォ、ラウラ、リナなど複数の登場人物の過去と現在が並行して描かれる。幸福な時間も、苦しみも、怒りも喜びも、不条理な出来事もすべてが混ざり合っている本作を象徴するシーンだ。「そう言ってもらえるのはうれしいです。あのシークエンスでは回想(フラッシュバック)が描かれますが、観客にデータを伝えるようなものではなく、彼らの感情を描くフラッシュバックになっています。本作で描かれるエンツォの苦々しさ、不誠実さ、彼の人生の二面性をまず描き、エンツォとラウラが息子を失ったことを悼み、双方に敵対心や皮肉めいた感情を抱いていることを描いた上で、そのカウンターとして“エンツォとラウラの関係がはじまった頃”を描きました。まだ小さな家で暮らしている若い夫婦には喜びがあった。私がここで描きたかったのは過去の出来事ではなく、かつてあった感情や感覚なのです。実は私はこれまでオペラをたくさん聞いてきたわけではありません。しかし、オペラについて考える中で私が思ったのは、オペラで表現される感情は“テクニカラー”だということです。オペラでは日常よりも感情が少し誇張されて描かれ、観客は感情の波に身をまかせながら楽しむことで、その波が観客の記憶や回想を誘発するわけです。そう理解した時、あの一連のシークエンスでオペラを使おうと思いました。オペラの楽曲が流れ、登場人物たちがその波にのみこまれる時、彼らは意識しないままに不随意に何かを思い出したり、過去の記憶にアクセスするようになるのです」エンツォ・フェラーリは“死”に囲まれながら生きてきたマイケル・マン監督危険なレースも、ライバル社との駆け引きも、夫婦間の闘争、不貞、後悔もすべてが同じ場所で、圧縮されて描き出される。マン監督は「もし時間ができたら、この映画の舞台になっているモデナに足を運んでもらいたいです」と笑顔を見せる。モデナはイタリアの都市で、フェラーリの本拠地。本作の舞台になった街だ。「いま私が暮らしているシカゴや、東京、ニューヨークなど、世界には大都市がたくさんありますが、そういう大都市を圧縮したのがモデナなんです。この街にはフェラーリがあり、ライバルのマセラティがあり、ルチアーノ・パヴァロッティが出てきたオペラハウスがあり、世界で最高のレストランが並んでいます。すべての要素がまとまっていて、圧縮された街なんです。それにモデナの最大の特徴は墓地の多さでしょう。そこにはレースで亡くなったドライバーたちや戦争で亡くなった者たちの墓があり、50メートルごとに教会が建っている。モデナにいると死を感じずにはいられない。モデナは"死に囲まれた”街なのです」本作でエンツォは、これまでのマイケル・マン映画のように銃撃戦を繰り広げたりはしない。彼はずっと昔にレーサーを引退した自動車メーカーの経営者だ。しかし、映画『フェラーリ』はマイケル・マン映画史上、最も濃厚に“死”を感じる。「エンツォは身近な人間の死を経験し続ける人生だったと思います。同じ年に父親を病気で、兄を戦争で失い、仲間や知り合いのドライバーたちも命を落とし、自分の息子も病で亡くなっています。だから彼は毎日、霊廟を訪れますし、劇中で名前の出てくるカンパーリとボルザキーニ(ジュゼッペ・カンパーリとバコーニン・ボルザキーニは、1933年にモンツァ・サーキットで開催されたグランプリ・ディ・ミラノで命を落とした)の墓もフェラーリ家の霊廟から歩いていける場所にあります。エンツォは、モデナで死に囲まれながら生きてきました。そこは死というものを感じずにはいられない街なのです。しかし、彼自身は死に囚われない人物でした。彼はいつも次のレースは、次の自動車は、次のイノベーションは何なのか? それだけを考えて生きてきたのです」死に囲まれ、私生活でも仕事でも窮地に立たされ、しかし前進することをやめないエンツォと、彼と共に歩むことも、彼と離れることもできない複雑な関係の女性ラウラ。映画『フェラーリ』はこの上ない緊張感と、観るほどに魅了される複雑さをそなえた作品だ。「誰であっても人生は複雑なものです。映画のようにシンプルなものではない。それこそがこの映画の核心だと私は思います」『フェラーリ』7月5日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー(C)2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2024年07月01日映画『アイミタガイ』が、2024年11月1日(金)より全国で公開される。主演は黒木華。監督は草野翔吾。中條ていの小説「アイミタガイ」を実写映画化「アイミタガイ」は、2013年に出版された中條ていによる小説。それぞれに悩みを抱えた見知らぬ人間同士が、ささいなきっかけを機に巡り合い、やがて“人々が助け合う心=相身互い”を通じて日々を変える大きな輪を生み出していく群像劇を描いた短編連作集だ。2014年には、斎藤緑雨文化賞長編小説賞を受賞している。主演は黒木華、中村蒼・藤間爽子が共演主人公・梓を演じるのは2021年には『浅田家!』で3度目の日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。『キリエのうた』、『ヴィレッジ』など話題作への出演が続く黒木華。梓の恋人・澄人を演じるのは、『沈黙の艦隊』や、2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華之夢噺~」等、話題作への出演が続く中村蒼。梓の親友・叶海は、ドラマ「マイファミリー」の役どころで一躍話題となり、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、「ちむどんどん」、「ブギウギ」と次々に朝ドラに出演し注目を集める藤間爽子が演じる。監督は草野翔吾、『台風家族』市井昌秀らが脚本を担当メガホンをとるのは、『彼女が好きなものは』やドラマ「こっち向いてよ向井くん」の草野翔吾。小説「アイミタガイ」を原作に、『台風家族』で監督を務めた市井昌秀が脚本の骨組みを製作。『ツレがうつになりまして。』の故・佐々部清が生前に温めていた本企画を、草野翔吾が受け継いだ。映画『アイミタガイ』登場人物紹介梓(黒木華)親友であった叶海を失い、返事が返ってこないと分かりつつも叶海にメッセージを送り続ける女性。ウェディングプランナーとして働く。交際相手の澄人との結婚に踏み切れずにいる。叶海(藤間爽子)梓の良き理解者だった親友。不慮の交通事故で命を落とす。澄人(中村蒼)梓の恋人。朋子(西田尚美)と優作(田口トモロヲ)叶海の両親。梓と同じように、叶海を亡くしたあと立ち止まってしまっている。連鎖していく温かな出会いを映し出した特報映像一足先に公開された特報映像では、登場人物たちのあたたかな触れ合いが連鎖して繋がっていく様子が映し出されている。叶海との突然の別れ。叶海を失い悲しみに暮れる梓だが、恋人の澄人や、梓と同じように立ち止まってしまった叶海の両親など、周りには温かな出会いが溢れていた。そして梓の祖母が“相身互い”について優しく語りかける。最後に、笑顔を浮かべながら涙を拭う梓のもとに届いた想いとはー。映画『アイミタガイ』あらすじウェディングプランナーとして働く梓のもとに、ある日突然届いたのは、親友の叶海が命を落としたという知らせだった。交際相手の澄人との結婚に踏み出せず、生前の叶海と交わしていたトーク画面に、梓は変わらずメッセージを送り続ける。同じ頃、叶海の両親の朋子と優作は、とある児童養護施設から娘宛てのカードを受け取っていた。遺品のスマホには、溜まっていたメッセージの存在を知らせる新たな通知が。一方、梓は中学時代の記憶をふいに思い出す。大事なときに背中を押してくれたのはいつも叶海だった。梓は思わず送る。「叶海がいないと前に進めないよ」。その瞬間、読まれるはずのない送信済みのメッセージに一斉に既読がついて……。詳細映画『アイミタガイ』公開日:2024年11月1日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー監督:草野翔吾脚本:市井昌秀、佐々部清、草野翔吾出演:黒木華、中村蒼、藤間爽子、安藤玉恵、近藤華、白鳥玉季、吉岡睦雄、松本利夫(EXILE)、升毅、西田尚美、田口トモロヲ、風吹ジュン、草笛光子原作:中條てい「アイミタガイ」(幻冬舎文庫)© 2024『アイミタガイ』製作委員会
2024年06月30日『悪は存在しない』『ドライブ・マイ・カー』の映画監督・濱口竜介の著書「他なる映画と」(全2冊)が7月3日(水)より、全国の書店にて発売される。村上春樹原作『ドライブ・マイ・カー』で米国アカデミー賞国際長編映画賞に輝き、また、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界三大映画祭を制覇した、いま世界がもっとも注目する映画監督のひとり、濱口竜介。濱口竜介監督その濱口監督がこれまでに発表してきた映画論を2冊の書籍にまとめており、1巻目は「映画講座」篇、2巻目は「映画批評」篇となっている。1巻目の「他なる映画と 1」は、仙台・神戸・鎌倉・ソウルなどで開かれた映画講座を収録。全て初活字化となる。本書の半分を占める「他なる映画と」と題された全3回の連続講座では、映画史上の傑作・名作を取り上げながら、映画の画面はどのようにつくられ、そこで俳優たちはどのように演技し、監督はどのように演出してきたか、という映画の核心へと迫る。そのほか、濱口監督にとって重要なテーマである「映画における偶然」を考察する講演や、小津安二郎監督『東京物語』と侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督『悲情城市』をめぐって、その細部における演出を分析していくレクチャーなども収録している。2巻目の「他なる映画と 2」には、この15年のあいだに執筆してきた、作品レビューや映画をめぐる論考・エッセーをまとめた。取り上げられる映画監督は、リュミエール兄弟、ロベール・ブレッソン、小津安二郎、マノエル・ド・オリヴェイラ、エリック・ロメール、土本典昭、ジョン・カサヴェテス、クリント・イーストウッド、ジャン=リュック・ゴダール、ジョナサン・デミ、エドワード・ヤン、相米慎二、ペドロ・コスタ、レオス・カラックス、ギヨーム・ブラック、そして瀬田なつき、三宅唱、小森はるかと、映画史の始まりから、現代の最新鋭にまでわたる。なかでも、映画を志す者にとってのバイブル、ロベール・ブレッソンの著書「シネマトグラフ覚書」を読み解く論考は7万字に及ぶ力作で、本書のための書き下ろし。さらには、蓮實重彦やアンドレ・バザンといった映画批評家の仕事を論じた文章なども収録する。「映画を見ながら、映画をつくってきた」と自ら語る濱口竜介は、いったいどのように映画を見てきたのか。この2冊を通じて明らかにされるだろう。濱口竜介著「他なる映画と 1」「他なる映画と 2」は7月3日(水)より全国書店にて発売。出版社:インスクリプト四六判並製 432頁/384頁定価:各巻 本体2,500円+税(シネマカフェ編集部)■関連作品:悪は存在しない 2024年4月26日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、K2ほか全国にて公開© 2023 NEOPA / Fictive
2024年06月28日黒木華が主演、ドラマ「こっち向いてよ向井くん」や映画『彼女が好きなものは』の草野翔吾監督とタッグを組んだ映画『アイミタガイ』が11月1日(金)より公開されることが決定した。原作は、2014年に斎藤緑雨文化賞長編小説賞を受賞した中條ていによる短編連作集「アイミタガイ」(幻冬舎文庫)。『台風家族』の市井昌秀が脚本の骨組みを作り、『ツレがうつになりまして。』の故・佐々部清の魂を注いだ企画を受け継いだ草野監督が1本の映画にした。かけがえのない存在だった親友を失い立ち止まってしまった主人公・梓を中心に思いがけない出会いが連鎖し、大きな輪になっていく群像劇となっている。数々の映画やドラマに出演し、2014年に『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞、2021年には『浅田家!』で3度目の日本アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝いた実力派俳優・黒木華は、亡き親友にメッセージを送り続ける主人公の心の機微を細やかに演じ上げる。黒木さんは「迷いの中でも、人と人の繋がりを改めて感じられる、そっと背中を押してくれるような、寄り添ってくれるような映画だと思います」とコメントを寄せる。梓の恋人・澄人 を演じるのは、連続テレビ小説「エール」「らんまん」や映画『沈黙の艦隊』などに出演、25年放送のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華之夢噺~」にも出演が決定している等、確かな演技力で注目を集める中村蒼。そして、梓の親友・叶海を演じるのは、「マイファミリー」でまさかの共犯者として一躍話題となり、連続テレビ小説「ひよっこ」「ちむどんどん」「ブギウギ」と次々に朝ドラに出演し類まれな演技が話題となった藤間爽子。さらに草笛光子、安藤玉恵、松本利夫、升毅、西田尚美、田口トモロヲ、風吹ジュンら実力派が顔を揃え、人間ドラマのアンサンブルを奏でる。今回、合わせて解禁となった本ビジュアルでは梓を中心に登場人物たちの物語が繋がっていくことを表現。良き理解者だった叶海を失い、返事が返ってこないと分かりつつもメッセージを送り続ける梓。なぜ彼女は、亡くなった親友にメッセージを送り続けたのか?そして、誰かを思った優しい“秘密“が巡り巡って繋がっていく。【ストーリー】ウェディングプランナーとして働く梓(黒木華)のもとに、ある日突然届いたのは、親友の叶海(藤間爽子)が命を落としたという知らせ。梓は交際相手の澄人(中村蒼)との結婚に踏み出せず、生前の叶海と交わしていたトーク画面に、変わらずメッセージを送り続ける。同じ頃、叶海の両親の朋子(西田尚美)と優作(田口トモロヲ)は、とある児童養護施設から娘宛てのカードを受け取っていた。そして遺品のスマホには、溜まっていたメッセージの存在を知らせる新たな通知も。一方、金婚式を担当することになった梓は、叔母の紹介でピアノ演奏を頼みに行ったこみち(草笛光子)の家で中学時代の記憶をふいに思い出す。叶海と2人で聴いたピアノの音色。大事なときに背中を押してくれたのはいつも叶海だった。梓は思わず送る。「叶海がいないと前に進めないよ」。その瞬間、読まれるはずのない送信済みのメッセージに一斉に既読がついて……。キャスト&スタッフコメント全文黒木華草野監督と初めてご一緒しましたが、とても暖かい方で、穏やかに撮影に参加できました。迷いの中でも、人と人の繋がりを改めて感じられる、そっと背中を押してくれるような、寄り添ってくれるような映画だと思います。中村蒼様々な理由で一歩を踏み出せずその場に留まる登場人物達の背中をささやかな毎日にある小さな優しさや心遣いが奇跡を起こしてそっと押してくれます。今回僕が演じた小山澄人はタイミングが悪くどこか抜けているけど大切な人を救おうと奮闘します。そんな彼の純粋な心はとても美しく、日々生きている姿を見ていると"目の前の人を助ける事が明日の自分を救う事に繋がるかもしれない"と思えてきます。さらにこの映画を観終わった後には"アイミタガイ"という言葉がじんわりと沁みて暖かく包んでくれると思います。藤間爽子アイミタガイ。相身互い。何かあったときはお互い様だよという気持ち。そんな優しい想いやりが人と人とを繋いでいく。日々何気なく発せられていた言葉や行動に勇気をもらうこともあるし、また反対に、自分が人の背中を押していることもあるかもしれない。大切な家族、友人、恋人、もう会うことがない人たちも、その出会いが今の私をつくってくれていた。そう気付かせてくれる温かく優しい映画だと感じました。是非映画館で観て頂けたら嬉しいです。草野翔吾監督聞き慣れない、おまじないのような言葉だな、と思いながら「アイミタガイ」と題された脚本を読み始めました。次第にパズルのように繋がっていく脚本に心地よく騙され、読み終える頃には温かな気持ちになったのを覚えています。佐々部清さんが生前温めていた企画ということでプレッシャーもありましたが、最初に読んだ印象を大事に、自分ができることを精一杯やりました。この映画が誰かにとっておまじないのようになってくれたら嬉しいです。原作者・中條てい「相身互い」…あまり聞かれなくなった古い言葉ですが、今にも通じる日本人の心の在り方を表わした言葉だと大切に感じてきました。この「アイミタガイ」という言葉とその心が世代を継ぐ若い監督によって、切なくも温かな映画作品として生まれたことに感謝と喜びを覚えます。『アイミタガイ』は11月1日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:アイミタガイ 2024年11月1日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2024「アイミタガイ」製作委員会
2024年06月27日発禁処分となった、ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドの実体験に基づく自伝的小説を基にした映画『フィリップ』が6月21日(金)より公開。この度、監督のミハウ・クフィェチンスキが製作理由について語るインタビューコメントが到着した。1961年にポーランドで発刊後、すぐ発禁処分にとなった原作を、戦時中から80年以上たったいま、改めて映画化した理由について、監督は「本作の時代背景であるは、この映画の時代設定や舞台装置にすぎません」という。「本当に重要なのは、物語の時代設定に関係なく普遍的な、主人公を悩ませる精神的・道徳的問題」であり、「フィリップは建築家になる夢がありましたが、戦争の運命によりホテルのウエイターになりました。この点において彼は現代のウクライナやシリア、パレスチナ、アフガニスタンからの難民の境遇と共通している」と語る。いつの時代も、戦争によって人生を狂わされるのは、普通の人々であるという数十年経っても変わらない、世界共通の事実を描きたかったと明かし、「これは戦争映画では無い」「戦争によって孤独で疎外されたトラウマに苦しむ男性についての映画を描きたかった」と監督は述べる。劇中、自身の容姿を武器に様々な女性を誘惑するも、恋愛に翻弄される様相も見せるフィリップ。だが「これは恋愛映画でもありません」「これは愛の欠如、愛の必要性、愛へのあこがれについての映画です」とも監督は説明する。「フィリップは恋に落ちようと必死に努力しますが、戦争によって起こる友人たちの理不尽な死によってその感情を深めていくことができません。今は恋をしている場合ではない、彼は自分が目指していた感情を自ら破壊することを決意するのです」という。その心の隙間を埋めるように、ナチスの女性たちを次々と誘惑し捨てていく主人公フィリップの冷酷でシニカルで反社会、物議を醸すフィリップの行動についても「すべて壊れやすく繊細なフィリップの性格を隠すための仮面」であると断言。「人の嫌悪感を呼ぶように見えるかもしれません」だが「フィリップは自分の内なる悪魔を克服するために、他の方法で行動することはできません。現代だったらフィリップはおそらく心理療法士の下に通い詰めているでしょうね」と、いつの時代も一番の犠牲者となる普通の人間たちの心へ思いを馳せた。ミハウ・クフィェチンスキ監督は、1990年代よりテレビプロデューサー兼演出家としてキャリアを重ね、21世紀に入って以降はポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督作品のプロデューサーとして、後期代表作である『カティンの森』『ワレサ 連帯の男』、そして遺作『残像』まで製作をつとめあげた。ナチス支配下のドイツを舞台に官能的な要素を加えて本作を映画化した大きな理由のひとつとして、「ポーランドで愛する人を亡くしたユダヤ人の主人公は、そのような状況下で何を感じるでしょうか? 私は(原作者)ティルマンドの本を心理的で緻密な映画にし、トラウマから感情が凍り付いた男の孤独を研究することに決めました」と明かしている。『フィリップ』は6月21日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:フィリップ 2024年6月21日より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国にて公開©TELEWIZJA POLSKA S.A. AKSON STUDIO SP. Z.O.O. 2022
2024年06月22日9月5日から15日に開催される第49回トロント国際映画祭で、デヴィッド・クローネンバーグ監督がノーマン・ジュイソン賞、エイミー・アダムスがパフォーマー賞を受賞することが分かった。『ザ・フライ』『クラッシュ』など独特な作品を作り続け、ファンを獲得してきたクローネンバーグ。同映画祭は「クローネンバーグ監督の革新的なストーリーテリングと、慣例にとらわれないテーマの探求は、世界における現代映画を形成し続けている」と評した。ファンは「クローネンバーグ監督が正当な評価を受けるのはファンとしてうれしい」「偉大な芸術家」「彼にふさわしい」と喜びの声を上げている。アカデミー賞に6度のノミネート経験を持つ演技派俳優のエイミーについては、「この賞はエイミーの卓越したすべての作品を称えるものである」とコメント。ファンは「確かにエイミーはどの作品を見ても素晴らしい」「2025年こそオスカー像を手に!お祈りしています」などの声をXに寄せている。昨年は『デッドプール&ウルヴァリン』のショーン・レヴィ監督がノーマン・ジュイソン賞、『ラスティン ワシントンの「あの日」を作った男』で今年アカデミー主演男優賞にノミネートされたコールマン・ドミンゴと、『ファントム・スレッド』のヴィッキー・クリープスがパフォーマー賞を受賞した。(賀来比呂美)
2024年06月19日映画監督の北野武が、Amazon MGMスタジオと長編映画を製作することが19日、わかった。Amazon MGM スタジオは、「第96回アカデミー賞」で脚色賞を獲得した映画『アメリカン・フィクション』や、ゴールデングローブ賞受賞のドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』など数多くの良質なアメリカ国内の作品を手掛けるだけでなく、映画『アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~』など、国際的なコンテンツを世界に向けて展開している。北野監督と手がける同プロジェクトは、各国の優秀なクリエイター達の作品を届けるべくAmazon MGMスタジオが掲げているビジョン「Home for Talent(才能がある人が集まる場所)」を象徴する取り組みとなっている。コメントは以下の通り。○■北野武映画を撮り始めて数十年が経ちましたが、各国で映画製作をしているAmazon MGMスタジオとタッグを組むのは自分自身にとっても新たな挑戦でわくわくしています。現在鋭意制作中なので、続報にご期待ください。○■Amazon MGM スタジオ インターナショナル・オリジナル責任者 ジェームズ・ファレル氏型破りなスタイルで世界中のお客様に驚きと感動を与え続けている北野武監督と新しいプロジェクトに取り組めることを大変喜ばしく思います。Amazon MGMスタジオは世界中のお客様に才能溢れるクリエイター達が生み出した作品を、国境を越えていつでもどこでも楽しんで頂けるよう、国際的なプロジェクトにも力を入れており、日本が誇る世紀の鬼才とタッグを組めることは新しい挑戦でありながら、正に我々が目指している理想の形です。Amazon MGMスタジオとの取り組みで“世界のキタノ”がどのように暴れてくださるのか、とても楽しみにしています。【編集部MEMO】北野武監督は、1989年に『その男、凶暴につき』で映画監督を務めて以来、『ソナチネ』(1993)、『キッズ・リターン』(1996)、『アウトレイジ』シリーズ(2010~2017)など計19本の長編映画を手掛けている。1997年には『HANA-BI』が「第54回ヴェネツィア国際映画祭」で日本作品としては40年ぶりとなる金獅子賞を受賞。その後も『座頭市』(2003)で「第60回ヴェネツィア国際映画祭」銀獅子賞を受賞するなど、世界各国の映画祭で賞を獲得して来た数少ない日本人映画監督として国際的な評価を確立している。
2024年06月19日Amazon MGMスタジオが、北野武の長編映画製作が決定したことを発表。北野監督は監督・脚本・主演を務める。北野監督は1989年に『その男、凶暴につき』で映画監督を務めて以来、『ソナチネ』(1993)、『キッズ・リターン』(1996)、『アウトレイジ』シリーズ(2010~2017)など計19本の長編映画を手掛けてきた。1997年には『HANA-BI』が第54回ヴェネチア国際映画祭で日本作品としては40年ぶりとなる金獅子賞を受賞。その後も『座頭市』(2003)が第60回ヴェネチア国際映画祭で監督賞にあたる銀獅子賞を受賞するなど国際的な評価を確立している。2023年に公開された『首』は第76回カンヌ国際映画祭にてワールドプレミアを開催し、大きな話題を集めた。北野監督の長編映画を製作するAmazon MGMスタジオは、第96回アカデミー賞で脚色賞を獲得した映画『アメリカン・フィクション』や、ゴールデングローブ賞受賞のドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル」など数多くの良質なアメリカ国内の作品を手掛けるだけでなく、第80回ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞した映画『アルゼンチン1985~歴史を変えた裁判~』など、国際的なコンテンツを世界に向けて展開している。北野武監督は、「映画を撮り始めて数十年が経ちましたが、各国で映画製作をしているAmazon MGMスタジオとタッグを組むのは自分自身にとっても新たな挑戦でわくわくしています。現在鋭意制作中なので、続報にご期待ください」とコメント。Amazon MGMスタジオ インターナショナル・オリジナル責任者ジェームズ・ファレルは「型破りなスタイルで世界中のお客様に驚きと感動を与え続けている北野武監督と新しいプロジェクトに取り組めることを大変喜ばしく思います。Amazon MGMスタジオは世界中のお客様に才能溢れるクリエイター達が生み出した作品を、国境を越えていつでもどこでも楽しんで頂けるよう、国際的なプロジェクトにも力を入れており、日本が誇る世紀の鬼才とタッグを組めることは新しい挑戦でありながら、正に我々が目指している理想の形です。Amazon MGM スタジオとの取り組みで“世界のキタノ”がどのように暴れてくださるのか、とても楽しみにしています」と語っている。(シネマカフェ編集部)
2024年06月19日中国のSF作家、劉慈欣による世界的ベストセラー小説「三体」が、巨匠チャン・イーモウ監督(『初恋のきた道』『HERO』)によって映画化されることが分かった。言語は中国語だという。日曜日(現地時間)、上海国際映画祭にて製作スタジオの「Beijing Enlight Media」が明かした。小説「三体」は「三体」「三体II 黒暗森林」「三体III 死神永生」の三部作で、第一作は2008年に中国で出版された。日本、アメリカを含む多数の国で翻訳され、ジェームズ・キャメロン監督やバラク・オバマ氏などがファンとして知られている。内容は「文化大革命で物理学者の父を惨殺され、人類に絶望した女性科学者の葉文潔。彼女は人類の運命を左右するプロジェクトが進行している軍事基地にスカウトされ、足を踏み入れる…」というもの。すでに中国ではアニメ化&ドラマ化され、Netflixでも「ゲーム・オブ・スローンズ」を手掛けたデヴィッド・ベニオフ&D・B・ワイスらがドラマ化。Netflixは今年3月からシーズン1の配信をスタートし、シーズン3まで更新したことを発表済みだ。イーモウ監督による映画化に、ファンは「イーモウ監督なら必ずや最高の解釈を映画で見せてくれるはず」「この物語はテレビより映画化されるべきだと思っていた。楽しみ!」「どうか三部作すべてを映画化して」などの期待のコメントをXに寄せている。(賀来比呂美)
2024年06月18日柚木麻子の小説「私にふさわしいホテル」が、のん主演、堤幸彦監督作で映画化、12月より公開されることが決定。ティザービジュアルが解禁された。新人賞を受賞したものの、大御所作家・東十条宗典の酷評により、華々しいデビューを飾ることなく、小説を発表する場も得られなかった不遇な新人作家・加代子。憧れの「山の上ホテル」に宿泊する加代子の部屋の上階に泊まっていたのは…なんとその因縁の相手、東十条だった!大学時代の先輩で編集者の遠藤の手引きによって東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を見事落とさせる。だがここからが加代子のさらなる不遇と試練の始まりだった…。主人公の新人作家・加代子を演じるのは『さかなのこ』で不思議な魅力あふれる主人公をみずみずしく演じ、第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど高い評価を得ており、クリエイター、アーティストとしても精力的に活動しているのん。のんそんな彼女と初タッグを組むのは、ドラマ「ケイゾク」「池袋ウエストゲートパーク」や「TRICK」シリーズ、「SPEC」シリーズ、映画『20世紀少年』三部作などの話題作の演出を手掛けてきた堤幸彦。出版業界で不遇の新人作家がいかにして文壇を変えていくのかをコミカルに、そして時にドラマティックに描いていく。のんさんは、「堤監督はカリスマ的存在だと思います。私も兼ねてより堤作品に出てみたいな、この作品の中に入りたいなと願っていたので、夢のひとつが叶ったような感銘がありました」と語っている。さらに本作は、加代子が憧れるホテルとして、2024年2月に惜しまれながら全面休館を迎えた「山の上ホテル」で最後に撮影された貴重な作品でもある。この度解禁されたティザービジュアルは、のん演じる加代子が小説を書いている1シーン。舞台は昭和。レトロな衣装に身を包み、デスクの前で思案するまるで“先生”のような1枚。山の上ホテルのロゴもあしらわれている。加代子役についてのんさんは「加代子のような役柄は、今まで演じてこなかった力強さがあり、無理矢理にでも自分の道をこじ開けて進むところは共感を覚えました」と語り、さらに「この作品を現場にいる全員が面白がって作っている充実感に満ちていて、映画の現場って本当に最高だな!と嬉しい気持ちでした」とコメント。「たくさんの人の元気と勇気を引っ張り上げる光になると思います」と期待も寄せた。堤監督は「なんとも面白カワイイちょっと切ない映画ができてしまった!」と作品の出来上がりに自信を見せ、初タッグになったのんさんについて、「何を着てもどんな格好でも笑、のんさんは素敵な存在感の演技をする。こぼれそうなメヂカラ、大したマジックだ」と絶賛。さらに本作をいち早く鑑賞した原作者の柚木麻子氏は「デビューしたばかりの頃の自分を重ねて何度も泣きそうになりましたが、書店員さんの機嫌を必死にとる場面では、本当に涙がこぼれました」と印象を語った。<主演:のん コメント全文>とてもやりがいのある作品でした。加代子の野心は手段を選ばない破天荒なもので、敵も味方も自分の目的のために仲間に取り入れていく姿はもはや清々しいと思いました。この荒唐無稽で強引、爽快な物語はたくさんの人の元気と勇気を引っ張り上げる光になると思います。撮影は本当に楽しかった!加代子のような役柄は今まで演じてこなかった力強さがあり、無理矢理にでも自分の道をこじ開けて進むところは共感を覚えました。この作品を現場にいる全員が面白がって作っている充実感に満ちていて、映画の現場って本当に最高だな!と嬉しい気持ちでした。堤監督はカリスマ的存在だと思います。私も兼ねてより堤作品に出てみたいな、堤作品の中に入りたいなと願っていたので、夢のひとつが叶ったような感銘がありました。なのですごーーく緊張しましたし、浮き足立たないようにクールな自分を保ち、ポーカーフェイスで撮影期間を乗り切りました。台本で読んだシーンを色々な形で想像して臨むものの、思わぬ演出でびっくりさせられて毎日毎シーンわくわくしていました。P.S.現場で堤監督の駄洒落を聞けるのが楽しかったです。<監督:堤幸彦 コメント全文>原作が面白すぎるので、役者やスタッフと映画ならではの面白ポイントを探りながら、そしてなんとリアル山の上ホテルのロケとかがんばりながらわいわいとやっていたら、なんとも面白カワイイちょっと切ない映画ができてしまった!これはしかし主演ののんさんの力に拠るところも大きい。何を着てもどんな格好でも笑、のんさんは素敵な存在感の演技をする。こぼれそうなメヂカラ、大したマジックだ。ぜひ劇場でご覧あれ。いい気持ちになれますよ。<原作:柚木麻子 コメント全文>映画化のお話を聞いてとても嬉しかったのですが、加代子を演じても嫌われない俳優さんが日本にいるのかな?という懸念と、山の上ホテルさんから撮影許可がでるかという不安はありました。けれどその不安は杞憂に終わり、のんさんの不敵な佇まい、そして山の上ホテル。デビューしたばかりの頃の自分を重ねて何度も泣きそうになりましたが、書店員さんの機嫌を必死にとる場面では、本当に涙がこぼれました。『私にふさわしいホテル』は12月、全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2024年06月10日「マッドマックス」サーガ最新作『マッドマックス:フュリオサ』より、ジョージ・ミラー監督と小島秀夫監督のロングインタビュー動画が解禁された。第77回カンヌ国際映画祭で約7分間のスタンディングオベーションで大絶賛を受け、辛口批評サイト「ロッテントマト」では批評家/観客のスコアともに90%フレッシュを獲得(2024年6月4日時点)し、高い評価を得ている本作。全米初登場No.1はもちろん、世界中で熱狂的に迎えられ、日本では前作『怒りのデス・ロード』を大きく上回る、週末観客動員&興行収入共に初登場No.1を獲得。2024年に公開された「洋画作品」において初めてランキング1位を記録し、2024年の洋画興行収入No.1が射程圏内となっている。この度、「DEATH STRANDING」「メタルギアソリッド」シリーズを創造し、国内外の多くの著名人やクリエイターに熱狂的なファンを抱える世界的ゲームクリエイターの小島秀夫監督と、1979年の『マッドマックス』シリーズ誕生から世界中に多くの影響を与えてきたジョージ・ミラー監督の対談が実現。貴重なロングインタビューが「ワーナー ブラザース ジャパン公式YouTubeチャンネル」にて公開された。あらゆるメディアやSNSで「ジョージ・ミラーは僕の“神”」と公言するほど誰よりも深い“マッドマックス愛”を持つ小島監督は、約7年ぶりの直接の対面に、当初の時間を延長して本作の魅力や制作の裏側について熱く語り合った。憧れのミラー監督と久々に再会した小島監督は少年のように目を輝かせると、「演出がうますぎる!いつも常に勉強させていただいています。セリフなしで映像で全て見せてくれるというのが、観客と作り手のリズムというか…」と、作品のディテールについて大絶賛。対するミラー監督は、小島監督の深い考察と、クリエイターならではの視点に驚嘆の声を上げると、映画について監督ならではの持論を展開。映画製作を”タペストリー”に例えた。「映画全体にわたり糸を通していくわけです。映画についての比喩の一つには、視覚的音楽だというものがあります。また、全体の模様を作るモザイクアートでもあると言われます。私が好きな比喩は”映画はタペストリーである”というもので、糸を通して絵を描いていくというものです。物語を通して糸をたどっていくとタペストリーの絵が見えてくるのです」と、ディテールの全てが物語全体に糸を通すように重要であると語った。そして小島監督は、フュリオサの腕や髪の毛の変化を通じて、彼女の感情や成長を表現していることにも言及。自身のゲーム創作でも「ビジュアルで語ること」を重視し参考にしていると、改めて監督に敬意を示した。ほかにも、「左腕と髪を失ったフュリオサの変貌」「ディメンタス将軍の“色”の変化」「個性豊かな改造車が、それぞれのキャラクターや関係性を表している」ことなど、作品の魅力をさらに深く理解するための貴重な裏話が盛りだくさん。対談の締めくくりに、小島監督は「ジョージ監督は僕のメンター。今後もずっと映画を作っていただいて、勇気と元気をください!」と語りかけると、ミラー監督は「あなたにそう言ってもらえて、とても嬉しいです。『DEATH STRANDING』を見て、その成果を目の当たりにしてこう感じました。まるでクリエイティブな兄弟だとね。こんな会話を今後もずっと続けて行きましょう!ありがとう!」と互いにエールを贈った。『マッドマックス:フュリオサ』は全国にて公開中。(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.(シネマカフェ編集部)■関連作品:マッドマックス:フュリオサ 2024年5月31日より全国にて公開© 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. IMAXR is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.
2024年06月07日第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞の「悪い夏」が映画化されることが決定。公開は2025年。監督は城定秀夫、脚本は向井康介が務める。この度映画化が決定した「悪い夏」は、気弱なせいでトラブルに巻き込まれていく地方公務員、娘の愛し方が分からずネグレクト寸前のシングルマザー、彼らを犯罪に巻き込んでいくヤクザと売人たちなど、どうしようもないキャラクターが登場し、大きな話題を読んだ染井為人のデビュー作。第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、累計18万部以上を売り上げた。監督は『ビリーバーズ』『女子高生に殺されたい』など癖のある原作を手掛け、高い評価を得ている城定秀夫。2023年の東京国際映画祭で監督特集上映が組まれるなど名実ともに現代日本映画の旗手となった城定監督が、『ある男』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した脚本家・向井康介とタッグを組んで新境地に挑む。城定秀夫(監督)コメント原作小説を読んで即座に「やりたい!」と思い、ワクワクしました。うだるような暑さの中、右往左往する登場人物たちの駄目さやどうしようもなさは人間の愛おしさでもあると感じます。極上社会派エンタメであるこの素晴らしき原作に出会えたうえに、いつか一緒に仕事をしたいとずっと思っていた向井康介氏に脚本を書いてもらったわけですから、これはもう、撮影前から面白い映画になるに決まっていますし、つまらなかったら全部ぼくの責任です。死ぬ気でがんばります!向井康介(脚本)コメント城定監督とはこの企画でご一緒するまで、一度もお会いしたことはありませんでしたが、あのやりがい搾取だけで成立していたゼロ年代のインディーズ邦画界を辛くも生き残り、生成AIに脅かされつつある令和の産業革命前夜に至る今日まで、ひたすら映画と並走してきた同志だと勝手に信じ、その背中を見つめてきました。そんな監督とこうして向き合って仕事ができることに、望外の幸せと縁を感じています。「悪い夏」は生活保護の不正受給を巡って様々な欲望や愛情が交差するサスペンス。日本の社会構造を皮肉に分析する染井さんの原作の中に初期の今村昌平作品に通じるものがあることを発見し、映画化の糸口としました。城定秀夫meetsイマヘイが今回の僕の裏テーマです。みなさま、令和の重喜劇をどうぞご期待ください!染井為人(原作)コメント何者でもなかったわたしを作家にさせてくれたのが『悪い夏』です。人生を変えてくれた、と言っても過言ではない、とても思い入れのある作品です。とはいえ、映画はあくまで監督を始めとした製作チームのもの。わたしはイチ映画ファンとして、『悪い夏』がスクリーンに描かれるその日を、静かに待ちたいと思います。きっと、胸を熱くさせてくれることでしょう。『悪い夏』は2025年、全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2024年06月06日公開中の映画『関心領域』より、ジョナサン・グレイザー監督らが作品を解説する特別映像が公開された。本作は、イギリスの作家マーティン・エイミスの同名小説を原案に、グレイザー監督が10年もの歳月をかけて映画化した作品。原題でもある『The Zone of Interest(関心領域)』とは、第二次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉。映画では、アウシュビッツ強制収容所と壁1枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしが描かれる。グレイザー監督は本作について「なぜ我々は学んでこなかったのか、なぜ同じ過ちを繰り返すのか。80年前に起きた出来事を描いていますが、現代と全く関係のない話を見せるつもりは全くありません」「今もアウシュビッツ収容所での出来事と同じようなことが繰り返されています。本作は決して過去の出来事ではなく、現在のことを描いているのです」と語っている。映像の前半で語られるのは撮影場所について。アウシュビッツ強制収容所所長ルドルフ・ヘス一家の物語を描くため、実際にアウシュビッツの隣で撮影を行ったというチーム。グレイザー監督は「可能な限り真実に近づくことが大切だったからアウシュビッツの隣で撮影した」とリアルを追求したと語る。アカデミー賞音響賞を獲得したサウンド・デザイナーのジョニー・バーンは、「暴力は映像では描写せずに、すべて音で表現するようにした。壁の向こう側では虐殺が行われてる。そんな空間に響き渡る音を忠実に再現するために、徹底的に調べて音作りをした」と制作の裏側を振り返る。そして話は、劇中にサーモグラフィの映像として登場する林檎を土に埋めていた謎の少女の話題に。この少女には実在のモデルがおり、アレクサンドラ・ビストロン・コロジエイジチェックという人物。アレクサンドラは監督がポーランドでリサーチを重ねている時に出会った当時90歳の女性。12歳の時に彼女はポーランドのレジスタンスの一員として、度々収容者にこっそりと食事を与えていたという。その話を聞き、監督はアレクサンドラの物語を書くことを決意(照明を使わないと決めていたため、夜でも人の形を撮影できるサーモカメラで撮影され、彼女を単なる人間ではなく“エネルギー”として描いた、ということを別のインタビューで話している)。アレクサンドラは映画の完成前に亡くなったが、アカデミー賞のスピーチでグレイザー監督は彼女に感謝の言葉を贈った。家、ピアノ、ワンピースまで、すべてアレクサンドラの私物を借りて撮影したシーンで奏でる音楽は、実際にアウシュビッツの収容者であったヨセフ・ウルフが1943年に書いた「sunbeam」という楽曲。本編では黄色い日本語字幕で歌詞が表示される。映像の最後に監督は「私たちに似た人間でも、簡単に残虐な行為に及ぶ恐ろしさを伝えている。そんな中アレクサンドラは人間にも善意が残ってると示してくれた。そんな彼女の存在に救われたような気がした」と物語の唯一の希望の光として描いたアレクサンドラの姿に、平和への願いを込めたことを明かしている。『関心領域』特別映像<作品情報>『関心領域』公開中公式サイト: Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
2024年05月31日映画史に欠かせない女性監督、シャンタル・アケルマンの特集上映、題して「シャンタル・アケルマン映画祭2024」を一昨年、去年に続き今年も開催。初上映作品を含む全15作品がラインアップする。ベルギー出身、フランスを中心に活躍した女性監督シャンタル・アケルマン。シャンタル・アケルマン監督平凡な主婦の日常を描き、映画界に革命を起こした3時間を超える大作『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』は2022年、英国映画協会が10年ぶりに更新した「史上最高の映画100」にて1位に選ばれるなどいまもなお世界に衝撃を与え続け、ファンを増やし続けている。『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』今年で3回目を迎える「シャンタル・アケルマン映画祭2024」では、初上映となる『ホテル・モンタレー』『南』『向こう側から』を加えた全15作品のラインアップ。また、後期のアケルマン作品の編集に携わり、公私共に彼女を支えたクレール・アテルトン氏の来日も決定した。『ノー・ホーム・ムーヴィー』編集:クレール・アテルトン昨年までに上映した『ジャンヌ・ディエルマン~』をふくむ12作品に加え、アケルマン監督にとって重要な連作<ドキュメンタリー三部作>より、アメリカ南部に根強く残る人種差別の実態を描く『南』と、危険を冒してでもアメリカに渡ろうとする移民たちの運命を追った『向こう側から』、そしてアケルマンの感性が冴えわたる初期の『ホテル・モンタレー』を本映画祭では初めて上映。実験的な作品からミュージカル、文芸作まで、約半世紀にわたるアケルマンのキャリアに多面的に触れることができる絶好の機会となる。<ドキュメンタリー三部作>ほか『囚われの女』『オルメイヤーの阿房宮』、遺作の『ノー・ホーム・ムーヴィー』の編集も手掛け、30年以上も公私共にアケルマンと親交があったクレール・アテルトンも初来日決定。全5回のトークイベントにも登壇する。◆本映画祭で初上映作品『ホテル・モンタレー』(1972)エドワード・ホッパーの絵画を彷彿とさせるフレームで描き出される、ニューヨークのとあるホテルの内部。ロビーから寝室、時々姿を現す住人たち、思わず暗闇に目を凝らしたくなる無限に続く長い廊下、そして外へ…。アケルマン監督と盟友のキャメラマン、バーベット・マンゴルトの魔法によって、街中にたたずむ安ホテルも非現実的な、ぞっとするほどの美が目配せする舞台へと変貌していく。『南』(1999)作家ウィリアム・フォークナーとジェームズ・ボールドウィンにインスパイアされ、アメリカ南部での映画製作を計画していたアケルマン。しかし撮影の数日前、テキサス州ジャスパーでアフリカ系アメリカ人のジェームズ・バード・ジュニアが白人至上主義者たちによって壮絶なリンチの果てに殺害される事件が起こる。この恐ろしい事件に焦点を当てながら、アケルマンは地元の人々へのインタビューを通し、アメリカ社会に潜む憎悪とその背景を検証していく。『向こう側から』(2002)9.11の同時多発テロの直後、アケルマンはメキシコを訪れ、危険を冒してでもアメリカ合衆国に越境しようとする移民たちの運命をとらえた。ひとつひとつ積み重ねられる痛みや悲しみの言葉、不条理な状況を受け入れざるを得ない人々の証言。アケルマンの眼差しによって、国境や砂漠の地の不在そのものが強烈な重みを増し、21世紀初頭の<行き止まり>を観客に内から体感させる。『東から』『南』と続くドキュメンタリー三部作を締めくくる作品。◆そのほかの上映作品『街をぶっ飛ばせ』(1968)、『私、あなた、彼、彼女』(1974)、『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(1975)、『家からの手紙』(1976)、『私、あなた、彼、彼女』『アンナの出会い』(1978)『一晩中』(1982)、『ゴールデン・エイティーズ』(1986)、『ゴールデン・エイティーズ』『アメリカン・ストーリーズ/食事・家族・哲学』(1989)、『東から』(1993)、『囚われの女』(2000)、『オルメイヤーの阿房宮』(2011)、『ノー・ホーム・ムーヴィー』(2015)。『囚われの女』「シャンタル・アケルマン映画祭2024」は6月19日(水)~7月7(日)、東京日仏学院エスパス・イマージュにて開催。※6月22日(土)・24(月)・25(火)、7月1日(月)・2日(火)は休映(シネマカフェ編集部)■関連作品:ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地 5月6日〜5月14日、5月20日、5月21日東京日仏学院エスパス・イマージュにて開催© Chantal Akerman Foundation街をぶっ飛ばせ 2023年4月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷「シャンタル・アケルマン映画祭 2023」ほか全国にて公開Collections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman家からの手紙 2023年4月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷「シャンタル・アケルマン映画祭 2023」ほか全国にて公開Collections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman一晩中 2023年4月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷「シャンタル・アケルマン映画祭 2023」ほか全国にて公開Collections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akermanゴールデン・エイティーズ 2023年4月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷「シャンタル・アケルマン映画祭 2023」ほか全国にて公開東から 2023年4月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷「シャンタル・アケルマン映画祭 2023」ほか全国にて公開Collections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman
2024年05月26日細田守監督によるアニメーション映画『サマーウォーズ』のリバイバル上映が決定。劇場公開15周年を記念して、2024年7月26日(金)より2週間、全国の映画館で上映される。細田守監督映画『サマーウォーズ』全国でリバイバル上映2009年に劇場公開された映画『サマーウォーズ』は、『時をかける少女』などで知られる細田守監督が初めてオリジナル原作を手掛けたアニメーション映画。世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界・OZ(オズ)で起こったサイバーテロに巻き込まれた主人公・健二とヒロイン・夏希、そしてその家族が、世界の危機に立ち向かうさまが描かれる。夏の名作アニメーションを再び映画館で田舎の大家族を象徴に描かれる日本の原風景的な夏のひとときと、ネット上のアバターを通して交流する仮想世界・OZの未来的なヴァーチャル世界。この相反する2つの要素を、細田守ならではのストーリーテリングでつなぎ合わせ、家族の絆の物語として描き出した名作アニメーションだ。上映劇場は、全国各地のMOVIXやイオンシネマ、ユナイテッド・シネマを中心に計126館。期間中に来場し作品を鑑賞すると、オリジナルの来場者特典がプレゼントされる。<復刻版>公開当時の『サマーウォーズ』パンフレットを劇場販売また、各劇場限定で、2009年の『サマーウォーズ』公開当時の復刻版パンフレットを販売。映画のイントロダクションをはじめ、仮想世界OZについての解説など、当時の内容をそのまま楽しむことができる。映画『サマーウォーズ』あらすじこれは新しい戦争だ。数学だけが取り柄の少年が、長野の田舎で憧れの先輩とその親戚達とともに、“OZ”と呼ばれる仮想空間から勃発した世界の危機に挑む。インターネットと田舎の大家族と言う全くかけ離れたモチーフをもとに、豪快なバトルと繊細な人間ドラマで魅せる夏のアクション家族映画。詳細映画『サマーウォーズ』リバイバル上映上映期間:2024年7月26日(金)〜 2週間限定上映公開劇場:全国141館<チケット>料金:大人1,600円/高校生以下1,000円※チケット販売は各劇場にて実施。※各種サービスデーや他の割引サービスは利用不可。※プレミアムシートなどにより料金が異なる場合あり。公開劇場[東京]新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、グランドシネマサンシャイン池袋、キネカ大森、丸の内TOEI、MOVIX亀有、MOVIX昭島、シネマサンシャイン平和島、池袋HUMAXシネマズ、イオンシネマ板橋、イオンシネマ シアタス調布、イオンシネマ多摩センター、イオンシネマむさし村山、109シネマズ 木場、109シネマズ グランベリーパーク、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場、ユナイテッド・シネマ豊洲、ユナイテッド・シネマとしまえん[神奈川]MOVIX橋本、横須賀HUMAXシネマズ、チネチッタ、小田原コロナシネマワールド、イオンシネマみなとみらい、イオンシネマ港北ニュータウン、イオンシネマ新百合ヶ丘、イオンシネマ海老名、イオンシネマ座間、109シネマズ川崎、シネプレックス平塚、小田原シネマ館[千葉]MOVIX柏の葉、シネマサンシャイン ユーカリが丘、京成ローザ(10)、成田HUMAXシネマズ、イオンシネマ市川妙典、ユナイテッド・シネマ幕張、ユナイテッド・シネマ テラスモール松戸、USシネマ木更津、USシネマ千葉ニュータウン、キネマ旬報シアター[埼玉]MOVIXさいたま、MOVIX三郷、MOVIX川口、イオンシネマ浦和美園、109シネマズ菖蒲、ユナイテッド・シネマ春日部、ユナイテッド・シネマ入間、ユナイテッド・シネマ新座[茨城]MOVIXつくば、シネマサンシャイン土浦、イオンシネマ守谷[群馬]MOVIX伊勢崎、ユナイテッド・シネマ前橋、イオンシネマ太田[栃木]MOVIX宇都宮、109シネマズ佐野[北海道]札幌シネマフロンティア、札幌シネマフロンティア、ディノスシネマズ苫小牧、イオンシネマ旭川駅前[青森]イオンシネマ新青森[山形]イオンシネマ三川、ソラリス、鶴岡まちなかキネマ[宮城]MOVIX仙台、イオンシネマ名取、109シネマズ富谷[福島]まちポレいわき1&2、フォーラム福島[新潟]ユナイテッド・シネマ新潟[石川]金沢コロナシネマワールド[福井]福井コロナシネマワールド[長野]イオンシネマ松本[岐阜]イオンシネマ各務原[滋賀]イオンシネマ近江八幡[静岡]MOVIX清水、シネマサンシャインららぽーと沼津[愛知]ミッドランドスクエア シネマ、ミッドランドシネマ名古屋空港、MOVIX三好、中川コロナシネマワールド、豊川コロナシネマワールド、安城コロナシネマワールド、小牧コロナシネマワールド、イオンシネマ大高、イオンシネマ長久手、ユナイテッド・シネマ豊橋18、ユナイテッド・シネマ稲沢[三重]イオンシネマ東員、イオンシネマ津、109シネマズ四日市[京都]MOVIX京都、アップリンク京都、イオンシネマ京都桂川、イオンシネマ久御山[大阪]なんばパークスシネマ、シネ・リーブル梅田、MOVIX堺、イオンシネマ四條畷、イオンシネマ シアタス心斎橋、109シネマズ大阪エキスポシティ、ユナイテッド・シネマ枚方[兵庫]MOVIXあまがさき、kino cinema神戸国際、イオンシネマ三田ウッディタウン、109シネマズHAT 神戸、アースシネマズ姫路、塚口サンサン劇場、OSシネマズ 神戸ハーバーランド[奈良]シネマサンシャイン大和郡山、ユナイテッド・シネマ橿原[和歌山]イオンシネマ和歌山[鳥取]MOVIX日吉津[岡山]MOVIX倉敷、イオンシネマ岡山[広島]サロンシネマ1・2、福山コロナシネマワールド[山口]MOVIX周南、シネマサンシャイン下関[徳島]シネマサンシャイン北島[香川]イオンシネマ高松東[愛媛]シネマサンシャイン エミフルMASAKI、イオンシネマ今治新都市[福岡]シネマサンシャイン飯塚、小倉コロナシネマワールド、イオンシネマ大野城、イオンシネマ福岡、ユナイテッド・シネマ福岡ももち、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマなかま16、ユナイテッド・シネマ トリアス久山[佐賀]109シネマズ佐賀[長崎]シネマボックス太陽[熊本]熊本ピカデリー、ユナイテッド・シネマ熊本[宮崎]宮崎キネマ館[鹿児島]シネマサンシャイン姶良、天文館シネマパラダイス[沖縄]ユナイテッド・シネマ PARCO CITY 浦添※上映日や上映時間は各劇場に要確認。※上映劇場・期間が変更になる場合あり。
2024年05月16日映画『まる』が、2024年10月18日(金)に公開される。主演は堂本剛、監督・脚本は荻上直⼦。“◯(まる)”が日常に迫ってくる…奇想天外な物語映画『まる』は、美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている男を主人公に、日常が“◯(まる)”に浸食され始めるという奇想天外な物語を描く作品。独立する気配もなく、気力もなく、淡々と言われたことを過ごすだけの主人公・沢田がいつしか不思議な事態に巻き込まれていく、独特の世界観のストーリーが繰り広げられる。堂本剛が27年ぶり映画主演、虚無な現代美術家アシスタントに主人公・沢田役を演じるのは、2024年にデビュー26周年を迎えた「KinKi Kids」として活動を続け、ソロアーティストとしても活躍を見せる堂本剛。映画主演を務めるのは、1997年に公開された『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』以来、27年ぶりとなる。近年では音楽活動を中心としていた堂本剛だが、監督の荻上直子と企画プロデューサーから約2年間にわたる熱烈なオファーを受け、「自分が必要とされている役なら」と心を動かされて出演に至ったという。主人公・沢田…堂本剛⼈気現代美術家のアシスタントとして働く男。美⼤卒だがアートで⾝を⽴てられず、独立する気力さえも失ってしまった。ある日、通勤途中に事故に遭い、腕の怪我が原因で仕事を失う。横山…綾野剛売れない漫画家。沢田のアパートの隣人。矢島…吉岡里帆沢田と同じく現代美術家のアシスタントとして働いている。沢田の自己がきっかけでふたりの道も分かれることに。モー…森崎ウィンミャンマー出身の青年。コンビニ店員。若草萌子…小林聡美野心的なギャラリーオーナー。⽥中…⼾塚純貴現代美術家の新⼈アシスタント。新⼈のくせに何故かふてぶてしい沢⽥の後輩。吉村…おいでやす⼩⽥沢⽥の⾼校の同級⽣。沢⽥と再会し、下⼼で近づこうとする。アパートの⼤家…濱⽥マリ⼟屋…早⼄⼥太⼀怪しげなアートディーラー。物語のキーパーソン。古道具屋の店主…⽚桐はいり沢⽥がよく作品を持ち込む古道具屋の店主。秋元洋治…吉⽥鋼太郎沢⽥がアシスタントをする⼈気現代美術家。先⽣…柄本明突如現れる謎の⼈物。監督・脚本は荻上直子監督・脚本を手掛ける荻上直子といえば、映画『かもめ食堂』や『彼らが本気で編むときは、』など数々のオリジナル脚本で話題作を世に送り出してきた。『彼らが本気で編むときは、』では第67回ベルリン国際映画祭・観客賞&審査員特別賞を受賞し、『波紋』では第33回日本映画批評家大賞・監督賞に輝いている。そんな荻上直子が、堂本剛と初めてタッグを組み、どのような映像世界を映し出していくのか。今から期待が高まる。映画『まる』あらすじ⼈気現代美術家のアシスタントとして働くも、虚無な日々を過ごす男・沢⽥は、ある⽇通勤途中に事故に遭い、腕の怪我が原因で職を失う。部屋に帰ると床には蟻が1匹。その蟻に導かれるように描いた◯(まる)を発端に、⽇常が◯に浸⾷され始める。【作品詳細】映画『まる』公開日:2024年10月18日(金)出演:堂本剛、綾野剛、吉岡⾥帆、森崎ウィン、⼾塚純貴、おいでやす⼩⽥、濱⽥マリ、柄本明、早⼄⼥太⼀、⽚桐はいり、吉⽥鋼太郎、⼩林聡美監督・脚本:荻上直⼦
2024年05月13日映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』が、2024年12月20日(金)より全国公開される。松山ケンイチと染谷将太のW主演。監督は福田雄一が務める。イエス&ブッダの日常を描く『聖☆おにいさん』初の映画化中村光のギャグ漫画『聖☆おにいさん』は、世紀末を無事に越えた神の子のイエスと、仏の悟りを開いたブッダが主人公。イエスとブッダが休暇を満喫するため、地球という下界でバカンスを楽しむ姿を描いた日常ギャグコメディとなっている。Tシャツにデニムというイエスとブッダのカジュアルな恰好や、現代日本の姿に言葉通りのカルチャーショックを受ける様子など、シュールな展開が魅力だ。6畳一間を飛び出して“地球を救う”大波乱にイエスとブッダは、東京・立川の風呂なし6畳一間のアパートでふたり暮らし。2018年に実写化された『聖☆おにいさん』やその続編『聖☆おにいさん 第Ⅱ紀』などでは、イエスとブッダの立川デイズが繰り広げられていたが、映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』では、そんな2人が6畳一間から飛び出して、地球を救う大波乱の展開を繰り広げる。イエスとブッダは戦うヒーロー「超聖(スーパーセイント)ホーリーメン」の姿で最凶最悪の敵に立ち向かっていくという。またイエスとブッダの神・仏だけでなく、守護神、天使、軍神、女神、仙人、そして魔神など、天使・悪魔も加わり、聖なる存在が豪華に入り乱れていく。松山ケンイチ&染谷将太のW主演主人公・イエス役は、2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」出演のほか、映画『ノイズ』や『ロストケア』などで主演を務めた松山ケンイチ。もうひとりの主人公・ブッダ役は、主演を務めた映画『寄生獣』シリーズのほか、ドラマ「ブラッシュアップライフ」や映画『陰陽師0』など、数多くの話題作に出演する染谷将太が演じる。この他、賀来賢人、岩田剛典、白石麻衣、勝地涼、佐藤二朗といった面々もキャストに名を連ねている。映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』登場人物紹介主人公・イエス…松山ケンイチ下界でのバカンスを奔放に楽しむ神の子・イエス。衝動買いが多い。主人公・ブッダ…染谷将太仏の悟りを開いたブッダ。螺髪、白毫、長い耳たぶがトレードマーク。近所のおばちゃんのように細かいお金を気にする。<イエスとブッダを取り巻く“Team 天界”メンバー>梵天…賀来賢人宇宙の原理が人の姿になった存在。長髪で太眉のがっしりとした体形にスーツを纏っており、押しが強くプロデューサー気質を持ち合わせたキャラクター。ミカエル…岩田剛典(三代目 J SOUL BROTHERS)天使の軍団を率いる天使長。ウェーブのかかった金色の長髪が特徴の大天使。弁才天…白石麻衣音楽や芸術を司る女神。なお、白石麻衣が福田雄一の監督作品に参加するのは初。帝釈天…勝地涼雷を司る軍神。超高級ブランドのスーツを身に着けたスマートなルックスとは裏腹に、時に荒っぽい口ぶりになることも。戦いの仙人…佐藤二朗イエスとブッダが修行を積む際に登場する謎の仙人。映画オリジナルキャラクター。<イエスとブッダに立ちはだかる “Team 悪魔”メンバー>マーラ…窪田正孝煩悩の化身である悪魔。シングルファザーとしてワンオペで、3人の娘を育て上げる。マーラの娘(長女)…山本美月マーラの娘(次女)…桜井日奈子マーラの娘(三女)…中田青渚福田雄一が手がける『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』監督は、映画『銀魂』シリーズや『今日から俺は!!劇場版』、『新解釈・三國志』など実写化映画からオリジナル脚本まで、数々の作品を手掛けてきた福田雄一。映画は、劇場映画化のために原作者の中村光が描いた原作エピソードをもとにしており、ゆるい日常を描いたショートストーリーとは一味異なる長編ストーリーを楽しむことができる。映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』あらすじ広い宇宙の数あるひとつ、燦然と輝く命の星、地球。世紀末を無事乗り越えた神の子イエスと仏の悟りを開いたブッダは、日本の四季折々を感じながら下界で密やかにバカンスを楽しんでいた。東京・立川にある風呂なし6畳一間のアパートをシェアし、ふたり暮らし。アイスを分け合ったり、近所の商店街で福引きを楽しんだり、お笑いコンビ「パンチとロン毛」を結成したり。ゆるーい日常を過ごす2人の元にある日、招かれざる客が訪れ、衝撃の事実が伝えられる。やがてそれは、世界の命運を左右する<神×仏×天使×悪魔>が入り乱れる予測不可能な“聖戦”へと繋がっていく。諸行無常の現世に、最後の審判が下される時、いま、地球の平和は再びイエスとブッダに託された!【作品詳細】映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』公開日:2024年12月20日(金)監督・脚本:福田雄一出演:松山ケンイチ、染谷将太、賀来賢人、岩田剛典、白石麻衣、勝地涼、山本美月、桜井日奈子、中田青渚、佐藤二朗、窪田正孝原作:中村光「聖おにいさん」(講談社「モーニング・ツー」連載)
2024年05月12日『余命10年』の藤井道人監督初の国際プロジェクトとなる日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』。いま、映画界を牽引する監督として最も注目される藤井監督の演出方法について、初タッグを組んだシュー・グァンハンと黒木瞳が語った。世界最速で公開した台湾では、今年公開された台湾映画(合作含む)でナンバー1大ヒットを記録。ベトナムでも、先行上映を含む10日間ですでに30万人動員を突破し歴代日本映画実写第1位を記録するなど、先んじて公開を迎えているアジア各地でロケットスタートを切っている本作。今後も韓国、カンボジアなど10以上のアジア各国・各地、中国大陸で劇場公開が決まっている。そんな本作でアミ(清原果耶)の母親を演じた黒木さんは、「藤井監督の作品はとても好きで全て拝見しています。いつかご一緒できたらいいなと思っていたので遂に夢が叶い、大変興奮しました」と藤井作品への参加は夢であったと語る。さらに「今までは藤井監督の作品を観ると、どんな風に演出をされているんだろうと一視聴者として気になっていました。初めて撮られる側になって、登場人物の細やかな心情を優しい言葉で伝える監督の的確かつ繊細な演出を受けてとても刺激的でした」と語る。また、世界中を賑わしているアジア俳優のシュー・グァンハンも「本作で監督から『このシーンは深夜の雰囲気が必要』や『ここで目を開けた時は生まれたばかりの赤ちゃんのようであって欲しい』など抽象的な演出を受けることがありました」と打ち明ける。「このような演出方法は私も初めてでしたが、とても心地よいものでした。俳優に想像する空間を与え、自分が撮りたいものを伝えつつも俳優に力を発揮する機会を与えてくださいました。こだわりと想像力のある監督です」と藤井監督の独特な演出方法に感銘を受けた様子だ。そんな藤井監督のこだわりの演出が詰まった本作が描くのは、1人の男の人生の物語。グァンハン演じる台湾の青年ジミーと、清原果耶演じる日本人バックパッカーのアミは18年前の台湾を舞台に初恋に落ちる。しかし、アミはジミーに伝えていない“ある秘密”を抱えていた。アミの帰国により突如として幕を閉じることになった青春のひと時。別れ際に2人は“ある約束”を交わし離れ離れに。それから18年の時を経た現在。ジミーはあの日結んだアミとの約束を果たすために、アミの故郷を目指す旅に出る。彼女とのかけがえのない日々の記憶を拾い集める道中で、松重豊演じる中里や、黒木さん演じる裕子と出会うことでジミーはアミが隠していた“ある想い”を知ることになる――。数々のヒット作品を手掛けてきた藤井監督が、日台の実力派俳優たちと共に送り出す〈意欲作〉。日本と台湾の壮大で美しい風景と、18年前と現在という時代を鮮やかに映し出した切なくも美しいラブストーリーが完成した。『青春18×2 君へと続く道』は5月3日(金・祝)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:青春18×2 君へと続く道 2024年5月3日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開©️ 2024「青春 18×2」film partners
2024年05月07日イタリア映画界を代表する8名の映画監督が来日し、有楽町朝日ホールで行われた「イタリア映画祭 2024」開会式に参加。東京では5月1日(水)より、大阪では5月18日(土)より開催となる。有楽町朝日ホールでの開会式には、エドアルド・デ・アンジェリス監督(『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』)、アンドレア・ディ・ステファノ監督(『アモーレの最後の夜』)、ジネヴラ・エルカン監督(『そう言ったでしょ』)、パオロ・ジェノヴェーゼ監督(『人生の最初の日』)、ダニエーレ・ルケッティ監督(『信頼』)、ラウラ・ルケッティ監督(『美しい夏』)、ファビオ・モッロ監督(『あなたのために生まれてきた』)、マルゲリータ・ヴィカーリオ監督(『グローリア!』)が登壇した。温かな拍手に迎えられ、登壇した監督たちは皆口々に「日本に来ることができて嬉しい」と笑顔を見せた。エドアルド・デ・アンジェリス監督は「私の生まれ故郷は海に囲まれています。そして日本も海に囲まれています。つまり、私たちはよく似ていますね」と独特の挨拶で開場を笑わせた。ダニエーレ・ルケッティ監督は「現在のイタリア映画界はバイタリティ溢れる作品がたくさん溢れています。それぞれの監督の個性を活かした粒ぞろいの映画ばかりで、この映画際でも歴史、家族、アクション、ラブストーリー、音楽……など様々なジャンルが集まっています。日本の皆さんに見てもらいたい映画ばかりですが、少なくとも今日来日した私たち8人の作品は必ず全部見てくださいね」と来日組の作品を強調して明るくアピール。初監督作『グローリア!』を引っ提げて来日したマルゲリータ・ヴィカーリオは、「日本とイタリアでは文化も違いますし100%理解はできないかもしれない、でも6日間続くこの映画祭が、そんな違いを楽しむ貴重な機会になればと思います。いろんなイタリア映画の世界に入り込んで楽しんでください」とメッセージを送った。本映画祭では、新作13本と旧作1本の計14作品が上映される。東京会場は5月6日(月・祝)まで、大阪会場は5月19日(日)までの開催。チケット情報など詳細はイタリア映画祭2024の公式サイトで確認できる。イタリア映画祭 2024▼東京会場会期:5月1日(水)~5月6日(月・祝)会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11階)主催:朝日新聞社、イタリア文化会館、チネチッタ/特別後援:イタリア共和国大統領/後援:イタリア大使館▼大阪会場会期:5月18日(土)~5月19日(日)会場:ABCホール(大阪府大阪市福島区福島1-1-30)主催:朝日新聞社、イタリア文化会館-大阪、チネチッタ 特別後援:イタリア共和国大統領/後援:イタリア大使館、イタリア領事館(シネマカフェ編集部)
2024年05月03日清⽔崇が監督を務めるホラー映画『あのコはだぁれ?』が、2024年7⽉19⽇(⾦)に公開される。主演は渋⾕凪咲。Jホラーを牽引する清⽔崇の新作学園ホラー映画『あのコはだぁれ?』は、『呪怨』シリーズをはじめJホラーを牽引してきた清⽔崇が監督を務める学園ホラー映画。夏休み、補習授業を受ける男⼥5⼈の教室でいないはずの“あのコ”が怪奇を巻き起こし、予想のつかない恐怖に巻き込んでいく様子を描く。GENERATIONS(ジェネレーションズ)が出演した2023年の映画『ミンナのウタ』のDNAを引き継ぐストーリーが繰り広げられるという。渋⾕凪咲が映画初主演主演を務めるのは、本作が映画初主演となる元NMB48の渋⾕凪咲。⻘春サバイバルドラマ「だが、情熱はある」や情報番組「DayDay.」などで活躍する渋⾕凪咲が、臨時教師の君島ほのか役を演じる。また、映画『違国⽇記』の早瀬憩や、映画『君たちはどう⽣きるか』で主人公の声優を務めた⼭時聡真が生徒役に。そして染⾕将太、松尾諭、クワバタオハラの⼩原正⼦、マキタスポーツなど、バラエティ豊かなキャストが集結している。映画『あのコはだぁれ?』人物紹介主人公・君島ほのか…渋⾕凪咲夏休みの補習クラスを担当する臨時教師。悠馬…染⾕将太君島ほのかの恋人。<補修クラスに参加する生徒>三浦瞳…早瀬憩前川タケル…⼭時聡真島田蓮人…荒⽊⾶⽻小日向まり…今森茉耶阿部大樹…蒼井旬映画『あのコはだぁれ?』あらすじとある夏休み、臨時教師として補習クラスを担当することになった君島ほのかの⽬の前で、ある⼥⼦⽣徒が突如屋上から⾶び降り、不可解な死を遂げてしまう。実は数十年前にも同じ場所で同じ事故が起こっている事を知ったほのかと生徒たちは、“いないはずの生徒=あのコ”の謎に踏み込んでいく。恋人の悠馬をも巻き込み、“あのコ”にまつわるある衝撃の事実に近づくが、その度に周囲の人間は消えていく...。彼らを待ち受ける、予想もつかない恐怖の“あのコ”とは?【作品詳細】映画『あのコはだぁれ?』公開日:2024年7⽉19⽇(⾦)出演:渋⾕凪咲、早瀬憩、⼭時聡真、荒⽊⾶⽻、今森茉耶、蒼井旬、穂紫朋⼦、今井あずさ、⼩原正⼦、伊藤⿇実⼦、たくませいこ、⼭川真⾥果、松尾諭、マキタスポーツ、染⾕将太監督:清⽔崇原案・脚本:⾓⽥ルミ、清⽔崇
2024年05月03日映画監督の役割とは何か――?そんな極めて抽象的な質問に、濱口竜介監督は「ある種、自分の生理的な判断によって“OK”と“NG”を振り分けること」と答えてくれた。ヴェネチア、カンヌ、ベルリンの世界三大国際映画祭とアカデミー賞の全てで受賞歴を持ち、いまや新作が発表されるたびに常に世界的な注目を集める存在となった濱口監督だが、彼はどのようにして“映画監督”になったのか? そして、彼はどのように新作を企画し映画として形にするのか?まもなく公開となる『悪は存在しない』は、『ドライブ・マイ・カー』でもタッグを組んだ音楽家の石橋英子のライブパフォーマンスの映像作品として企画がスタートし、制作の過程で当初の作品とは別に1本の長編映画として誕生したという、まさに異色の作品だ。世界を魅了し、驚かせ続ける“濱口映画”の作り方について、じっくりと話を聞いた。映画監督への道「漠然としていました」――濱口監督は、大学で映画サークルに入る以前は、映画をむさぼり観るようなタイプではなかったとうかがいました。それ以前は、どういったカルチャーに触れられていたのでしょうか? また、映画に深くハマるようになったきっかけは何だったんでしょうか?テレビドラマにゲーム、漫画、J-POP…当時の日本のどこにでもあったサブカルはごく普通に触れて楽しんでいましたが、夢中になっていたとは言えないですね。引っ越しばっかりしていたもので、その土地に根ざした遊びはしてなくて、それしかなかったというのが実際だと思います。ただ、映画館に行くのは昔から好きでした。小学生の頃『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て、中学生で『ターミネーター2』を観て面白いと思って、高校生くらいになるとミニシアター系やアート系の映画も観るようになって、自分のことを「映画好きなんじゃないか」と思って、大学で映画サークルに入るんです。そこで、自分なんて実は全然観てなかったんだって気づいた感じです。映画自体は好きだったけど、全然足りていなかった…と。――「自分で映画作りたい」という思いで映画サークルに入られたんですか?そうですね。僕は一年浪人して大学に入ったので、浪人期間中は、なかなか映画館にも行けず、すごくつらさもありました。なので、大学に入ったらやりたいことをやろうって思いが強まって、そのひとつが映画でした。とはいえ、いま思うと、映画をどう作るのかということについて、何も知らなかったですね。――その後、大学生活を送りつつ、仕事として“映画業界”を志すようになったのは?大学3年くらいになると就職活動が始まるんですけど、何を大学でやってきたかと振り返るわけです。大学で大して勉強したわけでもないんですけど、何かしら、大学でやってきたことを就職で活かしたいなと思うんです。学科も映画で卒論を書けるところを選んだし(※大学では文学部 美学芸術学専修課程を専攻)、考えたら映画のことしかやってこなかったので、就活でも映像関係の会社ばかりを受けていました。でも、時代が就職氷河期だったからなのか? 私のコミュニケーション能力に問題があったのか…(苦笑)? 映像関係の会社も軒並み落ちまして…。「どうしようか?」と思っていた時、助監督の仕事を紹介していただけたんですね。――その後、しばらくして、東京藝術大学大学院の修士課程に入り直されていますが、そこに至る経緯は?商業映画の現場で助監督の仕事を始めたんですけど、何も知らないまま入ったわけです。助監督としてどう動くかなど全くわかってない状態で、しかも、そんなにコミュニケーション能力も高くなくて、ちゃんと人から教えてもらえないまま、目の前で現場が動き始めているという状況で…。商業映画1本と2時間ドラマの助監督をやったんですけど、端的に言って仕事ができなかったんですね(苦笑)。その時の監督の知り合いの映像制作会社を紹介していただいて「修行してきなさい」となって、そこでそれなりに楽しいと思いながら働きつつ、その会社が作っているのはBSテレビの経済番組などでしたので「楽しい」がちょっと違うわけですね。「自分は映画がやりたかったはずなんだけどな…」と。そうしたら、芸大の映像研究科が映画監督になるコースを開講することになって、2005年に第一期生を募集していて、しかも教授は北野武監督と黒沢清監督だと。そりゃすごい! 自分のこれまでの趣味と照らし合わせても「ここしかないかもしれない」と思って受けました。一年目は落ちて、二度目で翌年の2006年に受かりました。流れ流れてという感じでしたね。濱口竜介監督――当時から「将来、映画監督になる」といことは意識されていたんでしょうか?本当に五里霧中というか「なんも見えねぇ…」って感じでしたね。あの当時、いや、いまも若い人にとってそうかもしれませんが「監督にどうやったらなれるのか?」というのが全然わかんなくて、聞いたところでは「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」で入賞するとプロデューサーにピックアップされるらしいとか、助監督を続けて階段を昇っていくと、30代後半から40代手前くらいで監督の口があるんじゃないか?とか…漠然としていました。ただ自分に助監督の能力がないことは明瞭にわかったので、その線は消えたわけです。PFFに出したりもしたんですが、全部落ちたり。とは言え、そんなに悪いものは撮っていないはずだという思いもあったので、自主映画で撮っていこうと。「職業にする」というよりは、まずは自主映画・学生映画という形で作品をつくらないと、次の段階に進めなさそうだなって感覚でした。それで藝大大学院も受験するわけなんですけど、「職業として映画監督になれるか」というのはどこまでもわかんなかったですね。――その後、自主映画で短編、長編を含めて様々な作品を手掛け、『寝ても覚めても』では商業監督映画デビューを果たしましたが、自分が「映画監督である」と実感がわいたのはいつ頃ですか?これもすごく難しくてですね…、ある意味、意識の中では自分はずっと「監督」ではあるんですよね。その意識は学生時代からあるんですけど、ただそれが「職業」になったのは、本当に最近ですね。それで食べていけるようになったのが本当にごく最近なので。“商業映画”の意識「せめぎあいの中で作品ができていく」――『寝ても覚めても』以前に『ハッピーアワー』が国際的にも非常に高い評価を受けました。ただ、あの時点で無名の若手監督が5時間を超える映画を作り、劇場公開されるというのはすごいことだと思います。企画を通すということや、プロデューサー的な視点でどうやったら多くの人に劇場で映画を観てもらえるか?といった部分は、意識されていたんでしょうか?その意識が全くなかったわけではないですが『ハッピーアワー』に関して言えば、コントロールが全く効いてなかったというのが実際のところですね(苦笑)。クレジットとしても自分はプロデューサーではないですし。『ハッピーアワー』やその後の『偶然と想像』、今回の『悪は存在しない』でもプロデューサーに入ってもらっている高田聡さんという方がいて、(高田プロデューサーが所属する)「NEOPA」という会社は、実はIT企業なんですけど、高田さんは映画サークル及び学科の先輩なんです。その会社の取締役である高田さんの裁量の範囲で、NEOPAから出資していただけることになりました。『ハッピーアワー』最終的に「すいません、5時間になっちゃいました」という感じだったんですが、それでもOKをいただけて、これはプロデューサーである高田さんの度量の広さというのがまずありますね。『ハッピーアワー』は製作に2年くらいをかけていて、僕にとってもスタッフにとっても人生の一部のような存在になるわけですよね。“お祭り”というよりは、生活の一部みたいな感じですね。有名な人も出ていないですし、『ハッピーアワー』の時は、お客さんというよりは、一緒に仕事をした人たちのために最良の形で完成させるというモチベーションが強くて、その結果、あの長さになって、それを受け入れていただいたという感じです。その意味で、プロデューサー的な才覚は自分にはあまりないと思いますね。――『ドライブ・マイ・カー』のような作品の製作プロセスでも、商業的な部分を意識することはないのでしょうか?特に、いわゆる商業映画の枠組みでやるときはプロデューサーという立場の人たちがいて、C&Iエンタテインメントにいた山本晃久さん、その上司の久保田修さん、ビターズ・エンドの定井勇二さんが主にクリエイティヴ面でも関わってくださっているんですけど、その方たちの意見はきちんと聞いて参考にしています。まず、多大な経済的リスクを負っているのはその方たちなので、その人たちの「これでよいか悪いか?」というジャッジは受け入れるんですけど、そこで「自分が面白いと思うことかどうか」という部分はきちんと出すようにしています。ただ、山本さん、久保田さん、定井さんは『寝ても覚めても』の頃から、それぞれの立場から、かなり自分のやりたいことを尊重してくださったので、自分も含めたそれぞれの立場の意見の、そのバランスの中でできていくというか。自分もプロデューサーのジャッジへの信頼があるので、そのせめぎあいの中で作品ができていくという感じですね。『ドライブ・マイ・カー』――本作『悪は存在しない』は、石橋さんからライブパフォーマンス用の映像の依頼を受けて企画がスタートし、そこからさらに枝分かれして長編映画になったという異色の作品ですが、この作品に関しても、クリエイターとしての「これは映画になる」という手応えと、プロデューサー的な目線で「これは(商業)映画になる」という感覚が重なるような瞬間は?それはどこまでもなかったですね。今回、また高田さんにプロデューサーをお願いしていますが、製作中の高田さんの名言で「まあ、できてから考えようか」というのがありまして(笑)。完成してどんな作品なのかわかって、それから考えればいいんじゃないかと。まあ経済的なリスクが自分たちの耐えられる範囲内であるならば、明らかにそれが最良の選択肢なので、じゃあそうしようかとなった感じです。実際、それがこうやって劇場公開までされることになって、本当に運がよかったなって思いますし、高田さんのそのスタンスには心から感謝していますね。――濱口監督にとって、映画づくりのプロセスにおける「映画監督」の役割・仕事はどういうものだと思いますか?ある種のビジョンを提示したり、作品の全体の方向性を示すことが求められる部分もありますが、基本的には撮影の1テイク、1テイクであったり、編集の一工程、一工程に対し「OK」か「NG」かを判断する仕事ですね。単純に「OK」か「NG」かを示すだけでは暴力的なので、必要なら言語化も説明もしますけど、究極的には、個人の生理的な判断で「OK」と「NG」を振り分けていくのが仕事のような気がしますその基準をきちんと守り通せたら、映画になるだろう、という思いでやっています。――繰り返しの質問になりますが、企画を「成り立たせる」という部分や「いかにこの企画を通すか?」という部分に関して、意識されたことはないんでしょうか?これは本当に、僕がプロデューサーに恵まれているんだと思いますが、そういう経験がないんですよね。プロデューサーが「こういうことなら商業映画として劇場に掛けられる」と判断して、商業映画の枠に入れてくれたり、高田さんのように、僕のジャッジを信頼してくださって、とりあえず完成させて、その後のことは、できたものを見て考えればいいと考えてくださる――。もちろん「お金にならなくてもいい」と思っているわけではないでしょうが、そこは自分に対する信頼感をもって「この枠組みの中でやるなら、何をしてもいいですよ」とやらせてくださる方がいるので、「この企画をどうしなきゃいけない」ということは考えず、どちらかというと、その時に自分の中にある課題意識――「現場のここをもうちょっと改善したい」「演出のここをもうちょっとうまくなりたいな」みたいなことに取り組める企画を立てることが多いですね。インプット、キャラクター、ラスト…濱口映画ができるまで――ここから、具体的な作品づくりのプロセスについてもお聞きしていきます。今回の物語はオリジナル脚本ですが、石橋さんの知り合いから実際に起きた問題について話を聞き、それらをベースに物語を構築していったそうですね。物語の組み立てやキャラクターの膨らませ方はどのように行なっていくのでしょうか?脚本に関しては本当に難しくて、いまだに「これが正解」というものがないんですよね。「こうしたら面白い本が書ける」という方式は良くも悪くも確立していなくて、その都度、企画に合わせて七転八倒的な感じで、のたうち回るようにしてできていきます。今回は、まずリサーチをしてみようということで、でも、どこから手を付けていいかわからず、とりあえず、石橋さんの音楽ができる場所の近くでリサーチをすれば、石橋さんの音楽に合うものが何かできるんじゃないか? というくらいのところから、藁をもつかむような思いでリサーチを進めていったら、だんだんと「こういうものが撮れるな」とか「こういうことがあるのか」というのが積み重なっていき、ある時、スーッと筋が通ったということしか言えないんですよね。ある瞬間に突然、組み上がっていくというのは、今回もそうだし『ドライブ・マイ・カー』もそうでした。原作を何度も繰り返し読む中で、ある時、組み上がったという感覚でした。そのために必要なのはインプットをするということですね。インプットが十分にされていれば自然とアウトプットされるんだろうと思います。『悪は存在しない』――今回でいうとインプットにあたるのは…?今回の場合はリサーチそのものがインプットでしたね。使われなかった要素もいっぱいあるんですけど、土地を回って教えていただいた「あの木が〇〇で…」「水はこっから湧いていて…」といった話やその土地の歴史や何かの話のひとつひとつがそうですね。『ドライブ・マイ・カー』では原作そのものもそうだし、「ワーニャ伯父さん」の存在もインプットになったと思います。『偶然と想像」では、喫茶店で隣のテーブルで話されていた会話がインプットになったことがありました。あとは普段の日常の暮らしの細かい感情がインプットになる――「いま、自分の中でザワっとしたこの感覚を覚えておこう」ということもありますね。――キャラクターの膨らませ方に関して、例えば今回の物語で巧(大美賀均)や娘の花(西川玲)を中心に進むかと思いきや、中盤以降で思いもよらない人物が重要な存在になっていきますが、これはどのように…?これは面白くしようと思ったらそうなったって感じですね。単純な映画の好みの話なんですけど、僕自身が不意打ちを食らうのが好きなんですね。「まさかそんなことになるなんて!」というのがすごく好きで、そのパターンのひとつとして「お前、そんな重要なキャラだったのか?」というのがありまして(笑)、急にガツンと来るみたいなのが、映画を見る側の体験としても好きで、自分が作るときもそういうことを起こそうとするんですよね。先ほどのインプットで言うと、映画を観ている時の自分の身体に起こる状態の変化も、ひとつの大きなインプットとしてありますね。『悪は存在しない』――ラストシーンの意図や重要性についてもお聞きします。『ドライブ・マイ・カー』では、ラストで描かれているあの状況はどういうことなのか? という“論争”が起きましたが、そうやってラストシーンの描き方で観る者の心をざわつかせようというのはかなり意図的にされているんでしょうか?それはメチャメチャあると思いますね。映画を観た人は、ラストシーンの印象を引きずって映画館を出るということになるので、ラストシーンというのはかなり大事だと思っています。これも個人的な映画の趣味なんですけど「え? これはどう感じたらいいんですか…?」という気持ちで映画館を出るのが好き、というかかけがえのないことだと思うんですよね。数日途方に暮れますが、気がついてみれば、それが最も残る体験になっている。長く映画ファンでいますが、それが結局最高なのでは、と思っているので、観客にもそういうものを提供したいです。とはいえ、あまりにもわからないと「え? これはどう感じたらいいの?」と感じる“土台”そのものがなくなってしまうので、ある程度の土台を構築した上で、どこかでズレというか、ある種の不条理が入ってくることで「いや、こういうふうに思ってたのに、何なんですか、これは?」というものができるのが大事だなと思います。ただそれもあまりやり過ぎると、観客との関係性が切れてしまうので、その塩梅は常に難しいですけど、観客の体験のためにやるのが大事なことだと思いながらやっています。――今回のラストの衝撃に関しては『ドライブ・マイ・カー』以上だと思いますが、監督の中で様々な構築があった上で、あのラストを選ばれたということですか?ああいうのを明確に言語化してやっているかというと、必ずしもそうではないと思います。ただ結局「こうあるべきだ」という基準が言語化されずとも自分の中にあるわけです。ずっと物語を書いてきて「これがこの物語のラストになるんだ」という納得感――自分の中で腑に落ちた感じで書けることがすごく大事で、そういう身体レベルの納得感があると、やはりそれを演じる人にも伝えることができる気がします。そうすると、今度は演じる人も「これはこういうものなのだ」と確信をもって演技をしてくれて、その確信に満ちた演技を見ると「やはりこういうことなのかな」と観客もまた納得ができるのでは……と思っています。(そのラストが)起きたこととして、そこから「じゃあ、なんでそういうことになったのか考えよう」という、書いているときの感覚は、観客の視点とすごく近いと思いますね。――最後に映画業界で働くことを志している人に向けて、メッセージをお願いします。大事なことは二つで、まず「イヤなことは無理にやらない」ということですね。いまの若い人の感覚で「なんかこの映画の現場、おかしいんじゃないか?」、「こういう働かせられ方は変じゃないか?」と感じたら、その感覚は正しいです。そんなところにいる必要はありません。その感覚を大事にして成長してほしいし「何かがおかしい」と思うことに無理に自分を合わせないことはとても大事だと思います。とはいえ、イヤなことから遠ざかるだけでは成長できないのは確かなので、何かしら勉強を続けることが大事だと思います。現場から離れた時期も自分がやっていたことは、「映画を観る」ってことですね。現場の経験があると、「これはこう撮っているのかな」とか「こう撮れるのはすごいことだ」という感覚もより繊細なものになっていきます。映画館に行くのがベストですが、最近では配信サービスも充実して、低コストでたくさんの作品を観ることができる。これはやっぱりすごいことです。現場に行くと、やっぱり映画を観るって大事なことだなというのはスタッフやキャストとのコミュニケーションでもすごく感じます。「勉強する」というと堅苦しいですが、でも勉強して自分の感覚が変わっていくのを感じるって楽しいことなんですよ。そういう楽しみを自分から手離さなければ、イヤなことを拒みながらでも意外と生きていけると思います。保証はできませんが(笑)、自分の人生を振り返るとそういうことなんじゃないかと思います。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:悪は存在しない 2024年4月26日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、K2ほか全国にて公開© 2023 NEOPA / Fictive
2024年04月26日山田尚子が監督を務める長編アニメーション映画『きみの色』が、現地時間6月9日(日) から15日(土) にフランス・アヌシーで開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭2024の長編コンペティション部門に正式出品されることが決定した。山田監督にとって同映画祭への出品は、2017年の『聲の形』、2018年の『リズの青い鳥』での長編部門への出品に続いて、本作が3度目となる。出品の決定を受けて山田監督は「ひとつの色やことばでは収まりきらない、カテゴライズしてしまってはあふれてしまうようなひとりひとりの存在、その尊さを描いたこの物語を世界中の方々にも届けることができるのはこの上ないしあわせです」と喜びを語っている。併せて、“音楽×青春”をテーマとして描かれた本作の場面写真11枚が公開された。子どもの頃から人が「色」で見えるトツ子が、綺麗な「色」を見てうっとりしているカットや、トツ子と同じ学校に通っていたが突然中退してしまったきみがギターを弾いている姿、音楽好きで物静かな少年のルイがレコードを手にした姿、そしてとあるきっかけでバンドを組むこととなった3人が並んでアイスを食べている一幕など、物語の中心となる3人の性格が見えてくるような写真となっている。そのほかにも、3人を導く物語のキーパーソン・シスター日吉子が聖堂でトツ子と話しているカットや、朗らかな表情で踊るトツ子、色とりどりに花が咲く庭の中、軽やかな足元だけを写した、山田監督作品らしい繊細な色遣いへのこだわりを感じさせる印象的なカットも確認できる。■山田尚子監督 コメント全文きみの色は「好きなものを好きと言えるつよさ」を3人の少年少女がそれぞれの想いで歩いていくお話です。この思いは、私自身も作品を作っていく上でとても大切にしたい事だと改めてつよく感じたことでした。ひとつの色やことばでは収まりきらない、カテゴライズしてしまっては溢れてしまうようなひとりひとりの存在、その尊さを描いたこの物語を世界中の方々にも届けることができるのはこの上ないしあわせです。どうぞきみの色をよろしくお願いします!<作品情報>『きみの色』8月30日(金) 公開公式サイト:「きみの色」製作委員会
2024年04月26日第14回北京国際映画祭が4月18日、北京雁棲湖国際コンベンションセンターで開幕し、パノラマ部門への出品が決定していた映画『不死身ラヴァーズ』から、松居大悟監督と今作で主人公・⻑谷部りの(見上愛)の親友・田中を演じた⻘木柚が参加した。レッドカーペットイベントでは、松居監督はタキシードに蝶ネクタイ、そして雪駄という個性的なファッションで登場し、⻘木はストライプのスーツというクールな着こなしで多くのマスコミに囲まれ、会場は熱気に包まれていた。日本映画を中国の映画ファンに紹介する「2024北京・日本映画週間」。今年のオープニング作品として上映された『不死身ラヴァーズ』は、オープニングセレモニーに先立つ18日に、北京でインターナショナルプレミア上映が行われた。ワールドプレミア上映約450席の劇場は満員御礼。Q&Aでは、会場からさまざまな質問が飛び、松居監督の映画『アイスと雨音』に出演していた⻘木には、前回と今作の松居監督の演出の変化について問われる場面も。⻘木は「いい意味で大きく変わったところがなくて安心しました。リハーサルの時に、松居監督は俳優のまわりをぐるぐると裸足で歩いたり、あぐらをかいて顔を覗き込んだりしながら演出をするのですが、それが前回も『不死身ラヴァーズ』も一緒だったので懐かしくて嬉しい気持ちになりました」とエピソードを明かすと、通訳が翻訳している最中に、松居監督があぐらをかいて顔を覗き込む様子を再現し、会場からどっと笑いが起きていた。また松居監督は、「この映画が海外で初めての上映で、北京にこんなに人が集まっているのを見てどう思いますか?」と質問をしつつ「サインください」とリクエストする観客に対し、「柚と一緒に来られたことが嬉しいですし、北京のみなさんとお話できたことが嬉しいです。サインについては、ここでできるかわかりません(笑)」と返し、会場を沸かせた。他にも松居監督の過去作品と比較した内容や、10年の歳月を経て映画化することについてなど、松居監督や作品に対する関心の高さが伺える質問が続き、映画愛に溢れたティーチインとなった。翌19日にはオープニングセレモニーが、北京市内の映画館「英皇電影城」で開催された。同セレモニーには日本の金杉憲治特命全権大使、北京国際映画祭組織委員会の副秘書⻑を務める王志北京広播電視局副局⻑をはじめ、映画祭組織委員会の関係者が出席し、松居監督と⻘木がゲストとして登壇した。オープニングセレモニー松居監督は、前日のティーチインを振り返り「これまでの作品や、日本映画の歴史を含めた質問をいただいて、すごく面白かったです。もっと話したいと思いました」と感謝の気持ちを述べ、⻘木は、「(中国人ファンの)熱がすごくて驚きました。言葉に表せない気持ちです」と喜びを明かした。その後、在中国日本大使館でレセプションが開かれ、日中両国の映画・文化関係者ら約100人が出席した。トークセッションで、⻘木は「中国に初めて来ることができて嬉しい」と感想を述べつつ、「撮影時は北京で上映させてもらえるとは思ってもいなかった。会場の熱気を感じて今後の日本公開をポジティブな気持ちで迎えられそうだ」と笑顔で語った。松居監督には、レッドカーペットからレセプションまで雪駄姿で登壇していたことに対する質問が飛ぶと、「普段用とフォーマル用で使い分けており、先ほど普段用の雪駄からフォーマルな雪駄に履き替えたところだ」とコメントし、会場からは笑いが起きていた。なお、レセプションには東京国際映画祭のチェアマンである安藤裕康も出席しており、日本映画と中国映画の活発な交流の場となった。レセプション<作品情報>『不死身ラヴァーズ』5月10日(金) 公開公式サイト:「不死身ラヴァーズ」製作委員会(C)高木ユーナ/講談社
2024年04月23日松居大悟監督最新作のラブストーリー『不死身ラヴァーズ』が、4月18日から26日まで開催されている第14回北京国際映画祭に出品され、松居監督と主人公・長谷部りの(見上愛)の親友・田中を演じた青木柚が出席した。第14回北京国際映画祭は4月18日、北京雁棲湖国際コンベンションセンターで開幕。パノラマ部門へ出品された本作のレッドカーペット・イベントでは、松居監督はタキシードに蝶ネクタイ、そして雪駄という個性的なファッションで登場、青木さんはストライプのスーツというクールな着こなしで、多くのマスコミに囲まれ、会場は熱気に包まれていた。本作が上映されたのは、日本映画を中国の映画ファンに紹介する「2024北京・日本映画週間」のオープニング作品として。オープニングセレモニーに先立ち、18日にインターナショナルプレミア上映が行われると、約450席の劇場は満員御礼。Q&Aでは、会場から様々な質問が飛び、松居監督の映画『アイスと雨音』に出演していた青木さんには、前回と今作の松居監督の演出の変化について問われる場面も。「いい意味で大きく変わったところがなくて安心しました」と青木さん。「リハーサルの時に、松居監督は俳優のまわりをぐるぐると裸足で歩いたり、あぐらをかいて顔を覗き込んだりしながら演出をするのですが、それが前回も『不死身ラヴァーズ』も一緒だったので懐かしくて嬉しい気持ちになりました」とエピソードを明かすと、通訳の最中に松居監督があぐらをかいて顔を覗き込む様子を再現し、会場からどっと笑いが起きていた。また、松居監督は「この映画が海外で初めての上映で、北京にこんなに人が集まっているのを見てどう思いますか?」と質問をしつつ「サインください」とリクエストする観客に対し、「柚と一緒に来られたことが嬉しいですし、北京のみなさんとお話できたことが嬉しいです。サインについては、ここでできるかわかりません笑」と返して会場を沸かせる。ほかにも松居監督の過去作品と比較した内容や、10年の歳月を経て映画化することについてなど、松居監督や作品に対する関心の高さが伺える質問が続き、映画愛に溢れたティーチインとなった。翌19日にはオープニングセレモニーが、北京市内の映画館「英皇電影城」にて開催。同セレモニーには日本の金杉憲治特命全権大使、北京国際映画祭組織委員会の副秘書長を務める王志北京広播電視局副局長をはじめ、映画祭組織委員会の関係者が出席し、松居監督と青木さんがゲストとして登壇した。松居監督は、前日のティーチインをふり返り「これまでの作品や、日本映画の歴史を含めた質問をいただいて、すごく面白かったです。もっと話したいと思いました」と感謝の気持ちを述べ、青木さんは「(中国人ファンの)熱がすごくて驚きました。言葉に表せない気持ちです」と喜びを明かした。その後、在中国日本大使館でレセプションが開かれ、日中両国の映画・文化関係者ら約100人が出席。トークセッションで、青木さんは「中国に初めて来ることができて嬉しい」と感想を述べつつ、「撮影時は北京で上映させてもらえるとは思ってもいなかった。会場の熱気を感じて今後の日本公開をポジティブな気持ちで迎えられそうだ」と笑顔でコメント。松居監督には、レッドカーペットからレセプションまで雪駄姿で登壇していたことに対する質問が飛ぶと、「普段用とフォーマル用で使い分けており、先ほど普段用の雪駄からフォーマルな雪駄に履き替えたところだ」とコメントし、会場からは笑いを誘っていた。『不死身ラヴァーズ』は5月10日(金)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:不死身ラヴァーズ 2024年5月10日よりテアトル新宿ほか全国にて公開©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会©️高木ユーナ/講談社
2024年04月23日