台湾の国宝《甘露水》日本初上陸 『黄土水とその時代』9月6日より東京藝術大学大学美術館で
台湾出身者初の東京美術学校留学生として知られる彫刻家・黄土水(こう・どすい)。その代表作《甘露水》(1919年)など、国立台湾美術館所蔵の作品群と資料類を紹介するとともに、彼が美校で学んでいた時代の美術界を振り返る展覧会が、9月6日(金)から10月20日(日)まで、上野の東京藝術大学大学美術館で開催される。
1895年に台北で生まれた黄土水は、1915年に東京美術学校に留学。日本の伝統的感性と近代美術との融合をめざした彫刻家・高村光雲に師事し、研究科在籍中に帝展に入選を果たすなど、早くから注目を浴びた。1930年に病により東京で夭折したが、東アジアの近代美術に独自の光彩を与えた彫刻家としての評価を近年ますます高めるなか、2023年に代表作《甘露水》が台湾の国宝に指定され、同年に開かれた国立台湾美術館での大回顧展も大きな話題を集めている。今回の展覧回では、その《甘露水》をはじめとする国立台湾美術館の所蔵作品約10点と貴重な資料が、彼の母校・東京美術学校の後身である東京藝術大学の美術館で初めてまとめて展示されることになる。
荻原守衛《女》1910年東京藝術大学
黄土水の彫刻家としての歩みにふれられる貴重な機会となる同展はまた、彼が学んだ時代の日本の美術界にも焦点をあてる。