『イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い』宇都宮美術館で 現地制作された大規模な新作インスタレーションを展開
スイス現代美術を代表する映像インスタレーション作家のイヴ・ネッツハマーの日本初の個展が、栃木県の宇都宮美術館で、3月10日(日)から5月12日(日)まで開催される。大谷石の採掘場という巨大な地下空洞を宿す街・宇都宮と出会ったネッツハマーがどのような新作を発表してくれるのか、楽しみな展覧会だ。
1970年生まれのネッツハマーは、建築製図やデザインを学んだのち、1997年より作家活動を開始。映像インスタレーション作家として注目を集め、 2007年のヴェネツィア・ビエンナーレではスイス館代表を務めている。通常の語りの論理を超えて展開するデジタル・アニメーションの映像に、自動機械などの風変わりなオブジェを掛け合わせた作風で知られ、世界の起源や自己の根拠をめぐる問いかけを、顔のない匿名の人の像のイメージを用いて繊細に描き出してきた。
同展の見どころのひとつは、その彼の代表的な映像作品が上映されること。デジタル・ドローイングを駆使したコンピューター・アニメーションによる無言劇の映像は、イメージがイメージを呼ぶかたちで進行し、観る者を予測不可能な展開に引き込む。「謎めいてときに痛ましく、けれどもあくまでエレガントな線と形で紡がれる心象世界」