くらし情報『「不思議で不条理な国」を彷徨うアリスの進む先は NODA・MAP『兎、波を走る』公演レポート』

2023年6月21日 07:00

「不思議で不条理な国」を彷徨うアリスの進む先は NODA・MAP『兎、波を走る』公演レポート

NODA・MAP 第26回公演『兎、波を走る』より 撮影:篠山紀信

撮影:篠山紀信



野田秀樹の最新作NODA・MAP『兎、波を走る』が、6月17日、東京芸術劇場プレイハウスで幕を開けた。それに先駆け、初日前日に行われた公開ゲネプロの様子をレポートする。

舞台上の脱兎がこう語り、物語は始まる。「不条理の果てにある海峡を、兎が走って渡った」。そして本作の上演に当たって野田は、こう語っている。「『なんともいたたまれない不条理』を感じ取っていただければと切に願う」。このふたつの野田の言葉からもわかるように、本作はある不条理な問題が描かれている。どうしようもないほど、いたたまれない不条理が。
野田がNODA・MAP作品に込めるメッセージはいつも痛烈で考えさせられることが多いが、本作ではその距離感が近いせいか、観劇後は押しつぶされそうな感覚すら覚えた。と同時に、劇空間の美しさ、さらに俳優陣の熱演が、この舞台を決して忘れ得ぬものとし、結果、作品に込められたメッセージも胸の内から消えることはないだろう。

「不思議で不条理な国」を彷徨うアリスの進む先は NODA・MAP『兎、波を走る』公演レポート

NODA・MAP 第26回公演『兎、波を走る』より撮影:篠山紀信
潰れかかった遊園地。元女優のヤネフスマヤは、ここでママとかつて見た「アリスの話」を上演しようと、作家に台本を執筆させている。

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