南沢奈央主演、恐怖のなかで生まれる不思議な恋の物語『アーリントン』
コロナ禍で人々がお互いの行動を監視し合う「相互監視社会」の状態となっている今、本作の描く理不尽な社会と、それでも生まれる人間的な感情や忘れられない記憶の物語、人間の力を改めて知ることができるだろう。上演は1月31日(土)まで。
ー白井晃(演出)コメントー本作『アーリントン』(ラブストーリー)は、昨年4月、新型コロナ感染拡大防止の為に出された緊急事態宣言の元、初日間近にして中止になった作品です。関係者の皆さんの多大なる努力によって、こうして上演できることになったことを本当に嬉しく思っています。
エンダ・ウォルシュという、稀有な作家によって書かれたこの作品は、もしかしたらこのような世界情勢でこそ上演されるべき作品だったのではないかと思えるくらいです。それくらいに、私たちの置かれた状況を写し、離れてしかコンタクトができない人と人との関係を考えさせくれます。この作品は、極度に管理され、人と人とを区分する世界の物語ですが(現実が追いついています)、同時に副題にあるようなラブストーリーでもあります。ほんの一瞬の心の繋がりが、私たちを救ってくれる。
そんな小さな恋の物語です。それは切ないほどの痛ましさを伴って。