くらし情報『これは夢か現か、安田章大扮する浮世絵師が舞台を駆け巡る“痛快ファンタジー時代活劇”『あのよこのよ』上演中』

2024年4月17日 17:00

これは夢か現か、安田章大扮する浮世絵師が舞台を駆け巡る“痛快ファンタジー時代活劇”『あのよこのよ』上演中

と想起させる運びも心憎い。

“アングラの匂いをまとったアイドル”、そんな稀有な魅力を備えた俳優、安田の存在が、この巧みな構想の発起点だろう。宣伝ビジュアルで見かけた浮世絵師の扮装の耽美的な雰囲気を楽しく裏切って、舞台上には先走って空回りし、後悔して反省し、地団駄を踏む愛おしい人間・秋斎がいた。

これは夢か現か、安田章大扮する浮世絵師が舞台を駆け巡る“痛快ファンタジー時代活劇”『あのよこのよ』上演中


その秋斎を中心に、未来が見える不思議な力を持つ木賃宿の女将フサ(池谷のぶえ)、騒動の発端となるワケありげな女ミツ(潤花)、彼らを追い詰める冷酷非道な邏卒の組頭・山路(中村梅雀)など濃厚キャラが続々登場、ひとり一人それぞれがキーマンとなる深い肉付けに青木の人間愛、演劇愛が覗く。


これは夢か現か、安田章大扮する浮世絵師が舞台を駆け巡る“痛快ファンタジー時代活劇”『あのよこのよ』上演中


笑い、驚き、心地よく活劇に身を委ねていきながら、要所で世のはかなさ、虚しさが胸を突くのは、タイトルのままに生と死を見つめた物語だからだろう。未来が分かり、死んだ人間とも会話するフサは、いわばあの世とこの世の境目を曖昧にする役回りで、コミカルな振る舞いの奥に慈愛の達観を忍ばせた、池谷の表現の滲み出る旨味たるや。ラストシーンの秋斎とフサの対話は白眉。波乱の一日の出来事が、「生きるとは」の命題に行き着く見事な仕上げに快い痺れを味わった。

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