「パラサイト」ポン・ジュノ監督とソン・ガンホのタッグ作、韓国警察の闇を描くサスペンス。 「殺人の追憶」 11月13日(土)よる7時~BS12 トゥエルビで放送
冒頭のこの場面から、ノンストップで物語が進行する。科学捜査とは程遠い警察の実態をコミカルに描きながら、異常な犯行の実態や、刑事たちが犯人を絞り込んでいく過程が息もつかせず展開する。
捜査の進展に大きな役目を果たすのが、ソウルから応援にやってきたソ刑事(キム・サンギョン)。過去の捜査資料を丁寧に調べて、殺人事件が雨が降る日に起き、被害者が赤い服を着ているのに気付く。知的なソと、直感に頼るパクは対立しながらも、次第にお互いを理解していく…。
韓国では当時、急進的な民主化運動などが始まっていた。機動隊によるデモの鎮圧や、空襲訓練時の灯火管制などが、映画の中でも描かれる。学歴による格差なども含め、背景の時代や社会が伝わってくるのが、映画に厚みを与えている。
昨年7月、韓国の警察当局は、別の殺人事件で収監中の57歳の受刑者が10人に加え、他にも4人を殺害していたとする捜査結果を発表した。男は14人の殺害を自白したが、全て公訴時効が成立しているという。
この男が容疑者として浮上したのは「事件当時は検出できなかったDNAが、鑑定技術の発達で検出可能となったため」だという。まるで、映画のストーリーの延長上にあるような事実に驚く。