新刊『なまめかし ー 奈良・平安の文学と日本のこころ ー』 加藤 要 著 駒草出版
『万葉集 』『古今和歌集 』から 計100首以上の和歌を解説
『万葉集』や『古今和歌集』などの歌集や『竹取物語』や『枕草子』などの読み物など、1000年の時を超えて生き続ける奈良・平安時代を中心とした文学の一節を読み解きながら、古の人々の暮らしや死生観、そして今なお残る日本人のこころを探る。
浮世を忘れ、イマジネーションに満ちた古の世界へ誘います。
万のものに魂を感じ、また、肉体と霊魂の分離を信じていた古の人々。その魂が浮動し、枕や衣服、その袖などに宿ると考えたり、浮遊した魂をつなぎ止めようとしたり。そのイメージの広がりと豊かさに驚きを感じ得ないはずです。
また、月や花を見てものを思い、さらにさまざまな意味を重ね、恋しい人の訪れを占って一喜一憂するなど、意思疎通が限られていた古の世界ならではの営みも、趣を感じさせます。
あらゆるものが可視化され、人と人とのコミュニケーションが多様化・複雑化した21世紀の現代に、1000年前の文学を読むということは、便利なツールを手にし、感性や想像力を働かせることを怠りがちな私たちにとって、どんな意味をもつのか。
余計な分析や批評、私見を加えることなく純粋な古典の知識や読み方を次々に繰り出し、書き溜めた著者のやさしい文章で古典の世界の豊かさを感じとって下さい。