海外でも高い評価を受ける演劇集団池の下 第28回公演はピンター作『いわばアラスカ』上演間近 カンフェティでチケット発売
と呼ばれている患者の症例についての記述から──着想を得て書かれた。もちろんサックスの記述とピンターの戯曲との間には色々な違いがある。たとえば、「ローズ・R」はアメリカ人だが、戯曲のデボラはイギリス人だ。また、デボラの「覚醒」は一挙に起るが、「ローズ・R」は長い時間を経て「覚醒」に至る。戯曲はサックスの本を参考にしてはいるが、基本的にはピンターによるフィクションである。
1982年10月14日ロンドンのナショナル・シアターにて初演。
(『ハロルド・ピンター 2 景気づけに一杯/山の言葉 ほか 喜志哲雄訳 ハヤカワ演劇文庫』より)
ハロルド・ピンター
1930年、ロンドン生まれ。俳優としてキャリアをスタートし、57年、処女戯曲『部屋』で劇作家に転身。
『管理人』(59)で注目を集め、その後『帰郷』(64)などの作品で地位を確立。追いつめられた人間をめぐる不条理を、恐怖とユーモアのうちに描く独特の作風は、その名を冠して“ピンタレスク”と呼ばれる。『景気づけに一杯』(84)以降は政治色の強い作品を次々と発表。ラジオ・テレビドラマ、映画の世界でも活躍、人権活動家としても著名で、イラク戦争開戦時にも積極的な反戦活動を展開した。