【著者インタビュー】原田左官工業所 代表取締役・原田宗亮氏のインタビュー公開!「左官は手仕事による、奥深い最先端の技だ。」
それもあって、親から「後を継げ」とプレッシャーをかけられた経験は一度もなかったのです。ただ、私は小さな頃から漠然と、「いつかは父の後を継ぐことになるだろう」と考えてはいました。
当社は1990年、女性左官チーム「ハラダサカンレディース」を立ち上げました。それまで完全な男社会だった左官業界で女性職人の積極採用・育成に取り組んだ当社は、マスコミでかなり取り上げられたものです。
当時中学生だった私も、「うちは普通の左官屋ではないのだな」とインパクトを感じ、同時に誇りを持ちました。そして、父や職人たちが生き生きと働く姿を見るうちに、この会社が父の代でなくなってしまうのはもったいないと考えるようになりました。
私は大学を卒業後、樹脂部品メーカーに就職しました。そこで約3年間経験を積み、2000年、26歳の時に原田左官工業所に入社。
そして2007年、父の後を継いで代表取締役に就任したのです。
――前職での経験は、経営者になった今も役立っていますか。
とても役立っています。大きなメーカーのものづくりを直接見たことは、貴重な体験でした。また、前職では営業を担当していて、社外のメーカーや職人をコーディネートする機会も多かったのです。