「DUNE 砂の惑星」のD・ヴィルヌーヴ監督がおくる異色のSFドラマ。 「メッセージ」 4月2日(土)よる7時~BS12 トゥエルビで放送
巨大な楕円形の黒く無機質な宇宙船は、地表からわずかに離れて空中に浮かんでいる。彼らはどこから、どのようにして、地球にやってきたのか?その目的は何なのか?
原作はテッド・チャンのSF小説「あなたの人生の物語」。映画は、哲学的な原作とは異なり、現実の国家間対立を反映するなど、より分かりやすい物語にしている。エイリアンを敵視し、攻撃しようとする中国の軍人。「情報を守るために自国民を殺した」と言われるロシア政府。2017年の日本公開当時は、いかにもハリウッド的と感じた部分が、今年2月のロシアのウクライナ侵攻以降は妙にリアルに胸に響く。
冒頭のルイーズの〝回想シーン〟の真実が、後半になって判明してくる。そして、映画の中で、エイリアンがルイーズを通して人類に伝えるメッセージは、現在、世界が直面している破滅的な危機を回避するための重要な示唆であるようにも思えてくる。
米アカデミー賞では8部門でノミネートされ、音響編集賞を受賞した。作品賞、監督賞などは逃したものの、ヴィルヌーヴがこの作品に続き『ブレードランナー2049』『DUNE/デューン砂の惑星』とSF超大作を立て続けに監督したという事実が、『メッセージ』に対する映画界の高い評価を表している。