Z世代のスケボー金メダリストと中年カメラマンが真夏の渋谷を駆け巡る小説『夜と跳ぶ』発売
表舞台から消え、次の五輪を目指そうともしないエイジにイラ立ちながらも、その滑りに魅了された与野は、彼のフィルマーを引き受けました。著者は、与野の心の動きや目線を丁寧に描くことで、ジャンプや回転など、エイジのハイレベルなトリックを紙上で表現。衝突を繰り返しながら最高のトリックを追い求める2人の、関係性の変化も楽しめます。彼らの滑走スポットや、物語の横軸として描かれる連続強盗事件や通り魔事件など奇妙なトラブルが発生する現場は、実際の渋谷の街がモデルになっており、リアルなストリート文化も味わうことができる作品です。
【もくじ】
第一話:渋谷ヒカリテラス16
第二話:宇田川プーケットナイト99
第三話:渋谷駅東口ボードスライド
第四話:井の頭線01チェイサー
第五話:トップ・オブ・コンコルド24
「読めばスケボーの見方が変わる」
額賀氏はスケートボードについて、以前は「街中で見かける若者の遊び」と認識していたと言います。しかし、競技スポーツとして東京五輪のテレビ報道で流れたアクロバティックな技の数々に魅了され、小説の題材として取材を進めるうちに、「競技でみた光景がスケートボードのほんの一部でしかなかったと気づいた。