現在開催中の映画祭「第12回東京フィルメックス」のオープニング作品としても上映されたキム・ギドク監督の新作『アリラン』が来春に一般公開される前にギドク監督が来日し、都内で行われた記者会見に登壇した。
その他の写真
本作は『悲夢』以来、新作を発表してこなかったギドク監督が、出演、撮影などすべての作業をたったひとりで手がけた作品で、ドキュメンタリーとドラマ、そしてファンタジーが融合した意欲作。前作の撮影中に起こった“あるトラブル”や人間関係のもつれから映画製作の最前線から離れ、田舎の小屋で暮らすギドク監督本人と、そんな彼を追いつめ非難するもうひとりのギドク。そんなふたりのやりとりをおさめた映像を眺める3人目のギドク。そして監督自身が「自分の魂のようなものかもしれない」と解説するギドク監督の影……複数のギドク監督が劇中に登場し、ひとりの映画作家の心のうちをカメラの前にさらけ出していく。
当初は映画を撮るつもりはなかったというギドク監督は「映画になったのは全体で撮った20分の1。きっかけは自分ことを自分自身の言葉で告白しようとしたからで、誰かに見せようという想いはありませんでした。そこで彼を非難する“作り出されたキム・ギドク”を撮ることで、苦しんでいる自分を理解しようとしたんです。