メガヒットミュージカルの“本家”がコンサート形式で待望の来日
ルキーニは、エリザベート(マヤ・ハクフォート)がトート(マテ・カマラス)、つまり“死”を愛していたから殺したのだと言い、エリザベートとハプスブルク家終焉の物語を語りだす。オーストリア皇帝フランツ(アンドレ・バウアー)との結婚、姑である大公妃ゾフィー(ガブリエレ・ラム)との軋轢、そして息子ルドルフ(ルカス・ペルマン)との悲劇的な別れ。そのどれもが、ひそやかに彼女を見守り、時に情熱的にエリザベートを誘惑するトートとの関係で彩られる。
27歳から18年間エリザベートを演じてきたハクフォートは、これが最後のエリザベート役になる予定だ。少女時代では伸びやかさ、結婚して自我に目覚める前半は意思を感じさせる強さ、さらに晩年では威厳に満ちた響きまでと多彩な歌声で魅了する。一方のトート役はハンガリーとウィーンで同役を演じ、今年は日本語で東宝版の舞台に立っているカマラス。ロックスターのようなセクシーさと同時にクールさも併せ持ち、時を越えて存在するウィーン版ならではのトートだ。またルドルフ役のルカス・ペルマンは細身の甘いルックスで、苦悩する皇太子を繊細に演じている。
なにより“死”の視点から人間を描いたミヒャエル・クンツェの脚本(作詞も)