日本、イスラエルのユダヤ系、アラブ系の俳優が共演! 『トロイアの女たち』への思いを白石加代子が語る
やはり外国の方は“憎しみの連鎖”というテーマをとても身近なものとしてとらえていると感じますね。日本人とは異なる、歴史的な背景もあるのでしょう。だからこそこの作品がイスラエルで上演されたとき、どんな風に変化するのか楽しみなんです」。
夫や息子を殺され、娘や息子の妻と共に自身も敵の奴隷となる王妃ヘカベ。白石はこの役を演じる醍醐味を「一国を背負っていた王妃が、ちりあくたの存在にまでなりうる運命の不思議さ」と語る。「劇中でヘカベが、まるでこの物語を観ている外側の人へ語りかけるようなセリフがあるの。作者エウリピデスによる二重構造が垣間見えるんだけど、ヘカベのいた時代と“今”とがふっと通じるようで、好きな場面です」。そして「“言霊”というように、台本に書かれた言葉に喚起されて身体が動くことがあります。
それは劇作家が一つひとつの言葉を吟味して、研ぎ澄まして戯曲にしているから。私はそれを意識しているだけね」と笑みを浮かべる。
数千年前、トロイアの炎上を見つめていたヘカベの横顔。その血肉をもった女の胸中を、白石がきっと明かしてくれるはずだ。12月11日(火)から20日(木)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。日本語字幕あり。チケット発売中。
取材・文:佐藤さくら
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