開幕まで2か月、劇団四季待望の新作『リトルマーメイド』稽古場に潜入
まずは気を失った状態でアリエルに助けられたエリックが浜辺で発見される、冒頭早々のシーン。マイケルがエリックの心情の細部に至るまで、丁寧に説明していく。ひと言も聞き漏らすまいという表情でその言葉を聞く、エリック役候補の上川一哉、竹内一樹。その後、耳にこびりつくアリエルの歌声を思って歌うナンバー『あの声』では、声量豊かに安定感ある歌声を響かせたふたりだが、ここでは「冒険好きというエリックのキャラクターを考えて、自由さを探求して」というようなリクエストも飛び出した。ふたりの台本とノートはあっという間にメモで真っ黒になっていく。
一方、アリエル役候補の谷原志音。こちらもソロナンバーを中心に、キーの確認からひと言ひと言に込められた感情、ナンバーごとに成長していくアリエルの心、などが徹底的に見返されていく。製作発表会見で彼女が披露した『パート・オブ・ユア・ワールド』では、「ほら見て、すごい宝物でしょ、と言っているが彼女にはそんなものはどうでもいいんだ。
だって彼女はそれを全部捨てても足が欲しい」「笑顔は海の上のことを話す時までとっておいて」という説明で、会見時とはまったく違うアリエルが生まれた。「今まで考えていたことと真逆だった部分もある。