のアランナ・アーチバルドが裸足でモニュメンタルな振付を踊った。エキゾチックな雰囲気をもつ均整のとれた美しい肢体の女性ダンサーで、ベジャール振付の「バクティ」のシータ神を彷彿させる。強靭でしなやかな動き、難しいポーズでのバランスなど、見せどころの多い役だ。「歓喜の歌」では、BBLの那須野圭右とオスカー・シャコンが登場。彼らは生前のベジャールを知る最後の世代のダンサーだが、エネルギッシュで英雄的なダンスにはベジャールのDNAがしっかりと刻み込まれており、カリスマ的な引力がある。BBLと東京バレエ団とエキストラの80人のダンサーが渦のように連なって大蛇のようになり、宇宙的なエネルギーを放出するラスト近くは、稽古場にも素晴らしい熱気が溢れ出す。音楽が高らかに歌い上げる兄弟愛の凱歌に相応しい昂揚感が、様々な国籍を持つダンサーたちの肉体から放たれていた。
共演は来日ツアーを成功させたばかりのイスラエル・フィルと、巨匠ズービン・メータ。
メータは2011年の震災時に日本に滞在し、オペラ公演が中止になった翌月に再び日本を訪れて、在京オケの「第九」を振った指揮者である。声楽ソリストとして参加するメゾ・ソプラノの藤村実穂子は、紫綬褒章受賞の朗報が舞い込んだばかり。