されていたこともそのキャラクターの醸成に大きく関係しているのだろうけれど、メンバーの採用が自由になり、ドレスデンの響きがどんどん新しくなっている現在でも、ベースにあるのはやはり「いぶし銀」のサウンドだ。これぞ、まさに伝統。その響きが真価を発揮するのはなんといってもドイツ系の音楽で、深いツヤを放つ彼らの演奏は、ワーグナーやR.シュトラウスを始めとする歴史上の多くの大作曲家たちを刺激し、幾多の作品がこのオーケストラに献呈され初演されてきた。
2012年から首席指揮者としてドレスデンを率いるティーレマンは1959年ベルリン生まれ。すでに現代の巨匠としてのポジションを確立している存在で、とりわけ往年のドイツの巨匠指揮者たちの正統な継承者としての評価は高い。現代的なセンスをバランスよく持ちながらも、その解釈は良い意味で保守的。ドレスデンとの両者の相性はアプリオリに保証されていたとさえ言えるかもしれない。
今回も、R.シュトラウス、ブルックナーを軸に、ドイツ音楽のメイン・ストリームを満喫できるふたつのプログラムを携えての来日。
首席指揮者就任後3シーズンをかけて、いよいよ深まっている両者の蜜月を、私たち日本のファンに見せつけてくれるにちがいない。