今回の来日プログラムの大きな核が、彼の祖国フィンランドの英雄であり、生誕150年の記念イヤーを迎えているシベリウスだ。母国ではシベリウスがあまりにも大きな存在のため、学生時代のサロネンはシベリウスをやや敬遠気味で、その真の魅力に気づいたのはフィンランドを離れてからだったそう。逆に言えば、文字どおり嫌というほど血肉に染み込んでいる音楽なのだ。交響曲第2番や第5番など、これを機会にシベリウスをという入門者にもうれしい名曲を披露する。
サロネンがタブレット端末を使って作曲するテレビCMを記憶している方も多いのでは。作曲家でもある彼の、近現代音楽に向ける眼差しは鋭い。前回来日の《春の祭典》につづいて、ストラヴィンスキー《火の鳥》を聴けるのは楽しみだ。
共演陣も豪華。
「クール・ビューティ」ヒラリー・ハーンは、情熱と哀感が交差するブラームスのヴァイオリン協奏曲に、切れ味鋭い知的なアプローチを聴かせてくれるはず。そして東京での一公演[3月6日(金)]限りだが、ますます巨匠の風格を漂わせてきたイェフィム・ブロンフマンが弾くチャイコフスキーのピアノ協奏曲にも期待が高まる。
◆エサ=ペッカ・サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団
2015/3/1(日)