それを知った赤ちゃんたちは……。
美形の若手キャストたちが赤ちゃんの格好をしている違和感は、今回も最初だけだ。言葉での意志疎通はまだ困難とはいえ、赤ちゃんがママを大好きで、ママも赤ちゃんの存在がなにより大切なことは、互いが何歳であっても変わりない。物語ではその点がしっかりと貫かれているため、“地下室の魔女”の力を借りて大人の姿になった赤ちゃんたちの行動も自然に納得できる。再演とあって、演者たちのキャラクターもなじんでおり、赤ちゃんの時はキュートに、大人になってからはピュアな子供の心をもった青年(赤ちゃんだから当然なのだが)のおもむき。観るほうは2倍楽しめる仕掛けとなっている。中でもヨシオに扮した平田の、周りがパッと明るくなるような存在感と、競争のプレッシャーにクールに耐えるソウタ役・水石の風情が目を引いた。
本作でのママたちは、りりか先生のほか、子供服のデザイナーとして働くシングルマザーのまるみ(野口かおる)、スーパーのレジ打ちをしながら息子のヨシオを育てている、ゆい(宮本奈津実)の3人。
異なる生き方ながらもママたちに共通しているのは、赤ちゃんへの愛情を第一に、仕事に恋愛にと日々を精一杯過ごしていること。