くらし情報『戦後70年の夏に問う、「いのち」の物語』

戦後70年の夏に問う、「いのち」の物語

戦後70年の夏に問う、「いのち」の物語
新国立劇場の「地域招聘公演」は、全国各地で生み出された舞台作品を紹介する事業で、地方の優れた劇場文化に光を当て、「地方創生」を現場レベルで実践する意義ある取り組みだ。今年は7月25(土)、26日(日)の2日間、原爆投下を主題にしたオペラ「いのち」(作曲・錦かよ子)が上演される。長崎県オペラ協会が2013年に初演した作品。

オペラ『いのち』チケット情報

注目のひとつが、当公演の指揮者・星出豊が台本構成を手がけていること(演出も)。日本を代表するオペラ指揮者である星出は、長崎県オペラ協会の初代会長だった声楽家・柴田睦陸に請われて1986年から協会の活動に関わってきた。その約30年の交流が結実したのがこの作品。「台本」に「構成」の二文字が添えられているのは、長崎の人々との対話や取材の中で星出が受け取った現実の声で書かれているから。作りものではない、生の言葉が埋め込まれた作品なのだ。


物語は、原爆症で逝った妻・夏子の墓参に訪れた老医師・松尾の人生を振り返る形で進む。描かれるのは声高な反戦ではない。福岡に出かけていて原爆を免れた松尾の、一種のサバイバーズ・ギルト(自分だけが助かったという罪の意識)

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