ノボルはこのふたつのシーンを行ったり来たりする。それは夢なのか、過去を生きなおしているのか――。「あの出来事のせいで今引きこもっている」とノボルが考える過去をひとつずつやり直していく。しかし、やり直すたびに現実が前向きに進んでいく……というわけではない。設定はファンタジーとも言えるが、描かれているものはリアルだ。
舞台では同じシーンを何度も繰り返す。しかし、(ノボルの意思で)毎回少しずつ変わっていくため、例え同じセリフでもトーンが変わり、生まれる感情も違う。それをキャスト陣がち密な芝居でみせていくのだ。
結果、同じシーンをやり直すごとにそれぞれの感情や現実があぶりだされ、登場人物の輪郭を印象的に描いていく。
主役のノボルを演じる赤澤は初日を控え「リアルな人間模様を追求し、段取りや決まりごとやセリフ感なく、その場に生きてるように演じる稽古を積んできました。それって実は当たり前のようで凄く難しいものなんですが、和田憲明さんご指導のもと、どうにか、ここまで来ました!!リアルで生々しい人間模様を舞台上で表現できるよう、精一杯頑張りますので、皆さまには、是非、その目撃者になって頂ければと思います」