「なにもしちゃいけない」岡本玲×加藤拓也『壁蝨』対談
それも例えば怒るか怒らないかとか、友達に同意するかしないかとか、そういう選択です」と説明。描かれるのは病ではなく“人間関係”だ。
加藤は作品をつくるとき、「名前のない感情に出合いたい」のだといい、「お客さんには、その“名の付くことのない感情”に対してどう名前を付けたくなるのか、そういうのも体感してほしい」と語る。今作もそういうものがラストに待ち受けるが、それを体現する岡本は「なにもしちゃいけないなって思いました。映像作品をやっているとガソリンがなくても点火できる能力を身に付けてしまいがちですが、それをちょっとでもやると“名の付いた感情”で(芝居を)つくっちゃうことになると思うので。ただ感じることを大切にしないといけないなと思いました」
12歳からさまざまな作品で演じてきた岡本だが、実は今作には“初めて”が詰まっている。「ここまで出ずっぱりの役は初めてかもしれないです。『なんでできないんだろう』ってフラストレーションがたまってたので(笑)、やっとできる喜びがあります。
15歳から大人までを演じることもですし、母娘のこれだけ濃密な話も初めてです」。母親役は9年ぶりの舞台出演となる石田ひかりだ。