音楽劇「道」フォトコールより 撮影:石阪大輔
デヴィッド・ルヴォー演出、草彅剛主演の舞台『道』が12月8日に幕を開けた。フェデリコ・フェリーニ映画の代表作の日本初の舞台化は、“道”を旅しながら生きる意味を見つけようとする人間の物語を、どこか幻想的でもある劇空間のなかで力強く見せつけた。
主演の草彅が演じるのは、大道芸人のザンパノ。鎖を引きちぎる芸を見せる力の男である。そんな彼に貧困の家族を助けるために買われて、助手としてともに旅をしているのが、蒔田彩珠扮するジェルソミーナだ。そして、粗暴なザンパノから逃げ出したいと思い悩む彼女の前に、ザンパノとは犬猿の仲で、綱渡りの芸を持つイル・マットが現れる。演じるのは海宝直人である。物語は、ザンパノとイル・マット対立の狭間で、ジェルソミーナが自分の進むべき道に葛藤することから大きく展開していく。
このままザンパノのもとにいるのか、イル・マットのように飛ぶのか。演出のルヴォーはこのふたりの男の対比をクリアに見せ、また、草彅と海宝も見事にそれに応えている。筋肉をつけ低い声で乱暴なセリフを発する草彅。飄々と軽やかに動き明るいセリフを繰り出す海宝。ジェルソミーナの前にくっきりとふたつの道が浮かび上がる。