服と同じように、骨格によって似合うジュエリーも異なる骨格診断ジュエリーブランド【fix you】今では女性の間では当たり前のようになっている骨格診断。同社によると、洋服だけではなく、ジュエリーや小物にも骨格別に「似合う」「似合わない」は存在すると言います。身体の厚みや質感、骨っぽさによって、ジュエリーの形や大きさ、長さなどの似合わせも診断し、その人の魅力を最大限に引き出すことができるのです。今回発売となったブランド「fix you」は、骨格診断のパイオニアである二神弓子さんが監修したジュエリーブランド。ストレート・ウェーブ・ナチュラルそれぞれのタイプに合ったジュエリーをデザインしました。パーソナルカラーに合わせられるよう、ホワイトゴールド、イエローゴールド、ローズゴールドの3色のカラーを展開します。素材にはすべてK10と中央のダンシングストーンには天然石のホワイトトパーズ、メレ石にはキュービックジルコニアを使用しました。年齢を問わず、自分の"好き"と"似合う"が見つかる骨格診断メソッドと、わずかな振動で中石が揺れ続けるダンシングストーンジュエリーの煌めきが、本来の美しさをさらに引き出します。fix youが提案するそれぞれの骨格に合うジュエリーStraight≪Classical≫ストレートタイプの人に向けたデザインテーマは≪Classical≫。ストレートタイプは、シンプルでクラシカルなスタイルが似合うので、ネックレスは少し辛口のクッションタイプのひし形をチョイス。Straight着用バチカン部分にもメレ石を使うことでシックでありゴージャスな印象のデザインにしました。Straightネックレス(ホワイトゴールド)ピアスは、ネックレスと似た印象を持ちつつ、単品で使うこともできるクラシカルなラウンドデザイン。ネックレスとセットアップにした際も派手になりすぎないようにメレ石ではなくミル打ちにしてバランスよく仕上げました。Straightピアス(ホワイトゴールド)商品概要ネックレス価格:60,170円ピアス価格:53,900円素材:K10カラー展開:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ローズゴールドの3Color石:ホワイトトパーズ、キュービックジルコニアその他:ピアスのキャッチには淡水パールを使用Wave≪Graceful≫ウェーブタイプに向けたデザインテーマは≪Graceful≫。華奢でありつつ、華やかな印象のあるウェーブタイプのアイテムは、半球体のコロンとした可愛らしく優雅な輝きを放つ印象にしています。Wave着用ネックレスは、葉っぱが重なったようなデザインで厚みを持たせました。Waveネックレス(ローズゴールド)ピアスは同じく植物のツタのような曲線で厚みを出しつつも、透かしをいれることで全体的にエアリーで重くなりすぎないデザインに仕上げています。ピアスは正面から見るとドロップ型に、横から見るとホースシュー型と、見る角度によって印象が変わります。Waveピアス(ローズゴールド)商品概要ネックレス価格:47,300円ピアス価格:141,900円素材:K10カラー展開:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ローズゴールドの3Color石:ホワイトトパーズ、キュービックジルコニアNatural≪Cool≫ナチュラルタイプに向けたデザインテーマは≪Cool≫。スタイリッシュなスタイルのファッションに似合うナチュラルタイプのアイテムは、縦ラインを強調したシンプルなデザインです。Natural着用ネックレスは、長さを出して、良縁を呼び込むモチーフであるリボンのようなイメージにしました。Naturalネックレス(イエローゴールド)ピアスは艶感ある仕上げ。上部にはそれぞれサイズの異なるメレ石を配置することで、クールな中に華やかな輝きが印象に残るデザインに仕上げています。Naturalピアス(イエローゴールド)商品概要ネックレス価格:90,200円ピアス価格:85,250円素材:K10カラー展開:ホワイトゴールド、イエローゴールド、ローズゴールドの3Color石:ホワイトトパーズ、キュービックジルコニアその他:ピアスのキャッチには淡水パールを使用クロスフォー(マイナビ子育て編集部)<関連記事>✅ワンランク上の自分に導いてくれる「PRMAL」の華やかビジュー3選✅ニュアンスのあるフープと、一粒のパールのワンポイント。いつものコーデを格上げしてくれる「nocon bijoux」のジュエリー✅トルコで採れないのになぜ「トルコ石」? 名前の由来を調査【12月の誕生石】
2023年12月04日●カップル成立後も「どんどん愛情が増している」Prime Videoの恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』シーズン5が先日最終回を迎え、5代目バチェラー・長谷川惠一は飲食店経営の大内悠里にファイナルローズを渡した。番組終了後、長谷川と大内にインタビューし、現在の心境や、すでに婚約をしたという2人の未来予想図など話を聞いた。○■「ケイたん」「ユウちゃん」と呼ぶときも――改めて大内さんにファイナルローズを渡した決め手となったところを教えていただけますか?長谷川:自分が今まで会ったことがない人間だったということも大きな要因の一つでした。あとは純粋に彼女といる自分が好きですし、しっかりと愛情表現をしてくれるところにも惹かれています。自分は気持ちをはっきりと出すことがあまり得意ではなかったのですが、そうなりたいなという思いはあったので、彼女によって、自分の新たな一面を引き出してもらえました。なりたい自分になれた。本当に彼女に出会えてよかったなと思いました。――大内さんは長谷川さんの言葉を聞いていかがですか?大内:うれしいです。それしかないです(笑)――カップル成立からどんどん愛情が増していると番組では話されていました。長谷川:そうですね。増していっていると思います。まだ彼女のすべてを知っているわけではないですし、こんな面があるんだと発見も多い。一緒にいるといろいろ刺激をもらえます。結構やかましいところもありますが(笑)、そこも可愛いなと。一緒にいると明るい気持ちになります。大内:確実に気持ちは増しています。大好きがどんどん積み重なっているというか、いろいろな面もたくさん知ることができて、本当に全部が大好きになっています。――大内さんはカップル成立後の放送で「ケイちゃん」と呼んでいましたが、どのタイミングでそう呼ぶようになったのですか?長谷川・大内:すぐだよね。大内:シンクロした(笑)長谷川:いまはまた呼び方が変わっています。大内:「ケイたん」とか呼ぶこともありますね。――どんなときに「ケイたん」と呼ぶのですか?大内:一緒にいるときは甘えていることが多いのですが、そういうときは「ケイたん」と呼びます。――長谷川さんは「ユウたん」とは呼ばないのですか?長谷川:私から「ユウたん」は出ないですね(笑)。私がそう言っているのを想像しても気持ち悪いでしょ。多分そう呼ぶことはないですね。大内:でもたまに「ユウちゃん」って呼んでくるのは可愛い(笑)○■「お互いの気持ちは言い合うように」 直してほしいところは?――喧嘩をすることもありますか?長谷川:もちろん喧嘩もします。でも元々お互いの価値観が違うということも理解し合いながら付き合い始めているので、喧嘩をしてもしっかりとお互いの気持ちは言い合うようにしています。納得するところまでお互い会話をすることで、理解にもつながりますしね。――喧嘩の原因は?大内:いがみ合うような喧嘩はしていないよね。お互い「こうしてほしいんだけれど」ということを話し合うみたいな。長谷川:どちらかがバーンと爆発することはいまのところないですね。大内:たまに私が「ワ~」ってなることはありますが(笑)長谷川:彼女はため込んでしまうタイプなので、それはやめてねと話しています。何でも話して、というスタンスにしているので、もっと話してくれてもいいと伝えています。もちろん、すべてを話す必要はないと思いますが、自分が思っていることで、今後もそれが引っかかることなら、言ってくれた方がいいと思っています。――お互いに直してほしいところは?大内:たまに帰りが朝になることですね。本当に2カ月に1回ぐらいですが。だいたい「12時頃帰ります」と連絡が来るのですが、少しして「ちょっと遅くなります」と来て、さらに「もうちょっと遅くなります」って。結局朝5時ぐらいに帰ってくる。最初から朝帰りと言ってくれればいいのですが、帰ってくると言われると、起きて待っていたくなるじゃないですか。結局帰ってこないと「もう帰ってこないじゃないか!」ってなるので。それはやめてほしいです。長谷川:確かにそういうときはプンプンしていますね。じゃあもう、全部出掛けるときは朝5時に帰りますって言いますね(笑)大内:それは嫌ですね(笑)――長谷川さんは何かありますか?長谷川:ゴミをすぐに捨ててほしいです。大内:あるあるある(笑)長谷川:基本ティッシュなんですが、彼女アレルギー性鼻炎なので、結構鼻をかむんです。でも1回使ったティッシュを「もったいない」と言ってとっておくんですよね。ティッシュいっぱいあるから……と思うんですが、なぜかケチるんです。大内:変なところで貧乏性になっちゃうんですよね。鼻をかんでもそんなに出ないことがあるじゃないですか。またすぐ出る可能性があるので、捨てるのがもったいなくて(笑)。でもすごく嫌がるんです(笑)●理想の夫婦は長谷川惠一の両親「仲がいい」――番組でご婚約されたことを発表されていましたが、早々のご結婚も視野に?長谷川:まだ日程などは決まっていないので、これから具体的な話ができたらいいなと思っています。今後のことを考えたら早い方がいいかなとは思っています。――これまでバチェラーカップルでご結婚まで進んだカップルはそれほどいませんよね。長谷川:そうですね。元々私がこの旅に参加する際、結婚というか、最後の恋愛というのが自分の中のテーマとしてあったので、結婚が一つのゴールであるとは思っています。彼女ともそういう話はしているので、今後明確になっていけばいいかなと思います。――お二人にとって理想の夫婦像は?大内:私は1歳のときに両親が離婚しているので、ずっと続く愛はないんだろうなと人生経験上思っていたんです。でもケイちゃんのお父様とお母様を見たとき、すごく仲が良くて、本当に愛の深い2人だなと感じたんです。リアルに変わらない愛を見せていただいて、ケイちゃんのお父様とお母様みたいな夫婦になりたいなと思いました。長谷川:確かにうちの家族は仲がいいですし、自分で言うのもなんですが、いい奴らだなと思います(笑)。両親もそうですが、うちの弟夫婦もすごくいい関係性で憧れます。自分の中で両親や弟夫婦が理想でありつつ、ハードルの高さにもなっていたので、あえてそこは意識せず、2人でいい関係性を築いていければなと思っています。――長谷川さんのご両親の仲の良さはどこに秘訣があると?長谷川:どうなんでしょうね。喧嘩しているところも見ているので、やっぱり言いたいことをお互い言うというのは大切なのかなと。あとはうちの父親はとても頑固なのですが、母親がそっと見ているというか……なんとなく噛み合っているなと。多分母親がすごく偉いんだろうなとは思っています。○■『バチェラー』を通して人間的にも大きく成長――『バチェラー』でカップルになるということの大変さは感じていますか?長谷川:まだ2人で外に出たことがないので、何とも言えませんが、やっぱり私は身体が大きくて、彼女は髪の色が派手なので、何かと目立つと思うんです。少し大変だなということはある程度は覚悟していますが、とにかく温かく見守っていただけるとうれしいです(笑)――今回の『バチェラー』を通してどんなことを得ましたか?長谷川:私は前回の『バチェロレッテ・ジャパン』から2度目の参加なのですが、自分自身言葉に出して思いを伝えるのがすごく苦手だというコンプレックスがあって。当時の自分は好きではなかったんです。前回の旅で改めてそのことを認識しました。そんな中、今回の旅を通じて、素敵な方々と出会えたことで、自分の気持ちを素直に伝えることができました。自分が変わったという意味でも彼女に感謝したいです。大内:私は昔から「好きだよ」と言われても「絶対私は1番じゃないわ、嘘だよ」と思うタイプだったんです。今回もすごく疑心暗鬼になり苦しくなってしまう時期がありました。でもいくら考えても、相手が言っていることが本当なのか嘘なのかは分からないので。それで苦しくなるのだったら、自分の気持ちを大事にしようと思ったんです。私がケイちゃんのことを好きな気持ちは絶対だし、ケイちゃんに幸せになってほしい、笑っていて欲しいという思いには嘘がないから。そう考えられるようになったら、相手の気持ちを気にして「ワ~」ってなることもなくなりました。自分がどう思っているのかだけブレなければいいやと。この旅で惑わされず、翻弄されずにしっかり強く自分の気持ちと向き合えたことは、今後生きていくうえで大きな指標になった気がします。――改めて長谷川さんが最後の選択をしたときの気持ちを教えてください。長谷川:彼女にもお伝えしましたが、本当に最後の最後まで悩んで、何も決めない状態であそこに立ったんです。後悔は全くありませんが、二度とあの状況にはなりたくないですね。本当に苦しい旅でした。でもしっかりと乗り越えられた気がします。――そして、改めてお互い相手に伝えたいことは?長谷川:私も以前参加者としてあの場に立ったことがあったので、つらい思いをさせてしまったのかなと思っています。だからこそ、これからの日常生活を通じて、カップルらしいことをどんどんしていきたいです。お互いのことをもっともっと知って、一緒にいろいろな経験をしていきたいです。大内:もう会えなくなるかもしれないと覚悟を決めていたので、こうして一緒にいられることがうれしいですし、ありがとうと言いたいです。――これから2人で何をしたいですか?長谷川:やっぱり旅行とか行きたいですね。普通に堂々と街中デートしたいです。これまで当たり前のことができていなかったので、ディズニーランドとか行きたいです。大内:(涙)長谷川:あれ、泣いている?大内:カップルなんだなって噛みしめていたら涙が出てしまって……。実感が湧いてきました。本当にこれからも一緒にいられるんだなって思ったらうれしくて……。――長谷川さんはカップルになったんだなと実感が湧いた瞬間はありましたか?長谷川:私は終わってからすぐに実感が湧いてきました。家でパッと見たときに隣に彼女がいるとか。キッチンに立っている姿とか。これが幸せなんだなと感じるときに実感します。
2023年09月15日女優の藤田弓子(77)が税金の滞納により静岡県伊豆の国市に所有する自宅を差し押さえられていたと、『女性セブン』が報じた。記事によると、未納分の税金は完済し、差押さえは解除されたという。藤田といえば、喜寿を迎えた現在も舞台に立ち、昨年は映画『Dr.コトー診療所』に出演するなど、話題作に立て続けに出演する現役ベテラン女優だ。そんな彼女がなぜ、“財政難”に陥ったのだろう。「人を信用しすぎて以前所属していた事務所のマネージャーにギャラの大半を持っていかれたり、ご本人も『宵越しの金は持たない』といった豪快な方で、飲んで奢って使い切ってしまうこともあったようです」(芸能評論家)これは「たとえ収入があろうともマネーリテラシーを持つことが大事」という典型例だと解説するのは、老後資金のためのアドバイスに定評のあるファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんだ。「一般人にもいえることですが、収入が高くとも付き合いや趣味が広く、面倒見のいい女性は交際費や衣装代などがかさみ、いざというときの支払いが滞ってしまうということは珍しくありません」さらに、老後資金の貯蓄についても警鐘を鳴らした。「年齢が高くなり、多くの後輩を連れて会食するときの支払いをすべて持つ、お世話になった方へのお礼や贈り物を欠かさないといった方ほど、老後の蓄えがゼロに近いということは珍しくありません。ほかにも、お金が貯まらない『ダメ行動』は意外なところにあるものです」(畠中さん・以下同)畠中さんに、女性が陥りがちな老後資金が貯まらないダメ行動について解説してもらった。【1】折りたたみ傘が5本以上「普段使いするバッグそれぞれに、折りたたみ傘をキープしている人がいます。こうしたタイプの人は、すでに持っているというのに安心できず、重複買いをする、安物買いの銭失いなどの傾向があります」一つのものに決めて長く使えるものを選び、その日使うバッグにつど入れ替えること。整理能力をつけて無駄買いを改めよう。【2】何でもクレジットカード「常に支払いはカードで、という人は、いくら使っても毎月一定額を支払えばよい『リボ払い』に手を出していることも。そうなると、価格に対して無頓着になる危険があります。支払いがあと何回なのか、残高がいくらなのかも正確に把握していないことがあり、また利息がつくという意識も希薄なのでザルになりがちです」それでもリボ払いをするなら、まずは収支と利息を把握しよう。【3】ソロ活できない「中年になってもひとりご飯が苦手な人は、友達と行動を共にすることで散財しがち。自分の行きたいカフェに行ったら次は相手の希望に付き合うことになるでしょう。さらに、『推し活』などで地方遠征する場合は要注意です。たとえばひとりで行けず、娘に同行してもらうとなると、費用はすべて親持ち。これでは、交際費が無尽蔵に膨れ上がります」一念発起し、ソロ活動にすると経費も時間もスリム化できそうだ。【4】夫婦仲が悪い「ふだんから貯蓄について話せないほど険悪な仲だったら、予想外のことが起きることも。たとえば、いざマイホームを買おうという段階で、高収入の夫に『貯蓄ゼロ』であると打ち明けられ愕然とするケースがあります」また夫婦不仲が原因で、教育費をかけすぎてしまうケースがある。「『パパより偏差値の高い大学に子を入れて見返したい』と夫をライバル視するうちに底なしに教育費をつぎ込み、すっからかんになるご家庭は多いので要注意です」風通しのよい円満家庭こそ、老後の豊かさにつながる秘訣だ。【5】同じ本が2冊ある「高収入で、老後までにかなりの貯蓄ができた人は、シンプルでどんなシーンにも対応できるアクセサリーの人が多いです。また、多くのものを所有しません」理由は「足りないものが何か」を基準に買い物をするからだ。「何が欲しいかを基準にして買い物をすると、物欲が膨れ上がり、ゴールがありません。耳は2つしかないのに派手なイヤリングをたくさん集めてしまうのも、必要があるというよりは、『欲しい』気持ちが先走った結果。装飾品にとどまらず、たとえばすでに持っている本を気づかず2冊買ってしまったりなど、『欲しい』気持ちがケアレスミスにもつながります」【6】「せっかく」が口癖「私の友人は海外旅行が趣味で、『せっかくだからビジネスクラスで』と、退職後もランクを落とすことができません」マンゴーやシャインマスカットなどの高級フルーツがせっかく割引になっていたから。毎月1~2度、せっかくママ友とのランチ会だからおしゃれなカフェで。スタバの新作が出たから、七五三だから、など、「せっかくだから」が口癖で、年がら年中プチ贅沢を繰り返している高収入女性は多い。【7】クローゼットがカラフル「クローゼットを開いて、カラフルな洋服が並ぶ人は要注意です。花柄や原色の洋服は着回しが難しく、登場回数が少ないでしょう。『また同じ服を着ている』という周囲の印象もつきやすく、1度しか着用していないアイテムも多いのでは。黒やグレーや白でシンプルにそろえてうまく使いましょう。クライアントさんで老後の資金を億以上貯めることができた方は不思議と、“割烹着”のようなスタイルの方が多い。それくらい身の丈をわきまえているのです」7つの傾向に注意して、手堅く老後資金を貯めよう!
2023年04月20日渡辺謙主演の舞台『ピサロ』で、将軍ピサロが立ち向かうインカ王アタウアルパを演じる宮沢氷魚。昨年、新生PARCO劇場のオープニング・シリーズを飾りながら、コロナ禍の影響によって10回だけで中止となってしまったこの作品の再上演に、どんな思いで向き合おうとしているのか。そして、あの気品に満ちた王は今度はどんな姿で立ち現れるのか。意欲あふれる宮沢の声を聞いた。昨年、公演が中断したときから宮沢は希望を持って過ごしていたという。「というのも、中止が決まったその日に謙さんが、『またやるぞ!』とおっしゃったので、謙さんが言うんだから間違いないと思っていたんです(笑)」。それでもそれが現実となったことには改めて喜びを感じずにはいられない。「やはり『ピサロ』には、始まったものが終えられずにそのまま止まっているという感覚があって。もっと多くの人に観ていただきたい作品だと思うので、再びチャンスを与えていただいた幸せを1回1回噛み締めながら、今度こそ最後まで走り抜けられればなと思っています」。アタウアルパという役に再び挑むにあたっての思いもひとしおだ。「謙さんが演じるピサロに対抗する重要な役なので、昨年はとてつもないプレッシャーのなかでこの役と向き合っていて。たぶん毎公演、精神的にも体力的にも100%に近いエネルギーを出して、一瞬一瞬に集中していたと思うんです。だから意外と、自分がやっていたことを覚えていないんですけど(笑)。今回はやっぱりそこを超えていかないといけないですし。作品の軸となる人物であるだけに、その幹をさらに太くしていかなければいけないと思っています」。具体的には、昨年は足に重りを付けてどっしりとした存在感を出す工夫をしたそうだ。「上半身で呼吸をして声を出すと弱い王に見えてしまうので、重心を下げて地面からエネルギーをもらうように呼吸することを意識したんですけど。今回はその感覚を稽古序盤から身につけたいなと思っているんです」。世界の状況が一変したこの1年。「アメリカで起こっているアジアンヘイトなど、ますます差別と分断が深まっている今、スペイン兵のインカ帝国の征服を描いている『ピサロ』という作品は、改めていろんなことを感じさせてくれると思います」と宮沢。愚かなことを繰り返す人間たちのなかで美しく強く生きようとする宮沢氷魚の王の姿は、この困難な道を照らす光となるに違いない。公演は5月15日(土)から6月6日(日)まで東京・PARCO劇場にて。チケット好評発売中。取材・文:大内弓子
2021年05月10日「僕はこれを“リベンジ公演”と呼んでいるんです」。渡辺謙が言う。2020年3月、リニューアルしたPARCO劇場のオープニング・シリーズ第一弾公演として開幕する予定だった、渡辺主演の『ピサロ』。コロナ禍によって初日が延期となり、わずか10回の上演で幕を閉じることをやむなくされたこの公演が、再びお目見得するのである。リベンジに向かう心境やいかに。渡辺謙が熱く答えた。昨年、公演の中断が決まったとき、渡辺はすぐプロデューサーに「もう一度やろう」と掛け合ったそうだ。「僕は映画でもドラマでも作品をひとつの旅に例えていて、舞台であれば、稽古から千穐楽まで、そして一公演ごとに旅をしていると思っているんですけど、この『ピサロ』はお話自体がまさしく旅なんです。ピサロがインカに向かって冒険をし、彼にとってはそこがある種の終焉の地となる。そこでピサロが何を得て何を失うのか、僕自身がそれを見つける旅でもあったわけです。ですから、旅が中断されて、非常に未消化なまま終わった感じがあったので。また一から旅をして、見つからないこともあるかもしれないけど、見つけてみたい、つかみに行くぞという気持ちでいるんですね」。10回で終わったものの発見もあった。例えば、ピサロを山﨑努が演じた85年の上演で渡辺はインカ王アタウアルパを演じたが、今回のアタウアルパ役の宮沢氷魚を見ながら、「山さんもこんなふうに俺を見てたんだろうな(笑)」と思ったり、「同じ作品でもアングルが変われば感じ方が違う」と実感したり。「ピサロとアタウアルパがロープでつながれるというシーンを、ロープを使わず、見えない何かでつながっているというふうに表現した」ウィル・タケットの演出にも新鮮さを感じ、「価値観や考え方が相容れない人間たちが混ざり合っていくときに何が起こるのか、そのモメントを発見し表現していきたい」と意気込む。また、「壮大なお話であると同時にちっぽけな人間の話でもあって、その両極に針が触れる面白さがある」と作品の魅力も改めて感じている。昨年の上演は、突如見舞われた困難に舞台上にも客席にも緊張が伴った。だからこそ、今回の上演では演劇の楽しみを取り戻したいとの思いも強い。「劇場のドアがクローズして1ベルが鳴って客電が落ちて幕が開く。そこからは外の世界と違うことが繰り広げられ、浮世の煩わしさから離れて没頭できるのが演劇です。そこへ誘うために僕らはやっているんです」。ピサロと旅を共にすることで、自分はどこに辿り着くのか。楽しみにしたい。取材・文:大内弓子
2021年04月14日シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のセリフをシャッフルし、ソネット詩なども加えながら大胆に再構成して老夫婦の愛の物語を描く『テンダーシング─ロミオとジュリエットより─』。ナショナル・シアター・ライブの『リーマン・トリロジー』が日本でも評判のベン・パワー脚本による、日本初演の二人芝居である。稽古を重ねる中でどんどん作品の深みにハマっているという土居裕子と大森博史が、その魅力を語った。シェイクスピア作品にはこれまで何度も触れてきた大森がまず面白く思っているのは、やはりセリフをバラして構成されていること。「そもそもシェイクスピア作品は、人間の奥底をつかんでいるような言葉が多いので演じるのも観るのも面白いと思っているんですけど、ロミオとジュリエットという若者の言葉を、違うシチュエーションで老夫婦に語らせることで、同じ言葉が違う意味を持ってさらに奥深くなっているんです」。一方、シェイクスピアの言葉をちゃんと口にするのはこれが初めてという土居。「最初は“なんで引き受けちゃったんだろう”と後悔するくらい(笑)、バラバラになったセリフに苦戦したんですけど、今では、もとの『ロミオとジュリエット』よりももっとピュアなラブ・ストーリーじゃないかなと、大好きになっています」と語る。“老ジュリエット”が語るのはジュリエットのセリフだけではない。「ロミオやマキューシオのセリフも言うことで、あの初々しくて可憐なジュリエットとは違うジュリエットが浮かび上がってくる。ロミオも自ずと違うロミオになります。だから長く一緒にいられる夫婦になったんだろうなとも思うんです」と土居。大森も“老ロミオ”に、「『いつまでもここにいよう。ここ以外に場所があることなど忘れたままで』というようないいセリフがあって愛を感じる」と話し、「観終わったあとに皆さんも、そばにいる人を大事にしようと思ってもらえたら」と付け加える。そもそもは昨年夏に公演日未定として上演が発表され、事前に稽古だけが行われていた今作。通常よりもたっぷりとあった稽古期間で、翻訳監修を担った松岡和子や気鋭の若手演出家・荒井遼と共に、「柔軟にいろいろな探り方をしていけた」と二人は声を揃える。シェイクスピアに詳しいベン・パワーが生み出した異彩を放つ戯曲は、この日本初演で、さらなる深淵を見せつけてくれるだろう。(取材・文:大内弓子)
2021年01月27日10月に「劇団スーパー・エキセントリック・シアター(以下SET)」の第58回本公演は、『世界中がフォーリンラブ』と題したSET初の“純愛”をテーマにした物語。座長・三宅裕司と、看板俳優・小倉久寛が、そこに込める思いを語った。【チケット情報はこちら】愛というテーマをこんなど真ん中に持ってきたのは、これまでのSETにはなかったことだ。「実は、昨年末には“SNSは将来日本の若者をどう変えるのか”というテーマに決定していたんです。でも、先行きが見えない状況になっている今、そういう社会的テーマはヘビーだろうなと。それで、こういうときこそ愛だと思ったわけです。もうね、誰もがくっついちゃいますよ(笑)。そして、誰もが本当の恋愛をしたくなると思います」(三宅)「“本当の恋をしたくなる”っていいですよね。できれば若いときに観たかった。でも、劇団員にも、若くて素敵な男女がいっぱい増えましたからね。って言うと昔はどうだったんだっていう話になりますけど(笑)、恋愛ストーリーを、みんなやりがいを持って楽しくやれるんじゃないでしょうか」(小倉)“ミュージカル・アクション・コメディー”を旗印とする劇団ゆえ、もちろんただのラブストーリーで終わるはずはない。『世界中がフォーリンラブ』というタイトルも、ウディ・アレンの映画「世界中がアイ・ラヴ・ユー」をもじったもの。「『ゴースト』などの有名な恋愛映画のパロディーも入れるつもりなんですけど、純愛ストーリーにギャグをいっぱい入れたらどうなるか。本当にお客さんがずっと笑っている舞台を作りたいんです。笑うことで脳が揺れて、歌やダンスやアクション、あらゆるもので興奮しているところに最後に感動がくれば、ほかにはない満足感を味わっていただけると思いますし。嫌なことを忘れて、よし明日からも頑張ろうと思っていただけると思うんです」(三宅)「ソーシャル・ディスタンスと言われていますけど、劇場でひとつになって笑って泣いてっていうことが、今こそ必要なときなのかなという気はしますね」(小倉)三宅が開設したYou Tubeチャンネルでも、これまでにSETが起こした爆笑で、劇場がひとつになる様子を振り返ることができる。今回はさらに、笑って元気になるだけではない。万全なコロナ対策の劇場で愛あふれる世界を味わって、きっと幸せな気持ちにもなれるだろう。公演は10月9日(金)~25日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて上演。チケットは現在発売中!取材・文:大内弓子
2020年09月01日新生PARCO劇場のオープニング作品第1弾となる『ピサロ』。このスペインのインカ帝国征服の物語で、宮沢氷魚がインカの王アタワルパとして、スペイン将軍ピサロを演じる主演・渡辺謙と対峙することとなった。アタワルパは、渡辺が1985年の初演で演じて名を上げた役でもある。大きな役割を任せられた注目株の俳優に迫る。【チケット情報はこちら】今年秋、俳優デビューから2年が経ったばかり。しかし、この短い間に3本の舞台に立ち、ドラマでも主要な役に抜擢されている。そのうち、三島由紀夫の4部作を舞台化した『豊饒の海』では東出昌大と共演。ドラマ『偽装不倫』では杏の相手役を担った。「だから、今回初めて渡辺謙さんとお会いしたときには、遠い親戚の方と会ったような不思議な気分でした(笑)」と微笑む。その渡辺がかつて演じたアタワルパに挑むことについても、「謙さんがピサロを演じられると発表されてから、じゃあアタワルパは誰がやるんだろうとみんなが思っていたと思うので、そこに挑戦できるうれしさをすごく感じています」と素直に喜びを見せる。インカで神とも崇められていたアタワルパを演じるにあたっては、「まず王の貫禄が出るようにちょっと身体を大きくして」臨むつもりだ。「ただ、内から出てくるものが大きいから絶対的存在に見えるのだと思うので、自信とか包容力とか、気持ちも作っていかないとアタワルパにはなれないだろうなと思っています」。作っていくうえでは、英国演出家ウィル・タケットとの作業も楽しみのひとつ。「先日ウィルのワークショップがあったんですけど、まずは役者にやらせてくれて、そこからアイデアを広げていくというスタイルだったんです。『豊饒の海』のマックス(・ウェブスター)もそうでしたが、お芝居のなかでいろいろ挑戦できるチャンスをくれるのはやっぱりうれしいことですし。そこで、普段の自分だったらできないようなことを、間違ってもいいという覚悟で思い切ってできるのが、舞台の面白いところだなと思います」「今はまだ目の前の作品に一生懸命立ち向かうことしかできない」とは言うが、その一歩一歩が自信になっていることもうかがえる。ことに今回は「早く初日を迎えたいという気持ちが強い」そうだ。「文化の違う人間が出会ってどう歩み寄りどう反発するのかという、今の時代にも意味のある人間の物語が描かれているすばらしい脚本なので、これが早く世に出てほしいと思うんです」。「最初から最後までどのシーンも好き!」と熱弁する宮沢氷魚の何とも楽しげな表情。期待が募る。チケットは明日11月23日(土)10:00よりチケットぴあにて一般発売開始。取材・文:大内弓子
2019年11月22日新生PARCO劇場のオープニング作品第一弾として上演される『ピサロ』に、渡辺謙が主演する。スペインのインカ帝国征服を描いたこの物語で演じるのは、スペイン将軍ピサロだ。35年前、同じくPARCO劇場で山崎努主演で上演されたとき、渡辺はインカの王アタワルパを演じてその名を世に知らしめている。いわばエポックメイキングとなった作品に、今度は主演としてどう挑むのか。渡辺謙がどう渡辺謙となり渡辺謙であり続けているのかを、ぜひ目の当たりにしたいものである。【チケット情報はこちら】かつて山崎努が演じた役を演じることになった渡辺。「山崎さんのピサロは体感として僕のなかにも鮮明に残っているので怖さはあります。でも、それを超えようとか、違うことをやってやろうというのではなく、今の年齢になった僕が感じるものを、今のお客様に伝えるということを探っていきたい」と真摯に語る。実際、当時の山崎の年齢を超えて今年60歳を迎える今、「ピサロがなぜインカへの過酷な旅を目指したのか、山さんとはまた違う何かが探せるのではないか」という自負もある。アタワルパを演じて1度この作品に携わったことをアドバンテージとは捉えていないところも、誠実に芝居に向かう渡辺らしい。「今度はピサロとして、アタワルパとはまったく違う価値観のなかでつくっていかないと成立しないし、前のことを思い出しながら演じてしまうと、予定調和になって面白くなくなりますから」。今回アタワルパを演じる宮沢氷魚に対して胸を貸すというようなつもりもない。「キャリアの差はありますけど、それはただ長さが違うだけ。大事になのは、ピサロとアタワルパとして向き合ったときにどっちのエネルギーが強いかということですから。勝ち負けではないですけど、やっぱり横綱相撲は取りたくない。エネルギーの量として負けないように頑張りたいと思います」渡辺といえば、『王様と私』で、ブロードウェイ、ウエストエンドの舞台にも立ってきた。「ここ5年、大きな舞台をやらせていただいて思うのは、やはり人間ひとりが発するエネルギーのすごさです。ひとりひとりのエネルギーが集結してそのバイブレーションが伝わると、こんなにも人の心を動かすんだということが、すごく信じられたんですよね。だから、そういう喜びを俳優としてもっと感じたいと思っているんです」。役者にも観客にも、舞台という場所でしか味わえない喜びがある。渡辺謙という役者のエネルギーを存分に浴びることで、その喜びに浴したい。チケットぴあでは11月18日(月)23時59分まで、先着先行受付中。取材・文:大内弓子
2019年11月12日2020年にオープンする新生PARCO劇場。そのオープニング作品第一弾に、渡辺謙主演『ピサロ』が決まった。1985年にもPARCO劇場にて山崎努主演で上演されたこの作品で、山崎扮するスペイン将軍ピサロと対峙するインカの王アタワルパを演じた渡辺。今度はピサロを演じることになる。演出にあたるのは、今年、トム・ストッパードの異色作『良い子はみんなご褒美がもらえる』で好評を得たウィル・タケットだ。伝説の舞台を、今、ふたりでどう立ち上げていくのだろうか。【チケット情報はこちら】スペイン将軍ピサロと167人の兵が、2400万人を従えるインカの王アタワルパを生け捕りにしたインカ帝国征服の物語。それを描くのが舞台『ピサロ』だ。渡辺が今ピサロを演じることに惹かれたのには理由がある。「ピサロは成り上がりと言われながらも功績を残してきた男。それでもインカに赴いたのは、ある程度何かを成し遂げた先に何があるのか、どこを目指せばいいのかということを探し求めたかったからだと思うんです。それは今の年齢になった自分にも重なるところがある。おそらくこの舞台は、カッコよく言っちゃうと(笑)、ピサロが何を見つけるのか、何かを失うことになるのか、幕が開いてからも毎日それを探していく旅になると思います」渡辺のその言葉に、演出のウィル・タケットもこう呼応する。「この作品が興味深いのは、そのピサロの心理的な旅路です。前の戦で7本もの矢に打たれながらも、なぜまたすぐ苦難に挑むのか。インカの王アタワルパに出会って気付かされるものは何なのか。何を最後に見つけるのか。それをこれから稽古場で一緒に探っていきたいと思っています」。その共に探っていく相手である渡辺のことは、世界での活躍ぶりを尊敬を持って見ていたという。「僕は自分の軸を持っている役者が好きで尊敬するんです。そういう方がキャストの中心にいると周りをぐっと引き寄せ、なおかつ、舞台上ではお客様の目も引きつける。見てほしいところにお客様の目線がいくと、その周りで起こっていることも見てくれるようになるので集中力の高い舞台になるんです」さて、ピサロがインカ帝国と出会うとき、何が起こるのか。その出会いを渡辺は、「僕らが今違う国で仕事をするときの異文化との出会いとは比べものにならない荒々しいものがあったと思う」という。世界を舞台にしているタケットと渡辺だからこそ生み出せるダイナミズムが、きっと舞台上に現れるだろう。チケットぴあでは11/6(水)11:00まで二次抽選先行受付中。取材・文:大内弓子
2019年10月30日眞島秀和&岸井ゆきのが夫婦役という新鮮な顔合わせで上演される『月の獣』。第一次世界大戦中に起きたアルメニア人迫害に基づいて描かれ、フランスでは2001年にモリエール賞を受賞した作品だ。演出を担うのは栗山民也。人間の本質や世界が抱える問題を投げかけて、常に観る者を揺さぶり続ける演出家は、今度は何を問いかけるのだろう。【チケット情報はこちら】栗山が『月の獣』を手掛けるのは、2015年の初演に続いて2度目になる。そもそもは、今は亡きパリの親友から紹介されて手にした戯曲で、上演して改めてその魅力を痛感。「演劇はやればやるほど強く美しくなっていくもの。ぜひもう1度やりたいと思っていた」と言う。しかも、迫害によってアメリカへ亡命した男と、彼が写真だけで妻に選んだ同じアルメニア人の少女の話は、世界が移民排除へと動いている今ますます切実にもなっている。「井上ひさしさんの作品もそうだけれども、演劇には、今のために書かれた作品だと思えるものがあるんです」。物語は、それぞれに孤児となったふたりがお互いの過去をどう受け入れつながっていくかが描かれる。栗山曰く、「悲劇の末端の傷ついた民たちが愛を求め再生していく話」だ。が、それはそんなに簡単にはいかない。男は理想の家族の姿を強制し、心に深い闇を抱えたまだ幼い妻はその期待に応えることができないのである。どこかゴツゴツしたその関係を託されたのは眞島と岸井。なかでも栗山にとって『チャイメリカ』で初めて出会った眞島は、この作品の再演を決めた要因となった人物でもある。「日本は誰もがはみ出すのを怖がる社会。そのなかで彼には自分はこうなんだという信念みたいなものを感じた」と話す。「しっかりと自分を持つ俳優が、こういう特異な人物を演じる。そこには多くが好む“共感”はないかもしれないけれども、だからこそ、人間というものが痛烈に突き刺さると思います」。続けて演劇について、栗山はこんな力強い言葉を発する。「きっと僕は演劇で世界を知りたいんだと思います。アルメニアのことは知らないけれども、でも、演劇という共通言語をもってすれば、同じ人間として、そこで何が起こり、どう生活していたのかを知ることができる。また、演劇には命が絶たれた人たちに言葉を与えるという力もあります。人間は忘れっぽいですからね。歴史をちゃんと見つめた作品を、記憶として残していくことが、演劇や小説といった芸術の責任じゃないでしょうか」。取材・文:大内弓子
2019年10月25日歌舞伎俳優・尾上菊之助が新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』に挑む。宮崎駿の全7巻の漫画を原作に、映画版では描かれなかったすべてのストーリーを、昼の部・夜の部通しで上演。あの壮大な物語がどう歌舞伎になるのか。座頭として一座を率いながらナウシカを演じる菊之助の挑戦に、期待が募る。【チケット情報はこちら】宮崎駿が『風の谷のナウシカ』の連載を始めたのが1982年。原作の2巻の途中までを映画化して話題となったのが1984年だった。描かれているのは、戦争によって産業文明が滅んでなお、人間同士が争う世界。主人公の少女ナウシカは、人々が恐れる巨大な蟲や有毒な瘴気を発する腐海と親しみながらその世界に希望を求めていく。「宮崎監督が原作を書かれてから30年以上経ちましたが、このディストピア(反理想郷)のなかで描かれる、環境、エネルギー資源、遺伝子操作、核、戦争といった問題は、変わらず考えていかなければいけない普遍的なテーマだなと改めて思います。歌舞伎もまさしく普遍的なテーマを持つものが古典として残ってきました。また、歌舞伎には『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』など丸1日かけて上演する通し狂言という上演方法があり、この物語のスケールの壮大さはそれに匹敵すると思ったんです」。この作品を歌舞伎にしたいと考えた理由を菊之助はこう語る。確かに、歌舞伎と『風の谷のナウシカ』、意外に遠くないのかもしれない。では、具体的にどのように進めてきたのか。「たとえばナウシカの衣裳に関しては、パッと観た瞬間にナウシカだとわかるように漫画に寄り添っていこうと思っています。漫画そのままではなく、青い色、ブーツ、手袋などのエッセンスを抽出して歌舞伎と上手く融合できればと思っています。それから、王蟲や巨神兵といった大きな生き物たちは、歌舞伎でもキツネや猪などのいろんな生き物が出てきますので、その延長線上の表現方法で考え、登場させようかと考えています。また、映画版に登場した音楽も、古典歌舞伎の黒御簾音楽をベースに、一部和楽器の編成で演奏します」と、菊之助のなかにはすでに構想がある様子。そして何より頼もしいのが、「古典の技法が必ず力になると思っているんです」という言葉だ。「新作歌舞伎を創作するときに助けになるのは、やはり古典の蓄積だと思っています。『風の谷のナウシカ』のあらすじをざっと大づかみして来ていただければ、あとはもう歌舞伎の世界にどっぷり入って楽しんでいただけるはずです」。400年もの間、様々な人間と物語を表現してきた歌舞伎である。『風の谷のナウシカ』の真髄がそこに見えてきても不思議はない。公演は12月6日より新橋演舞場にて。チケットは10月19日(土)より一般発売。取材・文:大内弓子
2019年10月18日井上ひさし没後10年のメモリアルイヤーである今年、最後の書き下ろし戯曲となった『組曲虐殺』が7年ぶりに再々演される。主人公の小林多喜二を三度演じるのは井上芳雄。10年前の初演以来ずっと心にあったと語るほど思い入れのある作品に、今どう向き合い、何を伝えてくれるのだろうか。『組曲虐殺』について、「自分が演劇をやらせてもらう意味があるかもしれないと思わせてくれた特別な作品」と井上は言う。演じたのは、プロレタリア文学の旗手として、貧しい人々が苦しむ世の中を変えたいと活動した小林多喜二。言論統制が激化して命を脅かされるような状況下にありながら信念を貫いた青年である。「初演は、こんなに大きな人物を演じるに値しないと思いながらも、みなさんの力に支えられてただただ一生懸命やらせてもらいました。そして、井上ひさし先生や多喜二に恥ずかしくない人間でいたいと思うようになったんです。だから、理想論かもしれないですけど、世の中が少しでも良くなるような生き方ができたらと思いますし。そういう使命感を基本に持ちながら、作品や役を表現できたらと思っているんですね」。再々演への思いは強い。自身にとっても大切な作品であるうえに、格差や排他感情、全体主義的な動きが激しくなるばかりの今、世界が多喜二の時代に逆戻りしている気がしてならないからだ。「井上先生はきっと今を見越しておられたんだと思いますが、やっぱりもう一度あの時代に戻るわけにはいかないですから。観て何を感じていただくかは自由ですし、演劇にできることは本当に小さいかもしれないんですけど、こういう時代があったんだという事実はちゃんとお伝えしたいなと思っています」。しかも、その事実の伝え方に、楽しい工夫がされているのが井上ひさし作品である。「井上先生が描いている多喜二は周りの人に愛されていて、多喜二も含め、みんな本当に明るく生きているんです。だから、悲劇的な面だけではなく、その力強さも表現するのが務めだろうなと思っています」。そしてその表現には音楽も使われる。「なかでも『信じて走れ』には、希望をつないでいこうという井上先生のメッセージを感じて、歌うたびにすばらしい曲だなと思うんです」。今回の上演では、初演から続投する神野三鈴、山本龍二、高畑淳子に加え、上白石萌音、土屋佑壱の新メンバーも加わる。こうしてまた作品がつながっていくことも喜びのひとつ。「みんなで“今”の『組曲虐殺』を作って、初演を超えたいと思います」。(取材・文:大内弓子)組曲虐殺は10/6(日)~10/27(日)まで天王洲 銀河劇場にて上演後、福岡、大阪、松本、富山、愛知を巡演。
2019年09月06日恒例となった美輪明宏の秋のコンサート。今年は『美輪明宏の世界~愛の話とシャンソンと~』と題して開催される。シャンソンの名曲の数々に、そしておしゃべりに、何を込めるのか。美輪の思いをたっぷり聞いた。【チケット情報はこちら】「私のコンサートに来られたお客様は、よく、“映画を何本も観たような気持ちになる”とおっしゃいます。なかでもシャンソンは、いろんな人生のドラマが歌われていますから、そこから生きることを楽しむ方法を学べたりもするんです。たとえば恋愛に関しても、尽くして尽くして裏切られるという歌が多いのですが、そんな歌を聴けば、失恋してつらい思いをしてらっしゃる方も、きっと歌のヒロインのようにいい女になったつもりで生きていけるでしょうし(笑)、お仲間がいるとホッとして、ひとりでひがんだり妬んだり嫉んだりしなくてすむと思うんです」。そんなふうにシャンソンが描く世界は私たちの人生に励ましや安らぎを与えるのだと、詞の魅力を語る美輪。さらには、そのドラマチックで詩的な詞を乗せるメロディの美しさも格別だと言う。「デジタル化が進んだ今の人工的な音と違って、メロディに色彩があるんです。歌い手たちも豊潤な声で歌っていました。そういった美しい叙情にぜひ触れてほしいんです」。そこには、「芸術こそが今の荒れた世の中を落ち着かせてくれると思うんです」という美輪の強い信念がある。かつてシャンソン歌手として「銀巴里」で歌っていた頃には、文化人が集い芸術を語り合う時間があった。「フランス映画やドイツ映画も人気で、日本映画も小津安二郎監督や成瀬巳喜男監督の叙情的な素敵な作品がたくさんありました。もしかしたら今の若い方には、却ってレトロなものが新しく感じられるかもしれませんし、スマホやゲームから離れてそうした芸術に触れることで豊かな情操が育まれると思います。ですから、シャンソンもそんな芸術のひとつとして復活させたいと思い、今回のコンサートはオールシャンソンでいくことにしたんです」。朝ドラ『花子とアン』や紅白歌合戦で話題になった美輪の訳詞による『愛の讃歌』も歌われる。『バラ色の人生』『枯葉』といった珠玉の名曲は原曲のままフランス語で。曲の合間の語りには、歌にまつわる話はもちろん、少しでも幸せな世の中になるようにという美輪の愛があふれることだろう。美輪明宏が届けてくれるものは、やはり特別である。公演は9月7日 (土)から東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。チケット好評発売中。取材・文:大内弓子
2019年08月09日これが日本初演となる二人芝居に、草刈民代と高嶋政宏が挑む。『死と乙女』『谷間の女たち』などで世界的に知られるチリの劇作家アリエル・ドーフマンによる『プルガトリオ─あなたと私のいる部屋─』がそれである。殺風景な部屋で、男が女を、そして女が男を尋問するなか、やがて衝撃的なふたりの関係があぶり出される。草刈が自ら戯曲を選び、高嶋に声をかけたという渾身の企画。どう立ち上げようとしているのか、草刈と高嶋に聞いた。【チケット情報はこちら】発端は、イギリスのアーツ・カウンシル・ロンドンの総監督を10年、王立演劇アカデミーの校長を15年務めたニコラス・バーターと草刈が出会ったことだった。この2年、彼のワークショップを受けていた草刈が、「演劇のことを知り尽くしているバーター先生と一緒に作れたら、さらに新しいものを引出してくださるかもしれない」と戯曲探しを始めたのだ。そのなかで「成熟した俳優でなければ演ずることができない作品である」こと、「二人芝居なら志しを共有して創っていけるのではないかと思った」ことが、今作の決め手となった。そしてその相手にと思った高嶋とは、映画『舞妓はレディ』で共演。「挑戦的な仕事の取り組み方など、自分の姿勢に近いものを感じた」と草刈は言う。その草刈の誘いを即答で受けた高嶋。「僕は舞台の仕事は事前に調べずに感覚で決めるんですけど、調べてみたら、いやー面白い作品でした。プルガトリオは煉獄という意味ですけど、煉獄のようなところで、下手すると殺し合いになりそうな緊張感のなか、ずっとふたりで向き合って、自分が何をしてきたのか、どう思っているのかということを探っていく。また、人間の醜い部分もさらけ出しているので笑えるんですよ。しかも、周防正行監督が脚色されていますから、セリフが実に自然なんです」。草刈もそこには腐心していると語る。「いわゆる会話の応酬の舞台ですから、日本語のセリフとしても元の戯曲のその魅力がきちんと出せるように、まだここからさらに推敲を重ねていくつもりです」「作品を理解したうえで演劇という形に立ち上げていきたい」と稽古に入る前にワークショップも行う予定で、「そんなふうに丁寧に試行錯誤しながら取り組んだときに、自分がどう広がるかが楽しみなんです」と草刈。俳優自身が信念を持って手作りしていく舞台である。男と女のスリリングな心理劇の迫力は、かつてないほど実感を伴って客席に響くのではないだろうか。取材・文:大内弓子
2019年07月19日「ヨーロッパ企画」第39回公演の全国ツアーが8月よりスタートする。昨年20周年を迎えた人気劇団が、21年目を踏み出すにあたって作り出すのは、『ギョエー!旧校舎の77不思議』と題するオカルトコメディ。作・演出の上田誠と、出演者の中から6名の劇団メンバーが集まって、作品について語った。【チケット情報はこちら】七不思議ならぬ“77不思議”は、実は上田がずっと温めてきた題材。それをいよいよ実現させるのには、「20周年を迎えた前回の公演が集大成的な感じがあったので、今回は、ここからまた面白くなっていきそうだと予感させるようなものをやりたかった」からだと上田は言う。「ギョエー!」という叫び声まで付いたパンチのあるタイトルは、出演する劇団メンバー8名全員の賛同を得た。「みんなも勢いのあるものをやりたいんだなと感じた」そうだ。目指すのは、「ホラー映画やお化け屋敷が怖がらせる装置で出来上がっているのと同じく、77個の不思議が出てくる装置がある舞台」。さらに、「ホラーでありつつ、コメディや学園ものとしての物語性もプラスしたものにしたいなと思っているんです」と言う。怖がらせる側になるのか驚く側になるのか、配役はまだ決まっていないが、上田の構想を聞いて劇団メンバーもそれぞれに声を上げる。「オカルト、ホラーと付いてますが、観てよかったと思ってもらえるものにしたい。あと、不思議を77個も観るという点も、飽きないようにやらなきゃなと思いますね」と語るのは石田剛太。上田の案から「そのゴーストバスターの役をやりたい」と名乗り出たのは酒井善史。発明が特技の酒井のアイデアがまた活かされるかもしれない。角田貴志は「普段俺はビビらないよという空気を全面に出している中川(晴樹)さんのような人を驚かせたい」と早くも乗り気。その驚かし合いのバトルに興味を持ったのは諏訪雅。「驚かせるときのみならず、驚くリアクションを面白くするとか、役者同士のぶつかり合いとして負けたくないですね(笑)」。また角田に名指しされた中川は、「中川さんが吊るされて逆さまに落ちてくるとか」という案が石田から出されたり、「何か変なことをやらされそうで怖い(笑)」とビビっている様がすでにおかしい。そして、「自分自身がすぐ“うわーっ!”って驚くほうなので、劇場がそういう感じになればうれしいです」と言うのは本多力。この日の本多が、宣伝用イラストを提供する楳図かずお風のボーダーTシャツを着ていたのもまさしく「ギョエー!」であるが、ヨーロッパ企画の手にかかれば、諏訪の言う「悲鳴と笑い声が渦巻く」特別な空間が生まれることは間違いない。チケットぴあでは6月15日(土)より先行抽選の受付を実施。取材・文:大内弓子
2019年06月14日アイドルグループ「GANG PARADE」(以下ギャンパレ)を主演に、彼女たちの楽曲でミュージカルを!劇団旗揚げ10周年を迎えた根本宗子が、そんな熱い企画でパルコ・プロデュースの舞台に初登場する。もともとギャンパレのファンで彼女たちを知り尽くした根本はどんな世界を生み出そうとしているのか。次世代の演劇界を担う作・演出家に聞いた。【チケット情報はこちら】「みんなの遊び場 」をキャッチフレーズにし、ファンを「遊び人」と呼んでいるギャンパレ。その精神を魅力に感じた根本は、そこから発想を膨らませて、今回の『プレイハウス』を作ろうとしている。始まりは、「ギャンパレで遊び場を表現しようと思ったときに、こんなにたくさんの人数がいるグループとお芝居が作れる機会もないので、バーレスクっぽいものがやってみたいなと思った」ことだったと語る根本。そこから、近未来の新宿歌舞伎町を舞台にした、“歌舞伎町プレイハウス”にいる10人の謎めいた風俗嬢の物語が立ち上がっていった。そこで描くのは、「普通の作家はここまで書かないだろうというところまで書くのが、自分の芝居の色だと思っている」という根本だから見せられる「それぞれの女の子の切実な思い」だ。しかもそれが、ギャンパレの楽曲のカッコよさを活かしながら歌って踊って描かれる。「私の芝居は基本的に、何を思っているかっていうことを全員がものすごくしゃべるんですけど、歌ったほうが伝わることも大いにあって、音楽は自分の演劇を広げてくれるなと思っているんです」。また、もともとある楽曲を使いながらも、「無理やりストーリーにした感がまったくないように(笑)、かなり考えていますし、そうならないような楽曲をギャンパレは歌っているので。ストーリーと自然につながっていくのをぜひ楽しみにしていただければ」と強調する。ギャンパレが作り出す世界でうごめく人物には、男性主演として、朝ドラ『ひよっこ』で一躍注目を集めた磯村勇斗が登場。磯村を取り囲むギャンパレの姿はまたカッコよさを増すだろう。「彼女たちはパフォーマーとしての意識が高いので一緒に作っていくことが楽しみですし。今回は彼女たちにエモーショナルなものを求めていて、そこは役者が本業じゃない彼女たちだからこそ、技術ではなく熱量で出せるものがあると期待しています」。根本とギャンパレの魅力がふんだんに盛り込まれるミュージカル。面白いことになりそうだ。公演は8月25日(日)から9月1日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演。チケットは現在、チケットぴあにて抽選先行プレリザーブを受付中。取材・文:大内弓子
2019年06月05日最後の全体公演と銘打った『ラスト3~最終伝説~』の上演から2年。ワハハ本舗が再び動き出した。2020年に、新生「ワハハ本舗全体公演」を上演することを決めたのである。そして今年6月、そのプレイベントとして、これまでの全32回の全体公演から選んだ演目を“ベスト版”として披露することに。ワハハ本舗の作・演出家の喰始と、看板女優・久本雅美が語るその見どころには、“ワハハ本舗魂”が詰まっていた。【チケット情報はこちら】「1度終わらせて区切りをつけたかったんです。もう1度やるにしても、終わらせたものを新たに立ち上げるほうがハードルが高くなって僕自身もみんなも奮起するだろうから。そのもう一度がこんなに早くくるとは思わなかったですけどね(笑)」。喰は新たな“ワハハ本舗全体公演”への思いをまずこう語る。そして、「私たちもけしかけてたんですよ。ワハハワールドで暴れることができない寂しさが日に日に募っていたので。だから、2020年にやると聞いたときは、もう号泣でした(笑)」と久本。この前哨戦のイベントについても、「私たちが若い頃にやっていたことを観ていない方も多いと思うので、改めてワハハ本舗を知ってもらえるのがうれしい」と燃える。『ベストオブ全体公演~ショー・マスト・ゴー・オン~』と題して開催されるイベントは、<久本雅美が「観たい」「見せたい」演目たち><柴田理恵が「観たい」「見せたい」演目たち>として、実際に喰、久本、柴田が集まって選び抜いたものから、それぞれ違う内容を見せることになる。久本個人のネタからは、30年以上前の「オカルト二人羽織」に、2011年当時は早すぎた「フレディ・マーキュリー」が登場。「今回はみなさんがご存知だと思うので、またヒゲ生やして胸毛つけて、再チャレンジしますよ(笑)」と思い入れも強い。柴田のネタでは、久本絶賛の「一人ミュージカル忠臣蔵」が披露される予定。副題の通り、まさしくショー・マスト・ゴー・オンで続いていくワハハ本舗。その魅力は、「結成当初から、60歳になってもケツ出していたいよねと言ってたので、いよいよ念願が叶います」という久本の言葉に表れている。公演は6月11日(火)から16日(日)まで、東京・シアターサンモールにて。取材・文:大内弓子
2019年04月24日4月2日(火)に開幕を控えた美輪明宏の『毛皮のマリー』。寺山修司が美輪のために書き、美輪自身が演出、美術、主演を務めてきた作品だ。美輪がこの舞台に込めるものは何なのか。そして、今なおこの舞台が求められるのはなぜなのか。熱い稽古のあと、美輪が語った。【チケット情報はこちら】稽古も大詰めを迎えたこの日、まさにクライマックスのシーンが繰り広げられていた。男娼として生きる毛皮のマリー(美輪)とその息子・欣也(藤堂日向)の奇妙で哀しい因果関係が、長い長い台詞で、マリーの口から語られる。「長台詞にはやはり、大変なエネルギーと技術が必要で、音程、速度、強弱、リズムといったものを、言葉で表現しなければならないんです」と自身でも語るように、表現者としての凄みを、このシーンだけでも改めて感じさせてくれる美輪。その力に魅了されたからこそ、寺山修司も自身の思いのすべてを、美輪に仮託したに違いない。寺山が『毛皮のマリー』で描いたのは、自身の母子関係にも重なる、母の“無償の愛”である。「『愛の讃歌』でも歌われているように、愛とは与えっぱなしで見返りなど要求しないものなんです。それを『毛皮のマリー』では、いろんな人間を出して、母子ばかりか、男同士でも、無償の愛は尊いものだということを描いているのだと思います」。“醜女のマリー”と呼ばれるマリーの下男(麿赤兒)、美少女・紋白(深沢敦)をはじめ、見世物小屋かのように様々な人間が登場するのも、「そこには、“見世物の復権”というテーマを掲げていた寺山のメッセージがあるんです」と美輪は言う。「どんな人間であっても、下手物扱いしたり蔑視したり差別したりするのは間違っているということです。さらに、人前で話してはいけないとされている性的なことも、本来は命のもとなんだから、下品でいやらしい言葉だとするのはおかしいということを寺山は言っていました。ですから、この作品の魅力は、反社会的で背徳的とされていることを美しく描くところにあると思うんです。そして、そんな芸術性あふれる作品が少なくなりつつある今こそ、寺山修司という天才が作り出した作品が必要だと思っています」。そんな美輪の思いを受け止めてか、欣也役の藤堂、マドロス役の三宅克幸といったオーディションに合格して初参加している面々も、真摯な演技が光る。「芸術は人の心のお薬のようなものです」と言う美輪。今という時代に危機感を抱きながら懸命に、愛と美しさを伝えてくれる。公演は、4月2日(火)から東京・新国立劇場 中劇場にて上演後、福岡、愛知、大阪を巡演予定。チケット好評発売中。取材・文:大内弓子
2019年03月27日性転換手術を受けたものの股間に“アングリーインチ(怒りのインチ)”が残ってしまった、男でもあり女でもあり同時にそのどちらでもないロックシンガー・ヘドウィグが、愛を求め叫ぶ『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。日本でも何度も上演されてきた人気のブロードウェイミュージカルが、浦井健治と女王蜂のボーカル・アヴちゃんによって届けられる。演出も福山桜子の手で新しくなる今回。今度はどんな熱狂を生み出すことになるのか。ふたりが意欲を語った。【チケット情報はこちら】日本では7年ぶりとなる公演で、これまで、三上博史、山本耕史、森山未來が演じてきたヘドウィグを担う浦井健治。「去年の『メタルマクベス』では黒だった爪が今度は赤くなるんです。“浦井、どこへ行こうとしてる!?”と思われるかもしれませんが(笑)、この孤高な役を演じられること、そして、人生を素敵なものにするためのバイブルのような作品に出演できることを、本当に光栄に思っています」と出演の喜びを語る。一方、自分を裏切ってトップスターに上り詰めた男のコンサートを追うように巡業しているヘドウィグのバンドメンバーであり、彼に寄り添うイツァークを演じるアヴちゃん。単独でのミュージカル出演はこれが初となる。「普段はもう命を燃やすように歌っているんですけど、この『ヘドウィグ』はそこまでやっていいもののひとつのような気がしています。浦井さんのヘドウィグに私が加わることで、鬼に金棒ならぬ、“王子にチェーンソー”くらいの(笑)、力になれたらなと思っています」浦井にとってもアヴちゃんの存在は心強いようで、「ヘドウィグの内面を浮き彫りにしてくれるのが、本当のヘドウィグのように切れ味のあるアヴちゃんっていうのが、今回のいちばんの武器」と言い切る。アヴちゃんもまた「ギャルパワーでやってきた自分が演じるからには(笑)、若い子たちにどんどん来てもらって、今の時代に私たちが演じる意味を感じてほしい」と意気込んだ。それに対して「アヴちゃんのパワーが、ミュージカルというカテゴリーも何もかも突破してくれると思うので、一緒に、作品の持つ力そのままを皆さまに届けられたらと思います」と応える浦井。作品の楽曲について、「全然武装してなくてセンシティブだから刺さる」とアヴちゃんは評したが、だからこそ、ふたりもまた剥き身になるしかないのだろう。その心の叫びは、まさしく“刺さる”ものになるはずだ。8月31日(土)から始まるEX THEATER ROPPONGIでの東京公演を皮切りに、福岡、名古屋、大阪と各地をめぐり、9月26日(木)からは東京に戻り、Zepp Tokyoにて公演を行う。チケットは各地ともに現在、チケットぴあにて抽選先行プレリザーブを実施中。3月18日(月)午前11時まで。取材・文:大内弓子
2019年03月15日音楽とダンスとアクティングが融合した、まさに最新&最強のパフォーマンス『ポリティカル・マザーザ・コレオグラファーズ・カット』が上演される。それも、総勢48名の来日海外カンパニーに、上田竜也(KAT-TUN)、ドラムの中村達也、そして、ベースのTOKIEという3名の日本人キャストが参加するスペシャルな公演だ。世界で絶賛される作品に挑む思いを、TOKIEが語った。【チケット情報はこちら】自身でもバンドを持ちながら、数多くのアーティストのレコーディングやライブにも参加して、華やかかつ確かな演奏を見せているベーシストTOKIE。数多くの経験を持つ彼女をもってしても、この作品への参加は、これまでにない胸の高鳴りを覚えるものであるようだ。「今はまだ想像でしかないんですけども、これは今までに体験したことのないものになるのではないかと思っています。もちろん普段のライブでも、アーティストやバンドによって演奏は変わっていきますが、それ以上に、自分が感じたものを音に出すということを求められるんじゃないかなと思うんです」。というのも、この作品の音楽は、ダンスのバックに流れるといった補佐的なものではなく、音楽そのものも重要なパフォーマンスとなるからだ。「映像資料をいただいて初めて観たときには、演奏とパフォーマンスがひとつの大きなかたまりになって迫ってきて、そのエネルギーに圧倒されました。これを自分がやるんだと思うと、本当に興奮しましたね」2016年トニー賞最優秀振付賞にもノミネートされた舞踊家ホフェッシュ・シェクターが率いるこのカンパニー。2010年の初演版からさらにダンサー、ミュージシャンの数を増やし、演出もパワーアップして世界各国で現地アーティストとコラボしながら上演を続けているが、主人公を開催国の人間が務めるのは日本が初めて。その主人公に抜擢された上田について、仕事の場をともにしたことのあるTOKIEは、「エネルギーのあるこの作品にハマるなと直感しましたし、KAT-TUNでは見られない上田さんがきっと見られると思います」。自身も「悔いが残らないようエネルギーを出して、来日するカンパニーに、日本にもこんな人たちがいるんだって思ってもらえる刺激を与えられるよう頑張りたいなと思っています」と意欲を見せ、「こんな異色のコラボレーションが見られる舞台はなかなかないので、ぜひたくさんの方に見ていただきたい」と強調する。音と人間が作り出すめくるめくエンターテインメントには、様々な刺激があるそうだ。公演は4月6日(土)から11日(木)まで、東京・オーチャードホールにて。取材・文:大内弓子
2019年03月13日堤真一とA.B.C-Zの橋本良亮の初タッグによって上演される『良い子はみんなご褒美がもらえる』。映画『恋に落ちたシェイクスピア』、舞台『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』などで、日本でも人気の高い英国劇作家トム・ストッパードの戯曲だ。演出を手がけるのは、英国オリヴィエ賞を受賞しているウィル・タケット。「今はこの作品を上演するのにパーフェクトなとき」と明言するタケットは、何を伝えるのだろう。【チケット情報はこちら】この作品の舞台となるのは、ある独裁国家の精神病院。誹謗罪で捕まったアレクサンドル(堤)と、自分はオーケストラを連れているという妄想に囚われたイワノフ(橋本)が、病棟の一室に閉じ込められている。少しでもはみ出すことを許さない社会というその設定を、タケットはこう理解する。「1970年代に書かれた当時は社会主義国が想定されていたと思うんですが、今ではこれは、世界共通の問題になりました。SNSをはじめとするオンラインメディアが成長したことで、社会から監視され、自由に見えるなかで思想の自由はより抑圧されています。また、フェイクニュースの横行もあって、何が真実か、何が信用できるのかわからない。イワノフの妄想のオーケストラはまさにその象徴。今こそ、この作品とリンクする時代だと思うんです」とはいえ、ただテーマをシリアスに届ける作品ではないとタケットは断言する。そのひとつがアンドレ・プレヴィンの音楽の力だ。それも、実際に舞台上にいるオーケストラが劇中に登場してくるのである。「この作品でオーケストラが表現する音楽は、それぞれの役の精神状態につながっているんです。コンサートで演奏されるのとは違う音楽のエネルギーがそこにあって、それが、作品を理解する手がかりになってくれると思っています」。さらに、ストッパードの戯曲で大切なのは、「ユーモアのセンスがあるところ」だと言う。「登場人物たちがけっこう失礼なことを言い合ったり、楽しい表現を通して大事なことを伝えてくれる。とても生き生きした作品だと思います」。それを演じる堤と橋本については、「キャリアのある方とフレッシュな方、まったく違うエネルギーを持ったおふたりだからこそ面白くなると思う」と期待を寄せる。「きっと若いお客様も多いでしょう。ここに書かれていることをどう見てくれるのか楽しみでなりません。この作品を演出できる機会を与えてもらえて本当にラッキーです」とタケット。今この世界はどうなっているのか。日常を離れたところでじっくり感じ取れるのも演劇の醍醐味である。チケットは明日2月9日(土)10時より一般発売開始。ぴあでは、特別サイトにて受付。取材・文:大内弓子
2019年02月08日舞台出演が続く堤真一が次に臨むのは、英国劇作家トム・ストッパードの『良い子はみんなご褒美がもらえる』。戯曲を読んで、「観る側がいろいろ考えられる面白い作品になるのでは」と引き受けたそうだ。堤の心を動かしたその作品への思いを聞いてみた。【チケット情報はこちら】タイトルの原題である『Every Good Boy Deserves Favour』は、五線譜を覚えるための英語の語呂合わせ。語呂で覚えれば問題ない。良い子でいればご褒美がもらえる。二重の意味で、何かに従っていれば大丈夫だというメッセージを込めたタイトルなのである。「もちろんそれは皮肉です。みんな良い子にしてたら牢屋に入れられませんよ、そして、牢屋に入れられても出してもらえますよ、というお話ですから」と堤。物語の舞台となるのは、とある独裁国家の精神病院だ。堤が演じる誹謗罪で捕まった政治犯アレクサンドルは、自分はオーケストラを連れているという妄想に囚われた精神病患者イワノフ(橋本良亮)とともに、病院の一室に監禁されている。そこで描かれるアレクサンドルを堤はこう感じた。「“自分が間違ってました。すみません”と言えば出してもらえるのに、ハンストをして抵抗する。僕だったら普通に謝ってしまいそうですけど(笑)、そこまでするというのは単に意志が強いだけではなく、それだけ政治への怒りを持っている、人間の尊厳が脅かされていることに怒っていると思うんです」。しかも決して他人事ではないと付け加える。「今は日本でも政治批判とか自由な発言を封じられる傾向があります。今は本当に自由なのか?自由っていったい何なのかということをすごく考えさせられる作品になると思うんです」役者としての初挑戦もある。それは、35人のオーケストラと一緒に舞台に立つこと。「今回はオーケストラの演奏が物語のうえで大きな役割を持っているんです。僕は歌えなくてミュージカルはあり得ないので(笑)、こういう機会は2度とないだろうなと思うのですが、音楽の力に負けないように存在しなければいけないなと思っています」。この音楽の演出といい、ストッパード作品は、楽しく観ているうちに何かを考えさせられていくものが多い。「立ち止まって自分自身を振り返ることはとても大事で、演劇にはそういう力があると信じているから僕はやっているんだと思うんです。ゲラゲラ笑って終わる作品も大好きですけど。こういう作品で、自分が置かれている環境や自分自身を見つめる時間を、ぜひ持っていただけたらと思います」。堤のアレクサンドルが投げかけるもの、しっかり受け止めたい。チケットぴあでは明後日2月3日(日)より先着先行受付を特別サイトにて実施。取材・文:大内弓子
2019年02月01日市村正親と草笛光子の顔合わせで、『ドライビング・ミス・デイジー』が上演される。映画版がアカデミー賞最優秀作品賞をはじめ数々の賞に輝いた作品への挑戦である。共演は1993年の『ラ・カージュ・オ・フォール』以来25年ぶりとなる名優ふたり。不朽の名作を深く豊かに作り上げてくれそうだ。【チケット情報はこちら】1948年から25年間が描かれる物語の舞台となるのは、まだ人種差別意識が残るアメリカはアトランタ。夫を亡くしている72歳のユダヤ人・デイジー(草笛)が、運転していた車で事故を起こし、心配した息子が黒人の運転手・ホーク(市村)を送り込んできたことからストーリーは動き出す。独立心が強く黒人嫌いでホークを拒絶するデイジー。それでも辛抱強くデイジーのもとに通うホーク。そんなふたりが徐々に心を通わせ、ついにはかけがえのない友人となっていく姿が描かれる。上演のきっかけを作ったのは、演出を手がける森新太郎だ。「ミュージカルとかシェイクスピアではなく、違う市村を見たいと森さんが持ってきたのが、この作品だったんです」と市村。そこでデイジー役に浮かんだのが草笛だった。「市村さんから電話があったんです。“こういう話があるんだけどやらない?”って森さんから言われたと。実は前からいつかやりたいと思っていた作品だったこともあって、その場ですぐにやりたいと返事しました。それに、最初の勘として、市村さんとなら面白い関係になるなと思ったの」と草笛は言う。ただ、面白くなりそうだからこそ、草笛には心配なこともあるようだ。「台本を読んだらふたりのやりとりがあまりにも面白くて、しかも相手が市村さんだから、漫才になってしまったらどうしようと思ってるんです(笑)。謹厳なデイジーとして常に凛としていなきゃいけないのに」。それに応えて市村は、「大丈夫。森さんが漫才にはしないだろうし、僕は草笛さんのデイジーの台詞を聞いて、デイジーの生き方を見て、それに反応していくだけですから」ときっぱり。草笛も、「喜劇的な面白さもありつつ、深いものを腹に入れて演じないとこの作品の良さは出ないですものね。最後には人の心をズンと打たなきゃいけない」と引き締まる。年齢とキャリアを重ねてきたふたりだから表現できる人間ドラマとなるはずだ。「草笛さんとこの作品ができることが幸せ。長く俳優をやってきてよかったなと思います」と最後に語った市村。この巡り合わせに立ち会えるのは、なんと幸せなことだろう。公演は6月22日(土)から7月15日(祝・月)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。その後、7月17、18日に宮城・電力ホール、7月23日に愛知・日本特殊陶業市民会館を巡演する。ぴあでは2月1日から11日まで東京公演の抽選先行エントリーを受付中。取材・文:大内弓子
2019年01月30日今を生きる女性なら、いや、女性に限らず生きづらさを感じているなら、心に刺さるに違いない舞台が再演される。脚本は、この『母と惑星について、および自転する女たちの記録』で第20回鶴屋南北戯曲賞を受賞した蓬莱竜太。母と三姉妹の物語に込めた思いを聞いた。【チケット情報はこちら】物語の芽となったのは、脳裏に浮かんだ「三姉妹が異国で放浪している絵」だったそうだ。「じゃあ、なぜ彼女たちはさまよっているのか。きっと母親の遺骨を撒く場所を探すためで、だとするなら、大好きだった母ではなく、大嫌いな母なのではないか。そのほうが面白いと思ったんです」と蓬莱は言う。そうして生まれたのが、父親を知らず、母親らしい愛情を受けることなく育った三姉妹とその母の物語だ。毒母たる母親のもとで育った三姉妹には、“母”というものへの無意識の恐れがあり、女性としての人生に様々な迷いを抱いている。2016年の初演の舞台には、その切実さが生々しく、けれど美しく浮かび上がった。「栗山(民也)さんの演出によって、瞬間瞬間が美しく切り取られ、この戯曲をよりすばらしい世界へ押し上げてくれたなと思います」。再演では、三女に芳根京子、母にキムラ緑子の新キャストを迎え、次女の鈴木杏、長女の田畑智子が引き続き出演。「キャストが変わればまったく違う芝居になる」と蓬莱も期待する。それにしても、蓬莱はなぜ母と娘を書いたのか。「今の日本では、女性はいろんなものと戦っていて、戦わなきゃいけない量が男性より多い気がするんです。どう生きることが幸せなのかと、ファッションから結婚や出産まで、あらゆることが常に世の中から定義づけられていて。なかでも、子どもを産んで母になるということについては、産まないという選択を含め、女性が抱える大きなテーマだなというふうに感じるんですね。だから、今この日本で戦っている女性をそのまま舞台に乗せたいと思ったんです。タフさとユーモアを忘れずに戦っている女性たちへのリスペクトを込めて」もちろん、女性たちの苦しみを描いたからといって世の中がすぐに変わるわけではない。しかし、蓬莱は言う。「舞台上の彼女たちが前へ進もうとしている姿を体感して感動するだけで、きっと力になるんじゃないかなと思うんです。フィクションというのは作家が祈りを込められることが強み。そこにどんな祈りを込めるのか、そこにこそ僕が書く意味があると思っています」3月5日(火)に東京・紀伊國屋ホールで開幕したあと、高知、北九州、京都、豊橋、長崎と各地をめぐる。東京、高知、長崎公演はチケット発売中。北九州、豊橋公演は1月19日(土)午前10時、京都公演は1月27日(日)午前10時より一般発売開始。取材・文:大内弓子
2019年01月18日デヴィッド・ルヴォー演出、草彅剛主演の舞台『道』が12月8日に幕を開けた。フェデリコ・フェリーニ映画の代表作の日本初の舞台化は、“道”を旅しながら生きる意味を見つけようとする人間の物語を、どこか幻想的でもある劇空間のなかで力強く見せつけた。主演の草彅が演じるのは、大道芸人のザンパノ。鎖を引きちぎる芸を見せる力の男である。そんな彼に貧困の家族を助けるために買われて、助手としてともに旅をしているのが、蒔田彩珠扮するジェルソミーナだ。そして、粗暴なザンパノから逃げ出したいと思い悩む彼女の前に、ザンパノとは犬猿の仲で、綱渡りの芸を持つイル・マットが現れる。演じるのは海宝直人である。物語は、ザンパノとイル・マット対立の狭間で、ジェルソミーナが自分の進むべき道に葛藤することから大きく展開していく。このままザンパノのもとにいるのか、イル・マットのように飛ぶのか。演出のルヴォーはこのふたりの男の対比をクリアに見せ、また、草彅と海宝も見事にそれに応えている。筋肉をつけ低い声で乱暴なセリフを発する草彅。飄々と軽やかに動き明るいセリフを繰り出す海宝。ジェルソミーナの前にくっきりとふたつの道が浮かび上がる。ザンパノ、ジェルソミーナ、イル・マットの3人を取り囲むのはサーカスの芸人たち。舞台上もサーカス小屋を模し、実際に観客を上げている。そのサーカス芸人たちはほかの様々な人物を演じ、ときにはコロスの役割も担い、多様で多重な世界観を見せていく。なかでも、ドラキュラ伯爵のような出で立ちでストーリーテラーとして観客を作品世界に引き込んでいく佐藤流司のクールさは印象的だ。3人の人生を突き放して見るかのような目線がそこにある。事実、3人は悲劇へと向かっていく。望むほうには進まないそれぞれの人生。この物語が描く人生の残酷さを草彅は早い段階から直感的に感じ取っていたのだとルヴォーは語る。初日開幕直前の囲み取材では、「彼はいい演出家にもなれるんじゃないかと思います」とも。草彅のザンパノは、粗暴さの裏には弱さがあること、純粋すぎるがゆえに残酷になってしまうことを伝えてくれる。そして、人間とはそんな哀しい存在なんだと言うように響かせた慟哭。忘れられない。公演は12月28日(金)まで、東京・日生劇場にて。取材・文:大内弓子
2018年12月14日NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロインをはじめ、活躍目覚ましい芳根京子が舞台に挑戦する。演目は、2016年に上演された『母と惑星について、および自転する女たちの記録』。脚本を手がけた蓬莱竜太が第20回鶴屋南北戯曲賞を受賞した珠玉作の待望の再演である。そこに新キャストとして加わる芳根。作品にまた新たな魅力を与えそうだ。【チケット情報はこちら】この舞台の登場人物は母と3姉妹の4人のみ。長女役の田畑智子、次女役の鈴木杏が初演から続投し、母親役のキムラ緑子、三女のシオ役の芳根が、新キャストとして出演することになる。芳根はまず、この少人数編成に心惹かれたのだという。「出演者が4人しかいないというのは、ちゃんと舞台を経験するにはすごくいい機会だなと思ったんです。演出の栗山(民也)さんにもきっとたくさんご指導いただけるのではないかなと思いますし。みなさんと一緒にひとつの作品を作る喜びもより感じられるのではないかなと思うんです」。芳根にとって舞台は、2015年の『幕が上がる』に続いて実はこれが2度目。高校演劇部を舞台にした前作は、映画からスタートしたこともあり、同年代の出演者たちと楽しく過ごしたという記憶が大きいらしい。「だけど、舞台を経験されている先輩方の話を聞くと、舞台ってもっと悩んでもがいて作り上げていくものじゃないかという気がして。楽しいだけじゃいけないんじゃないかと勝手に思い込んでしまっているところがあるんです。だから今回は、ちゃんと壁を乗り越えてやるぞと思っています(笑)」実際、壁は大きそうだ。「まずセリフ量がすごいんです。台本をいただいて蛍光ペンを引いてみたら、インクがなくなっちゃったほどでした(笑)。しかも、長崎弁なので大変だろうなと思います。でも、それだけセリフをいただけるのは幸せなこと。しっかりやっていきたいと思っています」。また、演じるのは、“母”というものに恐怖を懐き、ある大きな選択を迫られているという複雑な役どころ。「私自身も苦しむだろうなと思います。でも、その分いろんな景色が見えるだろうなと思うので、しっかり苦しみたいと思いますし。自分から出てくる感情を1回1回大切にしたいなと思います。1度完成した作品をやるのはプレッシャーがありますが、もう1度やる意味を感じていただけるように、みなさんが引き込まれるお芝居ができたらなと思っています」。映像でも瑞々しい演技を見せる芳根だ。ナマの舞台にさらに期待したい。公演は2019年3月5日(火)から26日(火)まで東京・紀伊國屋ホールにて。チケットは12月8日(土)より一般発売開始。取材・文:大内弓子
2018年10月19日ギリシャ悲劇の傑作『オイディプス王』が、この冬、『オイディプスREXXX』(オイディプスレックス)のタイトルで新たに立ち上がる。タイトルロールのオイディプスを演じるのは、歌舞伎俳優・四代目中村橋之助。オイディプスの妻であり実は母でもあったというイオカステには南果歩が扮する。歌舞伎以外の演劇に初挑戦する橋之助と、実力派の南のタッグ。何が待ち受けるのだろうか。2016年の親子同時襲名が話題となった橋之助。「父(中村芝翫)に守られてお芝居ができるという恵まれた環境にいるなかで、自分で勉強できる場所にも立ってみたいという思い強くなっていた」ところに今回の話があったという。その念願が叶ったのが、古典という枠組みでは歌舞伎と近しいギリシャ劇である。しかし、ことはそう単純ではない。これまでにない試みが、そこには待っているのだ。ひとつは、演出が杉原邦生であること。自身の劇団のみならず、歌舞伎を独自の視点で描く木ノ下歌舞伎でも注目される気鋭の演出家だ。南果歩が言う。「今年上演された『勧進帳』を拝見しましたが、本当に驚きました。作品の解釈の仕方、ビートの刻み方、あらゆるものが新鮮で。ギリシャ劇というと重いイメージがあると思いますが、人間の感情が放出される生き生きとしたものになるんじゃないかと思うんです」。橋之助から見ても、杉原は刺激的な存在であるようだ。「これまで何百回と見てきた『勧進帳』なのに、見過ごしてきたものを気づかされたような感覚がありました。そういう意味では、『オイディプス王』も、古典をただ新しく変えるだけではない何かがあるんじゃないかと楽しみなんです」。さらに、古代ギリシャ悲劇の上演スタイルにならい、今回は、橋之助、南、そしてもうひとりのメインキャストの宮崎吐夢の3人で、物語の主な登場人物を演じ分けることになる。タイトルの“XXX”には3人のキャストと劇中に象徴的に登場する3つの道を表している。「歌舞伎では同じ作品でも違う役を演じる機会があり、この役から見たらこの役はこう見えるんだなと気づくことがよくあります。今回はお客様にもそんな役の見え方の違いみたいなものを感じてもらえるように演じられたら」と橋之助。南も「舞台は性別も時間もすべて飛び越えられる自由な場所。その楽しさをぜひ味わっていただきたいですね」と付け加える。オイディプスとイオカステがなぜ悲劇的な運命を辿ることになったのか。新たな演出で真に迫る物語が紡がれそうである。公演は12月12日(水)から24日(月)まで、KAAT神奈川芸術劇場にて。取材・文:大内弓子
2018年08月23日毎年恒例となった美輪明宏の秋のコンサート。今年は『美輪明宏の世界~愛の大売り出し2018~』として開かれる。タイトルに込めたのは、とげとげとした今の世の中を愛で癒やしたいという思い。いつも以上に、会場には愛があふれそうだ。【チケット情報はコチラ】美輪のコンサートといえば、日本の抒情歌やオリジナル曲、シャンソンを歌うのがおなじみとなっているが、今年美輪が歌うのは、その多くがシャンソンになるという。「今や本場フランスでも、シャンソンの名曲、名歌手を知らない人がいる時代です。このまま埋もれていってしまうのは非常にもったいないと思うんです」。長年シャンソンを歌い続け、フランスやスペイン、ドイツにも招待されてコンサートを行ってきた美輪だからこその思いだ。また、シャンソンの魅力として、多種多様な形式を持ち、そこに必ずドラマがあることを挙げる。「たとえば、私がよく歌っている『人生は過ぎ行く』というのは、男に捨てられ最後に窓から飛び降りる女の歌ですが、ジャン・コクトーの一幕もののドラマのようなんです」なかでも今回美輪が作り上げたいのは、愛のあふれるロマンチックな世界観だ。「デジタル社会の今、子どもたちを含め、ナマの人間のため息、瞬き、肌触りといった、いわゆるアナログ的なものを、どこか生理的に憧れ求めているのではないかと思うんです。ところが、どうすればいいのかわからないから、みんなイライラしています。それを癒やすのに大きな力を発揮するのは、やはり芸術だと思います。人間がなぜ芸術を大事に育んできたかというと、それが精神を豊かにしてくれたからです。いわば、精神を正常に保つための自己防衛として、芸術を必要としてきたんです。だから歌い手や絵描きは、自分の持っている才能を活かして、みなさんに愛を与えて与えて与えていくことが使命だと思います」今年のサブタイトルは、『愛の讃歌』や『ヨイトマケの唄』といった数々の名曲にまつわるエピソードや思いを綴った最新刊『愛の大売り出し』にちなんでつけられた。歌の合間のおしゃべりも毎回のお楽しみだが、きっとそこでも美輪の愛を受け取ることができるだろう。取材のなかでもこんな言葉が飛び出した。「私はいつも、人生すべて腹六分と申し上げてますけど、ケチり過ぎては摩擦が起こります。感謝やねぎらいの言葉は気前よくおっしゃってください(笑)」。愛の歌と言葉に包まれたなら、自分自身も少しやさしくなれるかもしれない。公演は東京・東京芸術劇場プレイハウスにて9月16日(日)より。その後、全国を巡演。取材・文:大内弓子
2018年07月31日何の接点もない男女3人が、窓もなく扉も開かない密室に集められた……。そんな設定から始まる舞台『出口なし』に、大竹しのぶ、段田安則とともに、多部未華子が出演する。屈指の実力派を相手にしながら、このスリリングな状況にどう立ち向かっていくのか。【チケット情報はこちら】『出口なし』の作者は、“実存主義”で知られる哲学者ジャン=ポール・サルトル。劇作家・小説家の顔も持つ彼の代表作がこの作品である。だが、哲学者が書いたという先入観は無用。多部もその中身の印象を、「難しいことが書かれているのかなと思って読み始めたのですが、想像していたほどでもなく(笑)、会話劇だったので、どのように会話を交わしていけるんだろうと演じるのが楽しみになりました」と語る。しかも、その会話を交わすのが3人だけという世界。「ちょうど少人数でやる濃密な作品を演じてみたいと思っていたところでもあった」そうだ。ただ、そこで繰り広げられる会話の内容は、ちょっとコワイ。初対面の人間同士が自分の素性や過去を語り出すなかで、やがて、互いに挑発したり傷つけたりする言葉をぶつけ合うようになっていくのだ。「“この人たちには別にどう思われてもいい”と思うから言えるような、普段は口にできない言葉が並んでいるんです。でも、だからこそそれを言えるのは楽しいでしょうし(笑)。舞台では、映像では求められないような役をさせていただけることがうれしいんです」。まだまだほかにも楽しみにしていることがある。まずは大竹&段田との共演。大竹とは2度目の共演になるが、「この稽古場ではどのように過ごされるのか、どのように演出家さんとコミュニケーションを取って、どうお芝居を作っていかれるのか。もう、全部が楽しみで仕方ありません」。そして、演出を手がけるのが初めてのタッグとなる小川絵梨子であることも、多部がこの舞台に大いに惹かれたところ。「“小川さんとやってみたら面白いよ”と言われることが多かったので、気になっていた方だったんです。それに、女性の演出家さんとやってみたいという興味もずっとあったので、どのような演出をされるのか、何より楽しみなんです」。多部からあふれるワクワク感。それがどんな形になって届けられるのか、心待ちにしたい。公演は8月25日(土)から9月24日(月・祝)の新国立劇場 小劇場での東京公演のあと、27日(木)から30日(日)にサンケイホールブリーゼにて大阪公演を上演する。チケットは発売中。取材・文:大内弓子
2018年07月27日