“選ぶ”“選ばれない”という行為の残酷さと人間臭さを描きたいと思いました」
オリンピックの正式種目から落選した選手が、周囲の大人たちによって“悪”に仕立て上げられていく様を、キャラクターの魅力で見せていきたいと松居。「ゴジゲンの旗揚げも、選ばれないゆえの選択」だったと語っているように、このテーマは彼自身の想いにもつながっているようだ。「当時は、選ばれないからやりたいことができずに悩んだりしましたね。それで、誰かの基準で選ばれるのを待ち続けるより、自分で劇団を作ればいいと。“選ばれなかった”という経験をすると、人は自己肯定しづらくなったりしますよね。でも、そんなことに傷つく必要ない。どんな状態でもこの世界で生きていていい。観た人が“自分の生き方を自分で選択する”と決意できるような劇にしたいですね。
舞台は、回数を重ねほど整えられていくものですが、まずは福岡で、いびつかもしれませんが、1番描きたい純粋な舞台の原型をお見せできれば」
毎回観る者を、嬉しくて、寂しくて、おかしくて、悲しくて、愛しい…といった、いろんな感情がない交ぜになった“言語化できない感情世界”に、猛スピードで誘ってくれるゴジゲン。