“例の荘園”での出来事をふたつの側面から『Identity V』
劇中で繰り広げられる“ゲーム”は劇場全体を使うため、客席でゲーム内にいるようなスリルを味わうことができるのも魅力だ。
今回は「ハンター編」ということで、ジョセフの「なぜこんなこと(ゲーム)を繰り返すのか」という苦悩を中心に描かれているが、サバイバー含め登場人物のそれぞれのキャラクターが丁寧に掘り下げられているため、小さなやりとりからもそれぞれの感情が届いてくる。ストーリーはシリアスだが、原作にある小ネタやアドリブ、客席とのコミュニケーションなどは楽しく、約2時間40分の上演時間もあっという間だ。
迫力満点な殺陣や歌唱、ダンスなども盛り込まれ、舞台ならではのライブ感も楽しめる作品。この日、カーテンコールで五十嵐は「皆さん、ワクワクしながら待っていてくれたと思います。舞台を楽しんでいただけるように、がんばっていきたいと思います」、平井は「今回はハンターの日常がメインでしたが、その裏にはサバイバーの日常があります。両方観ると“ここが交わるんだ”と新たな発見ができる作品です」とそれぞれ話した。
「ハンター編」を観ると「サバイバー編」も観たくなる本作。
チケットは完売だがBlu-rayディスクの発売も決定しているのでぜひ映像で体感してほしい。
取材・文:中川實穗