「描くのは暮らし」マキノノゾミ22年ぶり演出『東京原子核クラブ』
そこについてマキノは「でも、平和館に住んでいたのがたまたまそういう人だっただけで、そのことを描きたいわけじゃないんです。描くのは、ここで生きている人たちの暮らしです。それを奪ったなにか大きなもの、そして止められなかった大きな悲劇はあるけど、この人たちは日常を誠実に生きただけ。そういうものを描きたかった」と語る。
一方、霧矢が演じる「平和館」の住人・富佐子は謎に満ちた女性。霧矢は「すごく個性的で独特。初演はキムラ緑子さんが演じられた役と伺い、台本を読みながら、きっと出てくる度に強い存在感を放たれていたんだろうなと想像しました。レビューガールということで、私も歴史あるレヴュー劇団出身ですから、自分の経験を活かせるかなと思いつつ、でももっと胡散臭い雰囲気を出していくような役だと思うので、マキノさんとも相談して富佐子像をつくっていきたいです」と意気込む。
マキノは「僕も富佐子は何を考えているかわからない(笑)」と笑いつつ「でもこういう人に救われる。僕用語で言えばこの作品の“エンジェル”なんです」と霧矢に期待を寄せる。
水田が「マキノさんの現場はずっとポジティブな気持ちでいられる」と稽古に入るのを楽しみにする本作は、2021年1月10日(日)