「ただ同じ心中にでも、それぞれまったくトーンが違うと思います」とは松田。石橋も「忠兵衛と梅川、与兵衛とお亀で全然空気感が違うので、それが面白く出たらいいですよね」と続ける。その違いについて、「忠兵衛と梅川はひと目惚れで恋に落ちますが、与兵衛とお亀は幼馴染で夫婦。その温度差は大きいと思います」と松田が理由を挙げると、石橋は「忠兵衛と梅川は生きているうちにふたりが盛り上がっていくさまが描かれますが、与兵衛とお亀は逆。それがすごく切ないんです」と分析。すると松田から「とにかくお亀が切ないんですよ!辛い!」と、お亀への熱い想いが溢れた。
その一方で松田からはこんな言葉も。「心中物語ということで暗いイメージが先行してしまう気もするんですが、実は明るさと暗さの塩梅がすごく素敵な作品。
当時を想像出来るような世界観など、総合的に楽しんでもらえると思います」。石橋も「単に何百年前の話というのではなく、今と同じように一生懸命暮らしていた人がいる。それって、今のこの苦しい状況に縛りつけられてしまっている人たちにとっても力になると思いますし、このわー!っていう気持ちを楽しんでもらえたらと思います(笑)」と語った。
取材・文:野上瑠美子
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