次回公演への全方位的なサービス精神を、自身が感じた幸せエピソードを交えて語ってくれた鶴瓶だが、より大上段に構えての〝幸福論〟ならばどうか。
「もうすぐ70歳なんですけど〝次、なにしよう?〟と思える幸せってあるんやなぁって。毎年の落語会にしても、あれやろう、これやりたいと思える幸せ。10代の人のなかには〝やりたいことがわからない〟という子もいるんでしょうけど、いろんなことをやってみればいいのにと思うんです。〝これも違う、あれも違う、違う違う違う〟となってもいいから、とにかくスタートしてみる。そしたらね、自分で決めるのか人が決めてくれるのかはわからないけど〝これだ!〟というものに巡り会えるはずですから。そういう意味では、僕にとっての幸せを遠ざけるものって動かないことかもしれない。僕は死ぬのは怖くない。
それよりも、動かず、なにもしないことのほうが怖いんです」
映画『バケモン』での鶴瓶は言った。「なにもしなければ道に迷わないけれど、なにもしなければ石になってしまう」。こんな時代だからこそ、笑福亭鶴瓶は止まらない。
取材・文:唐澤和也