「薔薇と海賊」を霧矢大夢、多和田任益ら豪華キャストで上演
大河内直子が演出を務める三島由紀夫原作の舞台、unrato#8「薔薇と海賊」が2022年3月に東京芸術劇場シアターウエストにて上演されることが決定した。
「薔薇と海賊」は虚実の夢と純愛が詰め込まれた異色のファンタジー。1958年に発表され、同年に文学座が初演した。三島由紀夫自身がこの舞台を、涙を流しつつ観ていたという逸話も残されている。
舞台となるのは、童話作家の楓阿里子邸。そこに、阿里子の童話のファンで30歳の松山帝一が訪ねてくる。自分を童話の中の主人公・ユーカリ少年だと信じている知的障害の青年で、後見人の額間に付き添われてやってきた帝一。楓邸は童話の世界のように仕立てられ、阿里子は19歳の娘・千恵子にも登場人物のニッケル姫の扮装をさせていた。
帝一はこの家にずっと住みたいと言い出し、阿里子と帝一の夢の世界のような純愛が始まる。一方、額間と出会い、押し込めてした本音があふれ出て来る千恵子。帝一の登場で、阿里子の夫の重政、その弟の重巳との館での生活にもひずみが生まれていく。
三島由紀夫は本作について、「世界が虚妄だ、といふのは一つの観点であつて、世界は薔薇だ、と言ひ直すことだつてできる。