劇団ならではの魅力とパワー! SET、年に一度の本公演まもなく開幕
撮影:平野祥恵
三宅裕司が主宰する劇団スーパー・エキセントリック・シアター(以下、SET)の第59回本公演『太秦ラプソディ ~看板女優と七人の名無し~』がまもなく開幕する。開幕を目前に控えた10月某日、その稽古場を取材した。
今年の本公演は、太秦撮影所を舞台に、大部屋俳優たちの悲喜こもごもを描く内容。斜陽産業となりつつある時代劇映画業界を盛り上げるため、納得のいかないままアイドルを主演にしたり、ストリーミング配信業界からの参入に振り回されたりと、様々な事件に翻弄される面々の姿が、迫力のチャンバラシーンとともに描かれていく。
まずクスリとさせられるのがそのキャラクター名だ。柴陳一(しばちんいち)だの、陽空(ひそら)ばみりだの、金策深次(きんさくふかじ)だの、どこか聞き覚えのある名前のオンパレード。悪役の俳優が性格が良く、正義の味方役の俳優たちが性格が悪い……なんてエピソードも、「ありそう~!」とニヤニヤしてしまう。ある意味ベタ、しかしそのベタさが妙に心地よい。
物語はいくつかの大きな事件が登場するが、基本は群像劇だ。少しばかりいい役付きになって喜んだのも束の間、主演のひと言で役を下ろされてしまったり、ちょっと芽が出てきた若手女優に先輩女優が嫌味を言ってみたり、はたまたスターと大部屋、立場が分かれてしまった同期女優の友情だったり……。