でもどちらにも強烈なリアリティがなければいい音楽とは言えないというのが、僕が辿り着いた答えです」
今回はジャズ・スタンダードとオリジナル作品を弾く予定だが、「ジャズ」というジャンルにはこだわっていない。
塩谷「作り込んだものでも、スケッチを即興的に膨らませるのでも、大林くんとならなんでもできる。ピアニストが二人いるとぐちゃぐちゃになってしまう怖れもあるのですが、そうならならないのは、彼が〝聴く〟ということがすごくよくできているから。瞬間瞬間で生まれるひとつのものを二人で楽しむことができるのは、このうえなく楽しいことです」
大林「デュアルコアみたいに、音楽を創造するイマジネーションが2つあるのがピアノ・デュオ。塩谷さんの洗練された音色やアプローチは無条件にいいなと感じます。そんなピアニスト像は僕の目標です。でも、ずっと仲良しじゃ面白くないので、どこに逆説を投じるか。その〝ヴァーサス〟が音楽を豊かにする栄養になると思っています」
塩谷「〝ヴァーサス〟だけど、聴いてくれた人たちに〝ガーサス!〟って言われたいね(笑)」
説明は野暮とは思うけれど、【ガーサス:「さすが」の楽隊用語】。
いただきました!
(宮本明)