男たちが言葉だけで紡ぐ友情、葛藤、欺瞞「わが友ヒットラー」
ライター/カメラマン:黒豆 直樹
三島由紀夫がその死の約2年前に、ヒトラーによるナチス党内の粛清事件を題材に執筆した戯曲「わが友ヒットラー」が演劇ユニット「CEDAR」(演出:松森望宏)によって上演される。初日に向け稽古が進む中で谷佳樹、君沢ユウキ、桧山征翔、森田順平が本作への思いを語った。
本作のオファーを「とんでもないものが我が身に降り注いできた感覚」と語る谷。膨大なセリフを通じ、ヒットラーの葛藤や権力者としての欺瞞を体現するという難役を任されたが、稽古が始まって「ひとりで考えても意味がないって気づきました。みんなで挑んでいるという感覚が強いですし、いまは玩具を手にした子どものような気持ちでワクワクしています」と語り「演劇の面白さが直球で届く、『すごいものを観た』と肌で感じてもらえる作品になると思う」と自信を口にする。
ヒトラーによる粛清の対象となる突撃隊幕僚長レームとナチス党内左派のシュトラッサーを演じる君沢と桧山。彼らが第二幕で繰り広げる1対1での激論は本作の大きな見どころ。
君沢は「相手の目を見てセッションの中で生まれるものを感じています。
ヒットラーへの友情が日に日に強くなっているし、それが強ければ強いほどヒットラーの決断の大きな負荷になり、この作品の醍醐味になるんじゃないかと思います。