と胸の内を語った。
吉弥は一之輔との共演も意識して、三味線や太鼓がBGMのように入る上方らしい演目を選んだというが、そこには師匠への思いもあった。「『愛宕山』は50歳で亡くなったうちの師匠の吉朝がやっていました。僕は今51歳になって、年だけは師匠を越えたので、それを機に師匠がやっていた素敵な『愛宕山』をやりたいなという気もありました」。一之輔は「そもそも事前にネタを発表してやるのはすごく嫌いなんですよ。やりたくなくなっちゃうんですよね」とざっくばらん。だが「当日決定する出番順も意識した」と、細やかな配慮も欠かさない。「すごく単純な滑稽噺なので、最初の導入としてもいいし、休憩を控えた2番目でドン!と笑ってもらうのもいいし、最後、ぐったりするほど笑っていただくのもちょうどいい。
どのポジションでも僕がやる『青菜』は喜んでいただけるかなというセレクトです」と自信をのぞかせる。この噺は落語協会会長の柳亭市馬から習ったという。「習って、市馬師匠の前でやったら『跡形もないな』って言われて。跡形のない『青菜』、スムージーみたいになっていると思います」と“飲みやすさ”もアピールした。
「舞台の上では遠慮しても仕方ない」