千春が立候補を決意するきっかけになるのが、商業施設が誘致されたらなくなるかもしれない商店街主催の夏祭り。ここで美空ひばりの「お祭りマンボ」が流れると、一気に舞台全体のテンションがアップ! ちなみにその後、千春が飛び入りのカラオケ大会で観衆の心を掴むシーンでも、美空ひばりの楽曲が使われている。
千春を演じるのはAKB48を卒業後、演歌歌手として着実にキャリアを積み重ねてきた岩佐美咲。彼女の前に立ちはだかる町会議員・根来川をモト冬樹が演じているが、自らの頭髪をネタにしたアドリブを挿入するなど、時にコミカルな面を見せつつ、“いかにも”な昭和のオジサン議員を体現し、さすがの存在感を見せつけている。
“選挙”と“祭り”を組み合わせた構成も見事。「選挙とは、民主主義の根幹をなす制度であり、未来を選択するための…」という正論以前に「選挙とはお祭りである」という“真理”を我々は現実の世界でもたびたび目の当たりにしてきた。一方で、選挙が行われるたびに、投票率の低さが話題となるが、本作ではそうした社会的な問題にも触れつつ、大音量の演歌に乗せて、選挙というお祭りを一大エンタテインメントに仕上げている。